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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

Petit Tom et le code de la route  

「Petit Tom et le code de la route」1986年版 

標識に関する絵本をもう1点。海外にも標識などの交通ルールを学習する質の高い絵本がある。今回紹介するのは”Petit Tom et le code de la route(ちっちゃなトムと交通ルール)”(Alain Grée・作、Gerard Grée・絵、CASTERMAN)だ。

「Petit Tom et le code de la route」1973年版

先に「L’automobile」で紹介したAlain Gréeの作によるものだが、本書のイラストは弟のGerard Gréeの手によるものである。もちろんフランス語絵本である。絵のタッチは兄弟非常に良く似ている。このグレ兄弟の学習本は人気のプチ・トムシリーズとして、自然や計測、楽器などいくつかの種類が出版されている[1]。本書は1986年の再販版で、オリジナル版は1973年に出版、表紙の絵が少し異なっている。私は初版本の方は残念ながら所有していない。

「Petit Tom et le code de la route」その1

内容は、トムとヴェロニカの兄妹が、道路標識のみならず、自動車の名称や、センターラインなどの道路上の表示、運転規則や歩行時の注意点などを学習する、いわゆる子供向きの道路交通教則本というやつだ。和書にも子供向けの教則本はいくつも目にするが、こんなおしゃれな、しかも詳細な絵本は類をみない。子供向けの本に、何ゆえ運転者としてのルールまで記述するのかわからないが、そこまで徹底するマニアな姿勢がすばらしい。日本語の絵本だとだいたい企画元が警察だったり、なんとか協会、なんとか保険だったりしがちだ。もっと普通の出版社や有能なアーティストが、このような児童向けの教則本にも興味をもってもらいたいと思う。

「Petit Tom et le code de la route」その2

最初のページにスロットカーで遊ぶ兄妹が描かれているが、この辺は時代を感じさせる。最近またスロットカーが密かなブームのようであるが、私も子どもの頃この絵のようなシンプルなスロットカーセットを持っており、よく遊んでいたことを思い出した。

「Petit Tom et le code de la route」その3

登場する車もかなり詳細に書き込まれているが、メーカのロゴも書かれておらず、モデルの車種については特定できなかった。恐らくオリジナルのものであろうが、プジョー304あたりを参考にしたのではないだろうか。(※)

(※)その後、クライスラー・シムカ1000ラリー2に酷似していることが判明。もう少し詳細を調べてみようと思う。(2007年12月26日追記)

道路標識の話題が続いたので、海外と日本の道路標識の違いについて少し調べてみた。本書にも紹介されていた追越禁止標識を例に取り上げてみよう。前回の学習によれば、追越禁止標識は規制標識の一つである。まずおなじみの日本の追越禁止標識は図1のように右側部のはみ出しを禁じたデザインだ。日本と同じデザインはタイの標識である。同じアジアの韓国の標識が図2だ。日本と反対というか、グローバルスタンダードの右側車両通行の韓国では、当然ながら左側部のはみ出しを禁じたデザインになっている。日本と異なるのは、被追越車両が矢印ではなく車両の図になっている点だ。今や世界第2位の自動車王国、中国の標識は日本の標識に似ているが、禁止線が斜め線でなく縦線であるのが面白い(図3)。欧州ドイツやフランスはどうか。図4のようにほとんどの欧州圏は、矢印ではなく車両が並んだデザインで左側(追越車)が赤。日本と同じ左側通行の英国はその真逆の右側が赤のデザイン(図5)。車を並列にデザインしたものは香港も同じであるが、色で禁止を示すのではなく、追越車(右側)を禁止線に重ねている(図6)。世界最大の自動車王国アメリカは、図ではなく文字標識で“DO NOT PASS”と表記する(図7)。オーストラリアも同じ文字表記で、ただし表記は”NO OVERTAKING OR PASSING”となる(図8)[2]。

世界の追越禁止標識
世界の追越禁止標識

他の標識も含め、お国柄がいろいろ表れて面白いのだが、もう少しまじめな裏づけをすると、道路標識は主に欧州方式と米国方式に分類される。前者は欧州各国に採用され、記号を用いると同時に色彩と形状を十分に駆使して視認性と識別性を高める工夫がされているのに対し、後者は米国をはじめカナダ、中南米で採用され、記号は単純に誰にでも理解できるもの以外は用いず、原則として言葉による表示を採用している。日本は欧州方式に慣れ親しんでいるせいか、非英語圏の人間にとって“DO NOT PASS”と提示されても何か直感的でない。

道路標識の国際統一化は欧州を中心に進められ、1952年(昭和27年)に国連総会で提案、翌1953年に参加国68カ国による国際連合道路標識(道路標識及び信号に関する議定書)が発行された。その後、1968年(昭和43年)に国際連合道路交通会議にて「道路標識及び信号に関する条約」として成立した。日本は国連標識に調印してはいるが、まだ加盟はしていない[3]。まあ、独立独歩のアメリカは絶対に加盟しないだろうが。

大人用も含めて各国の道路教則本を調べてみるのも、面白いかもしれない。

[参考・引用]
[1]Vintage Books、Rambler、
http://rambler.ciao.jp/index.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E8%B7%AF%E6%A8%99%E8%AD%98
[2]世界の国々の道路標識、道路標識何でもコーナー、Kictecホームぺージ、
http://www.kictec.co.jp/sing/sing%20index.html
[3]世界の道路標識、道路技術基準・道路標識、国土交通省道路局、
http://www.mlit.go.jp/road/sign/sign/index.htm
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Posted on 2007/12/25 Tue. 21:35 [edit]

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