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ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科-鳥のようにクルマも飛ぶのか?-  

ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科

2017年も明けました。大晦日の八海山がまわって気が付いたらもう新年。今年はどんな年になるのでしょう。こんな地味なテーマで更新も少なく、よくもまあ10年も続けたと思います。このブログを今読んでいるあなたは相当マニアック。でも読んでくれてMerci beaucou!元旦は、新年の美酒の酔いを覚まそうと午後散歩に出かけ、コンビニで年賀はがきを購入し(今ごろかーい!)、近所の本屋で衝動買いしちまったのが、今年最初のクルマ?の絵本『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』(マウゴジャタ・ミチェルスカ・文、アレクサンドラ・ミジェリンスカ、ダニエル・ミジェリンスキ・絵、阿部優子・訳、徳間書店、原題は“ALE PATENT!”)。一応技術者で、特許もいくつか書いたことがある(カネにはなりませんが)研究所勤めの私は、「発明」とか「奇想天外」という背表紙に目が止まりました。手に取ってみると、奇妙奇天烈なクルマ(乗り物)のアイデアをはじめ、動力で動く世界初の自動車、キュニョーの「三輪蒸気自動車」も登場してクルマノエホンとしても外せません。しかも絵がかわいい。その中でも酉年の今年に相応しい空飛ぶ自動車「トランジション」(2009年試験飛行に成功している)の紹介もあって楽しいの一言。自動運転のこの時代、クルマも鳥のように空を飛べるようになるのでしょうか?

奇想天外発明百科その1
『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』より

500年前、「変人」といわれたレオナルド・ダヴィンチが、自動車の原型ともいえる「ぜんまいじかけの車」や「戦車」も発明していることは有名ですね。

19世紀の乗合蒸気バス
19世紀の乗合蒸気バス(『じどうしゃ博物館』より)

奇想天外発明百科その2
「馬車の形をした蒸気バス」(『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』より)

19世紀はヨーロッパ各地で蒸気機関による乗合バスが走るようになります。馬車よりも速く安かったそうですが評判はあまりよくありませんでした。というのも蒸気エンジンの立てる音に馬車の馬たちが怯えたり鳴き喚いて大迷惑だったからです。そこで考えられたのが「馬車の形をした蒸気バス」(1876)。安易な発想といえばそれまでですが、サファリパークのゼブラ柄4WDと大差ないのかも。はたして効果はあったのでしょうか?

奇想天外発明百科その3
「蒸気で走る馬」。本書はこんな感じです。

ゴードンの蒸気コーチ
ゴードンの蒸気コーチ(『じどうしゃ博物館』より)

馬に代わる乗り物としてはこの「蒸気で走る馬」(1813)の方がロボティクスです。蒸気エンジンで車輪を回すのではなく馬のように“足”を動かすのです。今でいう生物模倣技術(バイオミメティクス)。そのメカニズムがすごい!上述の『じどうしゃ博物館』にも「ゴードンの蒸気コーチ」という6本足を交互に動かして走る乗合バスが描かれています。このイラストを初めて見たとき「足とは何だ?」と謎に思っていましたが、こういう仕組みだったのですね。しかしこの機械式馬車、1815年のお披露目の際に蒸気機関が爆発し、多数の死傷者を出したことから歴史から消え去ったのだそうです。

オフロードバイク「ツバメ号」(1883)なんて、デンソーが試作した「異次元ビークルむ~ん」そのものでしょ。

奇想天外発明百科その4
オフロードバイク「ツバメ号」(『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』より)
デンソーの発明「異次元ビークルむ~ん」
デンソーの発明「異次元ビークルむ~ん」
出典:https://www.denso.co.jp/ja/events/tradeshows/2012/muran/work/idea/pdf/8th/2006_00.pdf

クルマ系奇天烈発明に限定しましたが、こんなの序の口。他にもたくさんの奇想天外発明が紹介されているユニークな絵本です。

Małgorzata Mycielska
Małgorzata Mycielska
出典:http://www.moritzverlag.de/index.php?article_id=647

さて、このかわいい、楽しい絵本の作者、マウゴジャタ・ミチェルスカ(Małgorzata Mycielska)さんは、1978年ポーランド生まれの美術史家、編集者。ワルシャワ美術館の出版部門に勤め、大人向けの歴史や科学の本を作っています。本書は、子供向けに書いた初めての本。

Aleksandra&Daniel Mizielińscy
Aleksandra&Daniel Mizielińscy夫妻
出典:http://pierwszymilion.forbes.pl/sukces-na-rynku-ksiazek-dla-dzieci-aleksandra-i-daniel-mizielinscy,artykuly,173096,1,1.html

イラスト担当のアレクサンドラ・ミジェリンスカさんとダニエル・ミジェリンスキさん(Aleksandra&Daniel Mizielińscy)は、ともに1982年生まれのポーランドの絵本作家夫婦。ワルシャワ在住。イラストレーター、グラフィックデザイナー、ウェブデザイナーとしても幅広く活躍。『大きくなったらなんになる?』(未邦訳)で2011年ボローニャ・ラガッツィ賞ノンフィクションの部にて優秀賞を受賞。世界6大陸と42か国について調べ上げてまとめた『MAPS 新世界図絵』(徳間書店)は、世界じゅうで大ヒット。最新刊『UNDER EARTH,UNDER WATER 地中・水中図絵』(徳間書店)も書店に並んでいて、その昔鉱山技師か海洋資源開発技師を目指した小生にとってはこちらも購入したかった絵本です。チェコやハンガリーもそうですが東欧って色使いが美しい絵本の伝統がありますよね。ポーランドもまたしかり。またポーランド人の発明品を調べて見たら、「スゴい!ポーランド人が発明した意外なもの6つ」という記事がありました。

奇想天外発明百科その5
空飛ぶ自動車「トランジション」(『ややっ、ひらめいた!奇想天外発明百科』より)



空飛ぶクルマについては、名作「みつやくんのマークX」を皮切りにこれまで何度か個人的に盛り上がっていました(「空飛ぶ自動車」「みつやくんのマークXふたたび」参照)。あれから10年、自動運転が世の中のトレンドになり、空飛ぶクルマの発明が下火になったかと思いきや、まだまだクレイジーな発明家たちは世界中に存在します。この日本にも空飛ぶ夢に挑戦するエンジニアたちがおられます。

閉塞感のある今のクルマ社会に一石を投じようと、某大手自動車メーカー(トヨタでしょ)のエンジニアを中心に社内外の若手技術者らがCARTIVATORというプロジェクトを立ち上げます。本業の傍ら二足の草鞋でアイデアを検討し、マルチコプタータイプの空飛ぶクルマ「SkyDrive」の基本コンセプトを固めました。ゴールは2020年の東京オリンピックで試作機をデビューさせること。いいじゃないですか。既得権益を狙うクソ野郎たちが牛耳る古い発想の東京五輪を根本からぶち壊してもらいたい。そのためには若い人たちのアイデアと行動力です。資金はクラウドファンディングで募り、徳島大学らの協力も得て研究開発を続けているようです[1][2]。



2020年というと市街地でも自動運転可能なクルマ(レベル3)が市販化されているかもしれない。これらの実現のためにはまだまだ奇想天外な発明が必要になるでしょう。でも本書の裏表紙にも書かれているように、発明とは、人間の夢を形にしたもの。その人間の夢は、過去の歴史を振り返れば大抵実現されています。発明なんて数学や科学ができないとダメなんでしょ?そんなことはありません。発明の必要条件は好奇心。何事にも興味を持つ、面白いと思う気持ちがあってこそ、夢は切り開かれます。全ての子どもたちに、そして好奇心を失ってしまった遊び心の足らない大人たちにおすすめの絵本です。

こんな感じで今年もよろしくお願いします。(とりあえず、初日の賀状返信投函完了!)

2017正月
正月のスタートはこれ




[参考・引用]
[1]空飛ぶクルマ!SkyDriveが未来へ挑む CARTIVATOR、しゃかいか!2015年8月31日、
https://www.shakaika.jp/blog/9167/cartivator/
[2]「空飛ぶクルマ」、東京五輪の空を飛ぶか ~SFの世界から現実へ~、梅上零史、企業家倶楽部2015年12月号 グローバル・ウォッチ vol.5、2015年12月1日、
http://kigyoka.com/news/magazine/magazine_20151201.html
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Posted on 2017/01/03 Tue. 00:46 [edit]

category: picture books about automobile/クルマノエホン

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コメント

へぇ〜〜〜〜

絵本というか発想・アイデアが詰まった面白そうな本ですね〜〜
BOOOONのキャラはスタンダードでベーシックな車と、実世界ではありえない車(キャラ)も時々いれるので、アイデアの刺激になるかも!

記事と関係ないですが、ブログタイトルの背景の絵本はなんですか?
車の絵もいいんですが、アルファベットがちりばめられている感じがすごくデザインとしてきになりますね〜〜〜〜

URL | アソラボ・坂PON #-
2017/01/06 16:24 | edit

Re: へぇ〜〜〜〜

> BOOOONのキャラはスタンダードでベーシックな車と、実世界ではありえない車(キャラ)も時々いれるので、アイデアの刺激になるかも!
私も仕事で刺激になればよいなと思っています。是非新しいBOOOONモデルを!

> 記事と関係ないですが、ブログタイトルの背景の絵本はなんですか?
> 車の絵もいいんですが、アルファベットがちりばめられている感じがすごくデザインとしてきになりますね〜〜〜〜
さすがデザイナー、見る視点が違いますね。これは2年前のクリスマスに自分用に買ったものです。
ルノーの歴史を描いた“RENAULT SANS LIMITES”というBDですが、フランス語なので全く読めませんw
Amszonでも買えるのでご参考になれば。
http://ehonkuruma.blog59.fc2.com/blog-entry-573.html

トヨタ博物館、行きたいんだけどなあ。

URL | papayoyo #-
2017/01/06 22:26 | edit

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