ルノー・エクスプレス

Renault Express
出典:http://bunnik.perso.sfr.fr/renexp10.html

いろなしくん」のモデル、ルノー・エクスプレスは1985年から2000年に生産されたフルゴネット車。フルゴネット(Fourgonnette)とは乗用車の前半部とリア部分に荷箱を繋ぎ合わせた商用バン。2つの車体で新しい価値を産み出しているからクルマの“デュエット”スタイルともいえる。古くはシトロエン2CVやルノー4(キャトル)のフルゴネットが有名[1][2]。[1]ではルノー・カングーもフルゴネットと解説しているが、カングーはフルゴネット風の専用ボディなので、2ドアの商用タイプ(カングー・エクスプレス)はあるものの厳密に言えばフルゴネットではない。90年代後半、カングーと同時期に登場したプジョー・パルトネ、シトロエン・ベルランゴは、従来のフルゴネットをハイルーフ化、スライド式4ドア化することで乗用としての機能を高め、現在のトールワゴンに市民権を与えたという意味では、カングーらも現代版フルゴネットと言えるのかも知れない[3]。旧来型フルゴネット最後の傑作ともいえるのがこのルノー・エクスプレスである。

Renault Super5
Super5
出典:http://www56.tok2.com/home/desktopcars/seir5.html

エクスプレスは、Bピラーから前半分のシュペール5(サンク)(ルノー5の第二世代)に、四角い箱のボディ後半を繋ぎ合わせたものである[4]。単に2つのボディをくっつけただけの1+1=2のスタイリングではなく、1987年6月号のカーグラ誌上でのロードインプレッション[4]を引用すれば、「取ってつけたような印象は微塵もなく、ベルリーヌ(フランス語のセダン)のオリジナル・デザインからしてフルゴネットのスタイリングを予め考慮して進められた推察したくなるほど粋かつ魅力的」であり、ちゃんと1+1=1にまとめられているのは流石だ。

Express phase1
Express phase2
Express phase3
上からフェーズ1、2、3のフロントフェース[5]

そのエクステリアは3度ファイスリフトを行っている。1985年から91年のフェーズ1、1991年から94年のフェーズ2、1994年から2000年のフェーズ3である(写真)[5]。「いろなしくん」のモデルはフェーズ1だ。ボディタイプには、フルゴネットにはよくあるリアサイドウィンドウのない完全貨物仕様とリアサイドウィンドウのある乗用仕様、荷台が開放式のピックアップトラックの3タイプがあったそうだ(ピックアップ仕様があるのは知らなかった)[6]。

エクスプレスの真骨頂は荷室の広さであるが、これはシュペール5のホイールベース長2,410mm(3ドア)を約17cm伸ばした2,580mmとしたことと、全高も1,365mmから1,790mmと40cm以上も高くなったことが貢献している[4][5][7]。エンジンはシュペール5と同じ956cc(37HP=27.6kW)、1,108cc(47HP=35.1kW)、1,397cc(60HP=44.7kW)のガソリン仕様と1,596cc(55HP=41kW)のディーゼル仕様の4タイプ。足回りは、フロントがストラット/コイル、リアがトレーリングアーム/トーションバーでベルリーヌと同じ4輪独立サスペンション[4][5]。

エクスの内装2エクスの内装1

内装の写真を見ると、内貼りなしの車体の鉄板むき出しで(写真左)、ハイルーフ化による恩恵で前席頭上に設定されたラック(写真右)などの遊び心が初代カングーに継承されたことがわかる[4]。日本では既に1987年時点で輸入販売されていたようだが[4]、正規輸入は1988年から90年のまさにバブル全盛期[8]。前出のカーグラ記事によれば、「アパレル業界のデリバリーカーとか、いわゆる“横文字商売”に従事するような人々のパーソナルカーなどとして活躍する姿を良く目にする」とある。カングーもそうだが、やはりこの手のフルゴネットは30年前もから日本のおしゃれな商売をされている方々の感性を刺激するようである(しかもそれがフランス車というのが結構重要)。ただ、フランスからやって来た単にファッション性の高い小粋なクルマというだけでなく、ハード面もしっかり考え抜かれて作られた効率性、機能性の高い玄人好みのクルマであるということだ[4]。

移動式カフェ仕様のエクス
エクスプレスはカフェが似合う(小田原の移動式カフェ”Alfieri cafe”のFacebookより)

私は運転したことがないので、カーグラのレビューをピックアップしてみると、
「この車を所有し運転することにはメンタルな悦びが感じられる。スロットルを踏めば何としてもそれに従おうと愚直にスピードを上げ、ひっくりかえらんばかりに車体を傾けても4輪は路面を掴んで離さない。多少路面が荒れていようとも中の乗員と荷物にショックを与えることを拒むかのごとく踏破し、ドライバーに無用な神経を遣わせまいと頑強に直進しようとする。」
とベタ褒めなのだ。

見てよし、座ってよし、走ってよし、この伝統は後継のカングーにもしっかり継承されている。と、元カングーのオーナーは思うのである。

いろなしくんとシュペール5
『いろなしくん』より

[おまけ]
僕もマジョレット・カングーは集めたけど、エクスバージョンもいっぱいあるんだね。
マジョレット・エクス
出典:http://blogs.yahoo.co.jp/tluanersiul1898/62141584.html
エクスのサンダーバード4号仕様。この発想はなかった(笑)
TB4に変身したエクス
出典:https://twitter.com/arakichi1969/status/620897362668457984

[参考・引用]
[1]「フルゴネットタイプ」ってご存じですか?、小鮒康一、clicccar.com、2012年6月16日、
http://clicccar.com/2012/06/16/166134/
[2]ライトバン、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%B3#.E3.83.95.E3.83.AB.E3.82.B4.E3.83.8D.E3.83.83.E3.83.88.E3.82.BF.E3.82.A4.E3.83.97
[3]ルノー・カングー、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BC
[4]CAR GRAPHIC選集 ルノー&アルピーヌ、小林彰太郎・編集、二玄社、1991
[5]Renault Express、Wikipedia(フランス語版)、
https://fr.wikipedia.org/wiki/Renault_Express
[6]ルノー・エクスプレス、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9
[7]ルノー・5、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%BB5
[8]ルノー・エクスプレス♪、欧州商用車が好き!のページ、みんカラ、2013年10月18日、
http://minkara.carview.co.jp/userid/1569569/blog/31408688/
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[ 2016/11/13 22:17 ] cars/車のお勉強 | TB(0) | CM(0)

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