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ブルドーザとなかまたち  

ブルドーザとなかまたち

世界大会17連覇を狙った吉田選手は残念だったが、トップに君臨する以上、いつかはその座を奪われる日が必ず訪れる。それがたまたまリオ五輪だっただけ。でも16連覇だよ(伊調選手の五輪4連覇も化け物だがね)。連覇を逃したといっても銀だ。テニスで言えば年間グランドスラムを4年間続けた後に、全豪の決勝で負けたみたいなもんだ。しかもパワースポーツゆえに、その体力を維持するだけでも並大抵の練習ではないはず。彼女は国民に何度も頭を下げるが、今回の敗戦に喝を言えるほどの偉業を成し遂げた日本人が果たしているだろうか。伊調と「大峯千日回峰行」を達成した慈眼寺住職・塩沼亮潤氏[1]くらいじゃなかろうか。二人三脚だった父・栄勝さんが亡くなった後の連覇達成で、苦行から解き放たれる引退の選択肢もあったはず。しかし、彼女は再び己を極限まで追い込む道を選んだ。全盲ろうの教授・福島智氏の説く、生きる「意味」を求めての結論だったのかもしれない。まっ、悔し涙は宿舎の中でこっそり流せばもっとカッコよかったかな。とにかく我々の常識を超える彼女がこれから何を選択するかはわからないが、次の世代も確実に成長をしている。69キロ級で金メダルを獲得した土性沙羅(どしょうさら)選手もその一人だ。栄勝氏から授けられた「ドーン」とくる強力なタックルから、“ブルドーザ”の異名をとる[2][3]。まだ二十歳そこそこのお嬢さんをつかまえてブルドーザは失礼極まりないと思うが、確かに名前もスゴい。私には「土壌さらう」にしか聞こえない…。と、掴みはこれくらいにして、本日のクルマノエホン『ブルドーザとなかまたち』(山本忠敬・作、福音館書店)の本題に入る。

ブルドーザとなかまたち01
CAT三菱D5Bブルドーザと三菱ふそうFシリーズセルフローダ(『ブルドーザとなかまたち』より)

冒頭、セルフローダに積まれたブルドーザが登場する。ブルドーザのロゴには、“CATERPILLAR“の文字が。車体に書かれた型式を見るとCAT三菱製D5B。D5シリーズは1967年に同社が生産を開始した湿地ブルドーザのようだ[4]。セルフローダも三菱ふそう製(Fシリーズ後期型のようです。前1軸後2軸のFU型かな?[5][6])なので、これは一見三菱絵本かと思わせる。

ブルドーザとなかまたち02
コマツD95Sドーザショベル(『ブルドーザとなかまたち』より)

トレーラートラックに積まれたドーザショベルも出てくるが、そもそもブルドーザとドーザショベルの違いって何だろう?ブルドーザの前面で、土を削ったり、平らにしたりする鉄の板を”ブレード“と呼ぶが、その代わりに土砂を盛ったりトラックに積んだりする”バケット“を装備したものがドーザショベル。ブルドーザの特殊タイプということになる[7]。これもキャタピラー(三菱)と思いきや、コマツ製だった(D95S)。ブルドーザは、米国キャタピラー社と日本のコマツの2社で世界市場をほぼ寡占するというから[7]、本書が両ブランドに配慮するのは当たり前といえば当たり前。また、キャタピラー社製でないと、登録商標であるあの鉄の帯(無限軌道)をキャタピラと呼べない。他社製はクローラとかトラックベルトなどと呼ぶ。

ブルドーザが集めた土砂は、ショベルローダ(コマツ製510)がすくいとり、ダンプトラックまで運ぶ。

特殊タイプのブルドーザではレーキドーザも登場する。レーキ(rake、熊手)もブルドーザのアタッチメントの一つで、大きめの岩石や材木だけを押しやすいように前面がスケルトンになったものをレーキドーザと言う[8]。本書では、木の根っこや堅い土を掘り起こすレーキドーザが力強く描かれる。こちらもコマツ製(D80A)。

ブルドーザとなかまたち03
コマツD80AレーキドーザとCAT三菱リッパ付ブルドーザ(『ブルドーザとなかまたち』より)

その他にもリッパ付ブルドーザ(CAT三菱製)が登場する。リッパ(ripper、引き裂くもの)は通常モーターグレーダの後部に付けられるアタッチメント。本書のようにブルドーザに装着されることもある。リッパ付ブルドーザは、軟岩から中硬岩の岩盤破砕に使用される。油圧によりシャンク(爪)を岩盤に貫通させたまま前進させることにより岩盤を破砕する。足回りは地面の凹凸に沿って自由に揺動するボギーシステム、つまり普通のクルマでいう四輪独立サスペンションみたいな機構が採用されている[9][10]。

後半では、ブルドーザと並んで子供たちにも人気のあるパワーショベル(コマツ製PC300)も登場。そして工事現場では、いろんな建機たちがそれぞれの特徴を活かして働く様子で締めくくられる。

オリンピックのブルドーザとなかまたちも皆、十分すぎるほどの働きだった。4年後は、男子の活躍ももっと見てみたいね。

ブルドーザとなかまたち04 土性沙羅
レスリング女子の”ブルドーザ”土性沙羅
出典:http://yakudati-jyouhoukan.com/1149.html



[参考・引用]
[1]1300年で成功者は2人だけ! 1000日間48kmを歩き続け、脱落者は即切腹…過酷すぎる「大峯千日回峰行」を終えた僧の言葉、TED(テッド)、logmi、
http://logmi.jp/41508
[2]【レスリング】土性、重量級初「金」ブルドーザータックル…女子69キロ級、スポーツ報知、2016年8月19日、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160819-00000108-sph-spo
[3]土性沙羅をパブリックビューで応援!!、情報総合案内所、2016年8月19日、
http://daliosite.com/archives/2451
[4]日本ブルドーザ史、建設機械の歴史、土工教室、
http://hw001.spaaqs.ne.jp/geomover/hstry/hstrybd.html
[5]三菱ふそう・Fシリーズ、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E3%81%B5%E3%81%9D%E3%81%86%E3%83%BBF%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
[6]三菱ふそうFU、~愛媛の追っかけ放浪記~、2013年10月26日、
http://blogs.yahoo.co.jp/yotsuyuno_56go/62226444.html
[7]ブルドーザー、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC#.E7.89.B9.E6.AE.8A.E3.81.AA.E3.83.96.E3.83.AB.E3.83.89.E3.83.BC.E3.82.B6.E3.83.BC
[8]レーキドーザ、現場で使える!土木・建設用語辞典、kanamotoホームページ、
https://www.kanamoto.ne.jp/kanamoto-yogo-jp/kikai/ra.html
[9]リッパ&リッパ付ブルドーザ、現場で使える!土木・建設用語辞典、kanamotoホームページ、
https://www.kanamoto.ne.jp/kanamoto-yogo-jp/kikai/ra.html#02
[10]D10T、新キャタピラー三菱カタログ、
https://www.nipponcat.co.jp/data/old_catalog/TTT/D10T.pdf
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Posted on 2016/08/19 Fri. 23:20 [edit]

category: picture books about automobile/クルマノエホン

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コメント

お見事なテキストですねー!
テクニカル・フォール勝ちですー!

URL | つかりこ #-
2016/08/21 16:39 | edit

Re: タイトルなし

お褒めの言葉、ありがとうございます。
この夏休みの弊ブログは完全にリオ特集になりました。
個人的には石川佳純ちゃんとこの”土壌さらう”勢いの土性沙羅さんが来てますね。
なかなかチャーミングですよ、彼女。
為末さんも書いていますが、負けた選手の「申し訳ない」発言はもう止めさせてあげたいですね。
サッカーの日本代表やブラジル代表たちのプレッシャーもそうですが、
過度の期待を寄せすぎる我々の見方も改めなきゃいけないのでしょうね。
国のためよりもまず自分のために、自分を超えるために戦えばいい。
そして結果に落とし前をつけられるのは選手自身だけです。我々国民じゃない。
つい”ニッポンがんばれー”と熱くなっちまう自己反省も含め、そう考えさせられた夏休みでした。

URL | papayoyo #-
2016/08/21 20:34 | edit

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