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だちょうのプーイ  

だちょうのプーイ

今日は僕の大好きな絵本の一つ『だちょうのプーイ』(みやざきひろかず・作、ひかりのくに)を紹介しよう。リオではウサイン・ボルトが100Mで前人未到の3連覇を果たした。まさに敵なし、世界最速の男。遠い南の国にも、そんなヤツがいた。

だちょうのプーイは、足の速い仲間の中でも、とびっきりの速さだった。村一番の俊足プーイ。だあれも彼に追いつけない。自慢の足で朝から晩まで走って、走って、走って、走る。走っていれば、幸せなプーイ。でも時々彼は思う。

『ぼくの あしがはやすぎて だれも いっしょに はしってくれない なんだか このごろ つまらない…』

若い頃から飛び抜けた才能を持つ者は、誰もがその才能を持て余す。そして競争相手を探しに旅に出る。ボルトもきっとそうだったのだろう。

だちょうのプーイ01

そんな旅に出た3日目の朝、プーイは見た。4本の丸い足を持つそいつを。
「な な なんて はやい あしなんだ!」

だちょうのプーイ02

生まれて初めて見たその生き物を追いかけていると、大きな町にプーイは着いた。今度は初めて見る都会にびっくり。ここには、その『足の速い族』がいっぱいいるんだから。競争相手に囲まれて、プーイの足はさらに速くなる。人間はおろか、なんとF1マシンも追い抜いてしまう。毎日が楽しいプーイ。と、思っていたある日、彼には絶対にかなわない相手と出会ったのだった…。

ウサイン・ボルト3連覇
出典:http://www.telegraph.co.uk/olympics/2016/08/14/usain-bolt-100m-mens-final-live-rio-2016-world-record-holder-see/

一方、世界最速の男は100Mを9.81秒で駆け抜けた。時速でいうと36.7km/h。えっ?そんなもん?と思うなかれ、これは相当の速さだぜ。日本では、住宅街の一般道、いわゆる生活道路の最高速度が原則30kmに規制されている。ここじゃ、ボルトも速度違反になるってことだ。



じゃあ、ダチョウはどれくらい速いのか。[1]によれば、ダチョウの最大速度は時速65.5km。ダチョウがトップスピードで100mを走れば、タイムは約5.5秒。恐るべしダチョウ。ボルトは、時速44.7kmかあ、ん?37kmじゃなかったっけ?100m世界記録の9.58秒でも37.5km。でもこれは100mの平均時速であって、瞬間的なトップスピードは45kmくらい出ているんだって[2]。生活道路どころか、普通の一般道じゃん。はえーっ。

だちょうのプーイ03

[3]によれば、動物が速く走るには、つま先がいかに硬くて細いかなんだという。二足歩行の場合、両足が地面につく時間をいかに短くするか、つまり、走る速度が高いほど、地面に踵がつかなくなり、つま先だけつく。だから強固なつま先が必要になる。もちろんそれを支える筋肉も[4][5]。で、[3]で初めて知ったのだけど、ダチョウの足だと思っていた部分はつま先。膝だと思っていた関節が、人間でいうところの足関節(足首)だった!

ダチョウとヒトの肢の違い
ダチョウとヒトの肢の違い[3]

その速さゆえ、スーパースポーツカーの宣伝媒体としても引っ張りだこのボルト。このスーパースターの勇姿を再び、2020東京五輪で拝むことはできないだろう。一度でいいから真近で彼の走りを見てみたいものだが、かつて我が家の一人は、この超人とクモの糸くらいのほそーいつながりがあった。

娘が中学生の時、ALT教員として英語を教えていた女性教師がJamaicanで、ボルトと故郷で幼なじみだったという。生徒にもとても人気があって、卒業の際に、娘が描いた彼女の肖像画をプレゼントしてとても喜んでくれたV先生。今はどちらで活躍されているかはわからないけど、きっとどこかで旧友の偉業を祝っていることだろう。

The Boy Who Learned to Fly
ボルト少年の隣の席の女の子が娘の先生だったりして(”The Boy Who Learned to Fly”より)

ネットで調べていたら、ウサイン・ボルトの半生を描いたアニメーション・ショートムービーを見つけたんだけど、そのタイトルが“The Boy Who Learned to Fly(空を飛べるようになった少年)”[6]。本書のオチにも通じるところがあって、走りを極めるって、そういうことなのかなあって。



作者のみやざきひろかず(宮崎博和)さんは、1951年、奈良県に生まれる。北海道教育大学札幌校特設美術課程卒業。デザイン事務所勤務の後、スペインの風刺画家/フェルナンド・ピュイグ・ロサード氏の絵本『地球家族』に刺激を受け、水彩画による絵本作りを始める。 第一回ニッサン童話と絵本のグランプリに応募した『ワニくんのおおきなあし』(BL出版)で絵本大賞を受賞。これを契機に絵本作家として創作活動に入る。2005年より奈良県生駒市在住[7]。本書の初版は『おはなしひかりのくに』1999年5月号で上梓され、私の持っているのは2003年に再編集でハードカバー化されたひかりのくに「オールリクエスト」シリーズ第8巻。2005年には表紙の絵を変えて再販されている。プーイのとぼけた感じは「オールリクエスト」の表紙の方がいいかな。

だちょうのプーイ再販版
2005年再販の『だちょうのプーイ』

本書の奥付には著者の言葉が記されているが、プーイは「他のダチョウや自動車より速く走れるから幸せというわけではなく、ただ走ることが幸せなのです」と語っている。「なぜ幸せなの?」と聞かれても困る。作者もそう言っている。脳科学的には“フロー状態”だからとか“ドーパミン”が出ているとか理屈があるのかもしれないが、お子さんに聞かれたら「気持ちいいからじゃなーい?」くらいで返しておけばよい。ボルトもオリンピックで3連覇できたことが幸せなのではなく、直前の怪我を克服して、あの会場でただ走ることが幸せだったのだろうね。達人の境地なんて、そんなもんだ。

だちょうのプーイ04
はしって いれば プーイは しあわせ



[参考・引用]
[1]人類史上最速の男“ウサイン・ボルト”よりかわいい猫ちゃんの方が速かった!、FUNDO、
http://fundo.jp/38224
[2]時速44.7km-ウサイン・ボルト、ぱふぅ家のホームページ、2009年8月19日、
http://www.pahoo.org/culture/numbers/length/44.7km_per_hour.shtm
[3]足対決(ヒトVSダチョウ)、田畠倫太郎、世界を動かそうと思えば、まず自分が動くことから始めよう!、2013年12月27日、
http://p-hachioji.jugem.jp/?eid=53&_ga=1.5211701.702293222.1330610468
[4]だからヒトはダチョウに敵わない、田畠倫太郎、世界を動かそうと思えば、まず自分が動くことから始めよう!、2014年1月3日、
http://p-hachioji.jugem.jp/?eid=54&_ga=1.38789413.702293222.1330610468
[5]走る姿勢を安定にする筋肉、田畠倫太郎、世界を動かそうと思えば、まず自分が動くことから始めよう!、2014年1月5日、
http://p-hachioji.jugem.jp/?eid=57&_ga=1.80823441.702293222.1330610468
[6]Moonbot Short, ‘The Boy Who Learned to Fly,’ Now Online、AWN.com、2016年7月19日、
http://www.awn.com/news/moonbot-short-boy-who-learned-fly-now-online
[7]みやざきひろかず/宮崎博和、プロフィール、ワニくんのへや、
http://park.geocities.jp/wanikun02/new-profile.htm
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Posted on 2016/08/16 Tue. 16:21 [edit]

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