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子どものころ戦争があった  

子どものころ戦争があった

オリンピック(錦織、勝った!佳純ちゃん頑張れ!ボルトすげーっ!)と高校野球(横浜、負けた…)の熱戦に翻弄されていたら、今日が終戦記念日だったことをすっかり忘れていた。完全に風化しとるね。で、過去に『9番目の戦車』(ときたひろし)を紹介したこともあって、『図鑑世界の戦車』(アルミン=ハレ)とか『学研のX図鑑戦車』(竹内昭)とかのマニア系を取り上げようかと思ったのだけど、書棚を見渡すとこんな本があった。『子どものころ戦争があった』(あかね書房編)。児童文学作家と画家20人が語る戦争体験をまとめた本だ。今日はこれにしよう。

まだ全部読んだ訳ではないが、ここ横須賀・按針塚とゆかりのある佐藤さとるさんの一文「中学生時代」が興味深い。言うに及ばず、氏も1つ違いの私の父と同様、軍国少年だった。太平洋戦争がはじまった時、彼は旧制中学の2年生。この頃既に横須賀から横浜・戸塚に転居されている。

航空母艦「蒼龍」
航空母艦「蒼龍」
出典:http://sakurasakujapan.web.fc2.com/main03/weaponjpnacsoryu/soryu01.jpg

佐藤さとる氏の父上は、生え抜きの日本帝国海軍機関少佐。太平洋戦争開戦時には航空母艦「蒼龍(竜)」に乗艦、真珠湾攻撃にも参加している。その後、何度か帰国して、彼の言う「日本海軍の事実上の終焉」ミッドウェー海戦に出撃、今は蒼龍とともに太平洋の海に眠る。

横須賀に入港するロナルド・レーガン
「蒼龍」の母港、横須賀に入港する米海軍航空母艦「ロナルド・レーガン」(2016年7月26日撮影):まさか70年後の横須賀でこんな風景が見られるなんて、佐藤さとる氏の父上は想像すら出来なかっただろうね。

そのほとんど留守がちだった父親との戸塚駅での最後のエピソードに胸を打たれるが、私の関心を引いたのは、5年生(昭和19年)の時のお話。1学期に彼ら学生たちは、陸軍機甲化訓練所という場所に連れていかれた。そこで約一カ月、主に自動車の整備についての教育を受けたのだという。以下引用。

「ここにいるあいだはまったくの軍隊式で、ひっぱたかれながら仕こまれた。用語からして奇妙キテレツなものが多く、丸ハンドルのことを走行転把てんぱ、チェンジレバーを変速槓杆こうかんなどと覚えさせられた。」

「転把」「槓杆」の文字が、私を釘付けにする。もし、日本があの大戦に勝っていたら、今ごろ「自動運転車に走行転把操作は不要です」とか「この電動未来車には変速槓杆が付属しません」とか、東京モーターショー(自動車展覧会)の解説文に書かれていたかも知れないとつまらん想像をしてしまった。

この教習の最後に1週間だけ運転実習があり、鬼軍曹を助手席に、わずかな時間だけ『走行転把』を握らせてもらえたそうだ。しかしこれには後日談があって、この実習の後はじまった勤労動員で製粉工場へ通っていた時、彼を含む4名の学生が、再び陸軍機甲化訓練所に戻るよう命ぜられたのだ。今度は運転実習のみ。佐藤さとるさんたちはその運転センスを認められたようだ。

また厳しい軍隊式の訓練かと彼は気が重くなったが、あれほど怖かった教官殿は優しく、気さくに接してくれたのだという。訓練生というより助手として、他校の整備教習の助教のようなこともさせられたそうだ。こうして彼が16歳のときには、小型四輪自動車運転免許を取得した。その免許で横浜港から厚木飛行場まで、大型トラックを運転していたというから、当時は自動車もほとんど走っておらず、道路も車も粗悪だったからスピードも出せなかった状況だとはいえ、年端のいかぬ子どもたちをトラック運転手に使うほど、いかに人手が不足し、異常な環境であったかの貴重な証言でもある。今の中東でも、同じようなことが日常的に起こっているのかな。

他のエピソードもじっくり読んでみようと思うけど、戦争を知らない私なんかは自分の親の世代の話だから、まだ何となくイメージができるものの、今どこかに遊びに行っちゃっているうちの娘や息子たちが読んでも、恐らくヨーロッパ中世の物語を読むように全く文化的背景を掴めないおとぎ話にしか聞こえんのだろうなあ。戦後、71年目の夏である。

2016年終戦記念日の横須賀港
今朝の平穏な横須賀港:奥に見えるのは「ロナルド・レーガン」。南極観測船「しらせ」も見える。日本中で子どもたちがオリンピックを楽しめる今を、佐藤少佐は喜んでくれているだろうか。あのとき出来なかった東京五輪もまた来ます。でも、あの頃みたいに、世界中でいがみ合いが絶えません。
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Posted on 2016/08/15 Mon. 11:50 [edit]

category: bookshelves/本棚

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コメント

そうりゅう、、

★ そうりゅうは今では最新鋭潜水艦になっています。
   ずいりゅうが横須賀港を母港としています。

http://blog.goo.ne.jp/sdtm/e/b2682bc860805ffed9381001a0466296

URL | SDTM #/ZyVyp1I
2016/08/21 03:10 | edit

Re: そうりゅう、、

SDTMさん
横須賀、潜水艦豆知識ありがとうございます。
日頃よく見る光景ですが、こうして詳細を見ると迫力ありますね。
でもこんな望遠撮影、大丈夫なんですかねw

URL | papayoyo #-
2016/08/21 12:47 | edit

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