長新太の脳内地図展

銀座でルンルンの娘と違って、アリナミンの宣伝のように肩・腰慢性疲労痛の私。このガチガチの肉体と仕事で溜まった精神疲労も一緒に緩和しようと、天気も良かった文化の日の午後はちょっと自分に刺激を与えに一人で外出をした。買い物もあるので市内のとあるショップにクルマを止め、バスで横須賀美術館へ。

久々にバスを待っているとこれが全然来ない。時刻表を確認してもとっくに来ている時間なのに。停留所で待っていた老夫婦もイライラしている。約10分遅れでやって来たバスに乗って、その遅れた理由がわかった気がした。バスの乗客は高齢者が非常に多かった。歩行の不自由な方も結構おられ、乗降時にものすごく時間がかかるのだ。そりゃあ、乗り降りしにくいわ、混んでるし。日頃は自家用車でしか移動をしないので、公共交通、それも田舎のローカルバス路線で何が起こっているのかを知る機会がほとんどない。これが高齢社会の現実なんだと、たまには歩いてタウンウォッチをしないと世の中わからんもんである。

少子高齢化と言われて久しいが、都市のアクセスビリティはどこまで改善されているのだろうか。横須賀より規模の小さいフランスのルーアン市では、TEORというバス高速輸送システム(BRT、bus rapid transit)が2001年から運用されているという。路上にペイントされた白線をカメラで認識するシステムを導入して、停留場に近づくと自動ステアリングとなり、バス停へピタリと横付けされる。これによって公共バスの乗降バリアフリーを実現するというものだ[1]。ある意味簡易型の自動運転バスだが、自動運転は高齢者に欠かせないものになると[2]では言及している。特に生活の足が不可欠な地方都市では、自動運転技術による無人タクシーが救世主になるだろうという仮説だ。メーカーが相次いで数年以内の自動運転車実現をアナウンスしており、新しい市場の拡大が期待されている。これに乗じて今後、自動運転を既得権益とした謎の役人天下り先がどんどん設立されることになるだろう。そしてそこへ費用対効果も怪しい税金が大量に投入されることになる。しかし、日本の高齢化に対応したアクセスビリティについては、残念ながら前述のフランスの例と比較するとお寒い状況と言わざるを得ない。民間企業よりも先に、まずは欧州のような公共交通システムの自動化に血税を注ぐべきなのではと、我が街におけるバス利用者の厳しい現実を真近で見てそう感じた。

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そんなことを考えながら美術館前で降車。開催中の企画展は没後10年「長新太の脳内地図」展。「ぴかくんめをまわす」でも紹介した絵本作家・長新太さんの原画展示はこの日が最終日。しかも文化の日ということでラッキーにも無料観覧日だった。人気絵本作家の原画が無料で観られるということで館内は大混雑。で、圧倒されました。長さんの自由奔放さに。彼の独創性、発想力にこっちがついていけない。その中での今回の発見は、1990年に創刊された絵本評論情報誌「Pee Boo」に連載された絵日記風の評論で使用された作品の面白さ。絵だけでなくユーモア溢れる彼の文章にも惹かれる。これらの作品は『絵本画家の日記』(ブックローン出版)として出版されているようだが[1]、長さんのテキストだけの表現媒体もあれば読んでみたいと思った。彼のアトリエに残された遺品も展示されていて、その中にハービー・ハンコックやビル・エヴァンスのジャズCDがあったことにちょっと嬉しくなった。その後は常設展示も観て、図書室(この美術館内の図書室が結構いいんです)で長さんの『ごろごろ にゃーん』なんかをパラパラめくって余韻に浸る。

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美術館を後にしてここからクルマを止めたところまで歩いて帰る計画を立てていた。5kmくらいだろうか。家族とこの美術館に来るときはいつもクルマだったので、海沿いを歩く遊歩道があることも知らなかった。

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走水神社から東京湾を見下ろす

途中、走水(はしりみず)神社にも参拝した。横須賀に長いこと住んでいるがこの神社を訪れたのは初めて。この社の創建年は不明だが、主祭神が日本武尊ということなので古事記・日本書紀の時代という説もあるくらい歴史のある神社である。

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さすが横須賀。奉献物がロシアの機雷とは。
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景色の良いウォーキングルートにもなっているため、休憩エリアが其処ここにある。

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さらに歩いて何度か来たことのある海辺のCafé、かねよ食堂に。

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陽もだいぶ落ちてきていたが、霜月だというのに陽射しが暖かい外カフェ日和。海を眺めていると日頃のストレスを忘れる。コーヒータイムで読みかけていた本も読了。

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食事もおいしいし、海を眺めながらお酒も飲めるいい感じの店なので探して来てみて下さい。お酒を飲む人はバスでね。

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その名からわかるとおり、走水は湧水で有名。ミネラル豊富なこの水は、富士山に降った雨が何十年もかけてこの地に湧いたものと言われている。写真は走水水源地。

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ウォーキングしながら猿島を望む。歩いている間は不思議とカラダの痛みが取れる。

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坂を下った先には海岸沿いにまっすぐな道が続く。

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普段クルマからは見えない場所も、歩いてみるとこんなに広いウォーキングコースになっていることにびっくり。ランニング、ウォーキングが楽しくなります。

戻って来て歩数を見てみると約1万歩。一日1万歩とはよく言われるが、この距離を毎日歩くのは、私のようにクルマ通勤でデスクワーク主体のビジネスマンだとかなり大変だ。でも今日一日、素敵な絵を見て、神に感謝をして、海辺でお茶して、1万歩を歩くと、ずいぶん「オキシトシン」や「セロトニン」も分泌されて脳内リフレッシュが図れたと思う。さあ、週末までまた頑張るとしますか。

[参考・引用]
[1]ルーアンのBRT2&3、VINCENT FUJII Yumi – Blog、2015年1月12日&19日、
http://www.fujii.fr/blog/?cat=57&lang=ja
[2]自動運転 ライフスタイルから電気自動車まで、すべてを変える破壊的イノベーション、鶴原吉郎、仲森智博・著、逢坂哲彌・監修、日経BP社、2014年
[3]長 新太『絵本画家の日記』、絵本と......、2014年2月14日、
http://ehon.cc/archives/1446#more-1446
[4]走水神社、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B0%E6%B0%B4%E7%A5%9E%E7%A4%BE_(%E6%A8%AA%E9%A0%88%E8%B3%80%E5%B8%82)



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