CSRって何?

Newsweek 世界企業ランキング

先日、トヨタ自動車が売上高による世界企業500社番付(米経済誌フォーチュン)で6位になったことを紹介したが、2007年版Newsweek Global 500(世界企業ランキング500)によると、企業ランキングはいささか異なる。

Newsweekの指標は、
①CSRを果たす前提となる財務力/「収益性」「成長性」「安全性」の3つの観点から総合評価(各20点満点)
②CSR(社会的責任)/企業統治+従業員+社会+環境(各15点満点)
③総合得点/①+②の合計によってランキングされている(詳細は[1]参照)。

さて、ここでいうCSRとは何か。CSRアーカイブス[2]という、CSR関連のサイトを集めた最大級のリンク集があったので、ここを参考にして少し勉強してみた。

CSRはCorporate Social Responsibilityの略語で、「企業の社会的責任」と一般的に訳される。この概念は海外から入ってきたもので、まだ日本では馴染みが薄い。そもそも日本企業も安全な製品やサービスの提供、雇用の創出、税金の納付、メセナ活動などの社会的責任は果たしてきているのだが、この「社会的」の定義がもう少し広くなったと解釈すればよい。

企業と何らかの利害関係を有する主体(これをステークホルダーと呼ぶ)は様々である。ステークホルダーには、顧客、株主、従業員のほか、取引先、地域住民、求職者、投資家、金融機関、政府など、実に多くの主体が含まれる。企業にとって、これらのステークホルダーそれぞれとの関係をこれまで以上に大切にし、具体的かつ実効性のある配慮行動をとることの重要性が増している。従来の経済的、法的な意味での「社会的責任」の概念がより広がってきている所以である。

もう少し具体的に考えてみよう。ある国内企業A社(仮想)が中国への工場進出を考えているとしよう。工場建設における環境浄化装置の設置基準は中国の方が緩い。これまでの考え方であれば、中国の設置基準に合わせた建設計画をしていただろう。法的にも問題ないし、中国の雇用も生む、設備投資は少なくなり経済性も良い。従来の「社会的責任」は一応果たしている。ところが、A社は世界的にも最も厳しい国内の設置基準による工場建設を発表した。

現代社会において「環境」は最も重要なキーワードである。グローバル企業における、ステークホルダーの最重要主体は顧客でも株主でもなく、彼らが生き、生活する“地球”であろう。環境に垣根はない。ましてや近隣の中国の環境汚染が進めば、中国だけでなく日本の住民へも影響を与える。浄化技術もありながらダブルスタンダードかと、国際的な非難も浴びかねない。結局この選択は、A社のブランド価値を上げ、市場からの評価も得て、株価を上げることになる。設備投資以上の効果があった訳だ。お金をちょっと惜しんでいれば逆の結果になっていたかもしれない。これが最新の「社会的責任」の実行形態であり、CSRに取り組む意義なのである。

昨今の中国製品の安全性の問題、国内でいえばミートホープの食肉偽装事件などこれほど不祥事が続くと、企業の社会的責任(CSR)への関心はさらに高まっていると思う。中国製品の問題でいえば、企業のブランド価値だけでなく、中国製という国家ブランドへの信用低下も危惧される。一人の従業員が不祥事を起こせば、その企業イメージ全体が損なわれるのと同じである。CSRは国家の危機管理戦略でもあり、イギリスやフランスは国策としてCSR推進を図っている。中国政府は真剣に考えないと本当にヤバイぞ。

AstraZenaca

さて、前出のNewsweek総合ランキングでみると、
1位…アストラゼネカ(医薬バイオ)[英]
2位…スタトイル(石油ガス等)[ノルウェー]
3位…ノボ・ノルディスク(医薬バイオ)[デンマーク]
4位…BHPビリトン(鉱業)[英/豪]
5位…TOTAL(石油/ガス等)[仏]
6位…インテル(ITハードウェア)[米]、ここでアメリカ企業がやっと登場
7位…エクストラータ(鉱業)[スイス]
8位…インディテックス(小売)[スペイン]
9位…BGグループ(石油ガス等)[英]
10位…3M(コングロマリット)[米]
10位…アステラス製薬(医薬バイオ)[日]、山ノ内製薬+藤沢薬品工業の合併会社、日本企業最高位
と日本にはやや馴染みの薄い企業が続くが、圧倒的にヨーロッパ勢が強い。

Renault デンソー 日産

自動車・部品系企業に絞ってみると、
1位…RENAULT[仏](総合43位)
2位…デンソー[日](総合49位)
3位…日産自動車[日](総合66位)
となり、ルノー・日産連合は意外や上位を占める。最近叩かれることの多いC.ゴーン社長の面目躍如である。

以下、4位…ハーレーダビッドソン[米](総合81位)、5位…VOLVO[スウェーデン](総合92位)、6位…トヨタ車体[日](総合104位)、7位…ここで登場、トヨタ自動車[日(総合111位)、8位…AUDI[独](総合134位)、9位…アイシン精機[日](総合141位)、10位…MAZDA[日](総合202位)、11位…ヤマハ発動機[日](総合209位)、12位…BMW[独](総合213位)、13位…PEUGEOT[仏](総合249位)、14位…ヴァレオ[仏](総合252位)、15位…ミシュラン[仏](総合255位)、16位…ホンダ[日](総合273位)、17位…ブリヂストン[日](総合281位)、18位…VW[独](総合282位)、19位…トヨタ紡績[日](総合311位)、20位…スズキ[日](総合343位)、21位…ダイムラークライスラー[独/米](総合345位)、22位…コンチネンタル[独](総合347位)、23位…富士重工業[日](総合370位)、24位…ジョンソン・コントロールズ[米](総合392位)、25位…GKN[英](総合429位)、26位…ダイハツ工業[日](総合435位)、26位…GM[米](総合455位)、27位…カルソニック・カンセイ[日](総合459位)、28位…Ford[米](総合467位)、29位…いすゞ自動車[日](総合488位)、30位…オートリブ[米](総合489位)、31位…ポルシェ[独](総合490位)と一般的なブランドイメージとは異なる結果となる。

①(財務指標)だけでみると、
1位…ハーレー、2位…トヨタ紡績、3位…デンソー、4位…トヨタ車体、5位…スズキ、6位…トヨタ、アイシン精機、日産、ポルシェと、やはりトヨタ勢の圧倒的勝利(勝利という言葉が適切なのか?)となる。データもいろいろな角度から見ないと、本質はわからないものだ。売上高だけで企業価値を計る時代はすでに終わっている。量より質である。ところでハーレーって優良企業なんだな。

しかしCSRランキングでルノー・日産グループが上位なのはなぜなのだろう。彼ら以上にトヨタやホンダだって環境技術の先進企業のイメージがあるので、もっと上位でもよさそうだが。CSRは単純に環境責任の側面だけで評価されるものではないが、最大の理由はコミニュケーション能力の差なのかもしれない。

最も基本的なCSR活動は、企業活動について、ステークホルダーに対して説明責任を果たすことである。会社の財務状況や経営の透明性を高めるなどといった活動である。地震による柏崎原発の事故や対応の不備が、後から後から噴出してくるのは、東電がきちんと説明責任を果たしていない表れである。今回の東電の対応をみていると、CSRに対する認識の低い会社だと感じた。その企業が、どんなに素晴らしいアクティビティを行っていても、他者に対してきちんとした説明・理解を促し、目に見えるようにしなければ実態は何もわからないわけだし、信用もされない。「武士は黙して語らず」というように、日本人は黙々と誠実に清貧に生きることが美徳とされてきたが、ちゃんとやっていれば誰かが見て評価しているものだは昔の話。グローバルスタンダードは「しゃべらぬもの信用されず」である。

このステークホルダーに対するコミニュケーションの点で、日本企業は出遅れているのではなかろうか。多国籍、他民族社会の欧米人は小さい頃からコミニュケーション能力を鍛えられている。その中でもルノー・日産にはコミニュケーション能力に長けたゴーンCEOがいる。さらにルノー・日産の大株主は直接的、間接的にフランス政府である。CSRを国策とするフランスの影響がないとはいえないだろう。

賢いトヨタやホンダがこのまま無策のままのわけはない。そのうち上位にランキングされるのは時間の問題であろう。来年のランキングはがらっと変わるかもしれない。中国企業が上位に入ったりして。。。

それにしても、グローバル企業って言うのは、いろんな人の顔色をみなきゃならない大変な時代になったものです。

[参考・引用]
[1]世界企業ランキング Newsweek Global 500 2007、Newsweek日本版、p44-60、2007.7.4
[2]CSR Arcives、
http://www.csrjapan.jp/
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[ 2007/07/27 12:38 ] cars/車のお勉強 | TB(1) | CM(0)

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[2007/07/30 09:42] URL トヨタが好きなんだよね