無防備

愛車にドライブレコーダーを付けた。とあるルートで以前にタダで貰っていたものだ。肩も痛いし、自分で取り付けるのもめんどくさいので、ディーラーの定期点検の際に一緒にやってもらった。「集中力」で紹介したように、天野先生の言葉で自動車運転が「命のやり取りの場」での作業だという気づきをもらったが、このドラレコ導入によって自分の運転が記録に残ることを考えると安全運転の意識もワンランク高くなったような気がする。それでもついつい飛ばしちゃったり、ヒヤリとする場面には遭遇するのだが、今日はここ半月の間に、色々と考えさせられた場面を紹介する。

無防備な人々1

まずこのシーン。横須賀市内のありふれた光景だ。交差点を右折すると、歩車道が分離されてない道路を年配のご婦人たち4人が横一列になって歩いていた。自宅周辺の幹線道路は上下線が分離されていて、女性たちが歩いているのはその上下線を繋ぐ連絡路みたいな道。だからクルマの通行量も少なく、走っていたとしても車速が低いのでリスクは小さいのだが(駅のロータリーに向かう道なのでバスも通行する)、それにしてもクルマが近づいても我が物顔で車道いっぱいに歩く神経。最近、近所で気になるのが、車道と分離された歩道がちゃんとあるのに車道の路肩を歩く人が結構いることだ。歩道が狭いとか、歩いている人が多いとか、段差が辛いハンディキャッパーとかそんなこととは無関係にわざわざ危険な車道を歩く人たち。理由がよくわからない。

無防備な人々2

次のシーンもそれに近い。早朝に国道134号の小動から行合橋付近を西へ向かって走行するドライバーなら恐らく一度は見たことのあるご高齢ランナー。夏場は半裸でランニングをされているのでかなり目立つ。この方も反対車線に歩道があるにも関わらず、最も危険な車道逆走行をしている。この区間は見通しのよい直線路なのでクルマも結構スピードが出ているし、かなり長期にわたって護岸工事を行っているので路幅も狭くなっており、リスクは相当高い。対向するドライバーにとっては冷や汗ものの運転シーンだ。今は早朝でもまだ明るいので視界はよいが、冬場にこの時間だと突然目の前にランナーが現れてドキッとしたこともある。ドライバーの気づくのが遅れて衝突すれば、致命的な事故になる。健康のために走っているのだろうが、こういう走り方は本末転倒、自殺行為だと思わないのだろうか。

無防備な人々3
無防備な人々4
無防備な人々5

最後はバイク走行。バスと自車の間を高速ですり抜けていく。しかもカーブで。四輪に乗っていれば割と当たり前の光景だが、毎度毎度ヒヤヒヤする。もし路上に何かの小さな破片とかオイルが落ちていてバイクがそれを踏んでいたら、もしバスがちょっと外側に膨らむか、あるいは私がもう少し内側に切り込んでいたら…。彼は即死だったかもしれない。

いずれの気になる方々もこちらが引っかければ0:100で当方の過失事故とみなされる(3番目のケースは微妙だけど)。こういうリスクを想定しながら、まさに「命のやり取りの場」で我々は日々運転をしている訳だが、四輪以外の歩行者や二輪車も、道路を共同利用する以上、もう少し自分の命のリスクに対しては自ら防衛をしてもらえないだろうかと思うのである。

安保法案の賛成論者の意見「平和ボケの日本人」ではないけれど、それ以前に己の身の周りの安全に対して、あまりにも無防備な日本人。生物と言うのは本能的にリスクから避けることによって種を保存してきた訳だけど、人間、特に日本人は世界的にも稀な安全や平和な社会に長く慣れ親しんできたせいか(それはそれで結構なことなんだが)、この生物本来の本能が急速に退化しているように思える。それどころか日本人は地震や台風といった自然災害のリスクと長年共存してきたにも関わらず、最近その自然に対する畏敬の念すらも薄れているように感じる。山の神がいつお怒りになるかは誰にもわからないのに、ビジネス優先で安全だ、風評被害だと言う人々の感覚もそう。一方で自然と対極的なテクノロジーへの信仰は日に日に高まっている。自動運転、人工知能、これらは我々の社会にとてつもない変革と利益をもたらす可能性を秘めているが、まだまだ未知なるこれらの技術は、想定外のリスクをはらむ両刃の剣なのかもしれない。新しい技術を始めるときは熟考が必要だ。KY(危険予知)とでもいうべきか。我々は原子力発電でその教訓を痛いほど学んだはずだ。しかし世の中は、またぞろ雪崩のようにこのブームに乗ろうとしている。

日産『IDS コンセプト』
人工知能(AI)による自動運転技術を搭載したクルマ[1](2015東京モーターショー)

リスク回避の生物学的本能が退化した人間がこれらのテクノロジーを持つとどうなるのか。SFではないが、ひょっとしたら30年後、人間は高度に進化した機械によって滅ぼされる運命が待っているのかもと、無防備な人々を見てそう思ったのである。

使用したドライブレコーダー:FIRSTEC FT-DR ZERO PLUS

[2015.10.29追記]
無防備な人々6
横須賀は、やはりアホが多いのだろうか…

[参考・引用]
[1]【東京モーターショー15】オートパイロットで行く? ステアリングで攻める?…日産 IDS コンセプト、大野雅人、レスポンス、2015年10月28日、
http://response.jp/article/2015/10/28/262996.html

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