あかくんでんしゃとはしる1

今日は久しぶりに“あかくん”シリーズ第3弾、江ノ電と赤いミニがモデルとなっている「あかくん でんしゃと はしる」(あんどうとしひこ・作、福音館書店ちいさなかがくのとも通巻70号)を紹介する。本書の紹介をサボっていた間に、あんどうとしひこ(安藤俊彦)さんのクルマ絵本は、ワーゲンバスが主人公の「カフェバスくんが いく」、再びあかくんシリーズに戻って「あかくん やまを はしる」「あかくん こうそくを はしる」の3冊が上梓されている(いずれも福音館書店ちいさなかがくのともシリーズから)。

先月27日の日曜日、娘が通う美術予備校でジュニア(中学生)を対象としたクラスに息子が体験参加した(長女はしっかりと正規授業)。お姉ちゃんのようにマジメに絵を習いたいという訳ではないのだが、絵を描くのも大好きな長男。ここのところサッカー漬けだったので、ちょうど良い気分転換になってようだ。今回の授業のテーマはショッパー(ショップのオリジナル買い物袋)。お店の設定や購買対象まで自分で考えさせて、袋のカタチ(展開図から自分で起こす)や色・柄をクリエイトするグラフィックデザインのお勉強。なかなか高度なことをやらせる。グラフィックデザインと言えば、例の佐野某氏がトートバックのデザインでも騒動を起こしていたが、出来上がった作品を見る(参照先)と、彼らアートスクールの中学生たちの方が気の利いたデザインをしている(もちろんオリジナル)、と思いません?

祭りで賑わう大船駅前
祭りで賑わう大船駅前

という訳で、我々親たちも朝も早くから学校のある大船方面へ一緒に出かけ、各々時間を潰すことになった。私はそのまま、ウォーキングも兼ねて久しぶりに湘南エリアの本屋を散策することに。大船駅で3人と別れ、藤沢へ。藤沢はちょうど市民まつりで大賑わいだった。横須賀と違って何だか街全体に活気がある。人口減少の市と増加する市の勢いの差だろう。人を掻き分けまず向かったのは、駅前の有隣堂リブックス藤沢店5Fの古書売り場。そこから太虚堂書店、湘南堂ブックサーカス藤沢店、光書房の王道ルートを梯子して再び駅へと戻る。気になる本もいくつかあったが、購入本は無し。今回は訳あってなるべくお金は使わないと決めていた。藤沢駅ではこちらもかなり久しぶりの江ノ電へ乗車した。そう、本書紹介のネタにしたかったのだ。

本書は架空の路線を走り、架空の駅に停車する電車と“あかくん”こと赤いミニとの物語であるが、電車の色カタチもその電車が走る風景も紛れもなく江ノ電がモデルである(本書の解説小冊子にも江ノ島電鉄の紹介がされている)。

江ノ電20形
やって来たのは20形

ホームの一番端っこで到着する江ノ電を待っていると、やって来たのは先頭車両が江ノ電グリーンの20形。被写体としてはグッドである。江ノ電を見に(撮りに)行って定番ではない水色の車体に出くわすとちょっとがっかりするからね。折り返し鎌倉駅行きの先頭車両はその水色車両だった。まあいい。眺めの良い先頭車両に乗ることにした。途中、運転席真後ろの特等席が空いたのですかさず移動。おーっ!、計器類もバッチリ見える。なんかタモリ倶楽部のようで童心に返った気分になった。

あかくんでんしゃとはしる その1 江ノ電初代500形
あかくんと走る電車と江ノ電初代500形[1]

本書の電車のモデルは江ノ電の初代500形。1956年から製造され、2003年に営業運転を終了している[1]。現行500形に比べ、丸みを帯びた車体が特徴的である。

あかくんでんしゃとはしる その2
電車と車と人が混走する路面区間(「あかくんでんしゃとはしる」より)
江ノ電の江ノ島~腰越区間
江ノ電の江ノ島~腰越区間

絵本にも登場するように、江ノ島駅から腰越駅付近までは、電車と車と人が混走する路面区間になっている。昔懐かしいチンチン電車を思い出す。道路の幅は決して広くはないのだが、けっこう人や車の往来が激しい。信号待ちしていた車がちょっと電車の走行エリアにはみ出していたので、離合出来る位置まで車がバックをする。電車が近づいているにも関わらず、のんびりと横断するご老人。こういう場面に不慣れな我々は、運転手でもないのにちょっとヒヤリとする。でも地元の住民は慣れたもんである。

あかくんでんしゃとはしる その3
トンネルを抜けるとそこは海(「あかくんでんしゃとはしる」より)
海岸線を通る江ノ電

本書ではトンネルが効果的に使われている。トンネルを抜けるとそこは海。この場面は、路面区間を終え、腰越駅を越えた辺りから相模湾が見えてくる鎌倉高校前駅辺りまでをイメージしているのかな。江ノ電における実際のトンネルは、極楽寺駅と長谷駅の間の「極楽洞」(極楽寺トンネル)が路線唯一のトンネル[2]。トンネルを抜けるとそこはあの世だった・・・。

併走する粋なクルマはいない
併走する粋なクルマはいない

車窓から国道132号を併走する赤いミニはいないかと目を凝らして眺めていたが、赤いどころかBMWミニも含めて一台も見つけられなかった。踏切待ちをする赤いプリウスには遭遇したが、緑の江ノ電と並んで絵になる赤いクルマといえば、今ならマツダ・デミオとかロードスターといったところだろうか。

あかくんでんしゃとはしる その4
橋を渡るでんしゃとあかくん(「あかくんでんしゃとはしる」より)

電車とあかくんが小さな橋を渡るシーンがある。江ノ電に乗っていて橋(川)を渡る場所には全く気づかなかったが、調べてみるとわずか10kmの江ノ島電鉄は7つの河川を跨いでいるのだと言う[3]。俺は何を見ていたのだろう。その中で有名な橋と言えば、鵠沼(くげぬま)駅と湘南海岸公園駅区間の滝川に架かる鵠沼鉄橋(境川橋梁)や腰越駅手前で神戸(ごうど)川を跨ぐ神戸橋。神戸橋は日本で唯一の鉄道道路併用橋なのだそうだ[4]。その他には七里ヶ浜駅を出てすぐの行合(ゆきあい)川を跨ぐ行合橋などがある。絵本の中の橋は鉄道道路併用橋ではないので行合橋がモデルになっているのかもしれない。

鵠沼鉄橋
鵠沼鉄橋[5]
神戸橋
神戸橋[6]
行合橋
行合橋[7]

本書もまた、あかくんだけではなく、あんどう氏拘りの旧車たちが続々と登場する。アルピーヌ、メッサー(メッサーシュミットKr200)、ポルシェ911、DS、BMWミニ、オースチン・ヒーレー300MkⅢ、初代ムルティプラ・・・。残念ながら今回の江ノ電の旅では、車窓からこれら夢のような名車・旧車たちを拝む機会には恵まれなかった。

あかくんでんしゃとはしる その5 あかくんでんしゃとはしる その6
フェラーリ250GTベルリネッタ?テールフィンスポーツはチシタリア 202?謎のクルマも多い(「あかくんでんしゃとはしる」より)

私は長谷駅で下車し、本屋巡りを再開した。県道311号鎌倉葉山線を鎌倉駅に向けて歩き出す。syocaソングブックカフェメッゲンドルファー公文堂書店を物色した後、江ノ島電鉄を抜け若宮大路を渡ってbooks mobloへ。ここ鎌倉でも本の購入は控える。鎌倉駅に辿り着いた頃にはもう足は棒状態。気力を振り絞り、大船駅へ戻って来た。まだ子供たちの授業は終わっていなかったので、ブックオフ鎌倉大船店で時間を潰す。夕方、それぞれの予定を終えた家族全員が集合し、焼き鳥屋で夕食となった。今日の作品を見せてもらいながら酒と箸が進む。本の収穫はなかったが、『佐藤』の麦のお湯割りで締めて心地よい筋肉痛とほろ酔い加減の帰宅となった。

[参考・引用]
[1]【全部見せます】江ノ島電鉄★歴代車両画像集【江ノ電】、NAVERまとめ、
http://matome.naver.jp/odai/2142129903821164601
[2]極楽洞~江ノ電のトンネル~、鎌倉手帳(寺社散歩)
http://www8.plala.or.jp/bosatsu/gokurakudo.htm
[3]江ノ電100周年、www.hbirds.net、2010年9月25日、
http://www.hbirds.net/postgallery/%E6%B1%9F%E3%83%8E%E9%9B%BB100%E5%91%A8%E5%B9%B4/9397
[4]鉄道道路併用橋、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E9%81%93%E9%81%93%E8%B7%AF%E4%BD%B5%E7%94%A8%E6%A9%8B
[5]江ノ電慕情、青空、ひとりきり、2008年11月15日、
http://blog.goo.ne.jp/tatsuhiko0224/e/4f3f2c2e7b1e07721b7d32babfccf5d8
[6]江ノ電 腰越の神戸橋、湘南オヤジのブログ、2012年9月23日、
http://ameblo.jp/syonanoyaji/entry-11361830448.html
[7]行合橋にて。、気ままよろず日記、2013年7月26日、
http://blogs.yahoo.co.jp/c_xantia_01/64084873.html

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