月夜のバス

月夜のバス

今宵はスーパームーン。お天気にも恵まれ、美しい満月を拝むことができた。こんな神秘的な夜にもってこいのクルマ絵本といえば、「月夜のバス」(杉みき子・文、黒井健・絵、偕成社)かな。

私の大好きな絵本「ヤンときいろいブルンル」の作者、黒井健の幻想的な絵が、この絵本のストーリー、シチュエーションに見事にマッチしているのだが、それ以上にこの絵本はその文章が良い。

冒頭から杉みき子の世界に引きずり込まれる。

月夜だった。
防波堤にうちよせる波がしらが白い。
海ぞいの国道は、ラッシュアワーをすぎて、
車のゆききがいくらか間遠(まどお)になっていた。

黒ぐろと海につきでた岬をめぐって、
まるでそこからうまれでるように、
空からながめたら、夜の国道は、
海をふちどりする宝石入りのながいベルトとみえるだろう。

ちょうど今宵の月を眺めながら、車どおりの少なくなった海沿いの134号を走らせ家路を急いでいた私のさっき見た風景と重なる。

月夜のバス1
ほんの数時間前に通って来たような風景(「月夜のバス」より)

その国道の狭い歩道をなぜか一人の少年がうつむきながら道を急ぐ。横断歩道で信号待ちをしていた少年の横を、いつも見慣れた黄色い大型バスが通り過ぎようとしている。
―だけど、いつもと様子が違う…。

月夜のバス2

この後の展開は是非本書を手に取ってじっくり読んでほしい。

それにしても、人類が月面に降り立ってなお、この小さな天体にミステリアスな感情を覚えるのは何故なんだろう。幻想的に下界を照らす“間接”光に、見上げる者の心の内を見透かされているようでなんだかちょっと怖い。

杉みき子
杉みき子[1]

杉みき子氏は、昭和5年(1930年)、新潟県高田市(現在、上越市)生まれの児童文学者。長野県女子専門学校国語科卒業。1954年から新潟日報掲載の“お母さんの童謡”に投稿、入選の常連として選者、関英雄氏に見いだされる。1957年、「日本児童文学」に発表した短編『かくまきの歌』『百ワットの星』ほかで、日本児童文学者協会新人賞を受賞。日本児童文学者協会会員。1972年、『小さな雪の町の物語』(童心社)で小学館文学賞受賞。1983年、)『小さな町の風景』(偕成社)で赤い鳥文学賞受賞。その他著作は多数あるが、幼児回想の掌編集『白いとんねる』、成人対象の散文詩的短編集『かんぎの町から』(いずれも偕成社)など、郷土の自然と人々の生活を、清冽な抒情と人間愛で散文詩的に描くのが本領。本書『月夜のバス』は『小さな町の風景』の中の一篇を絵本化したものだそうだ。

黒井健氏は「ヤンときいろいブルンル」参照。

作者のお二方とも新潟出身。本書の風景は、日本海沿いのどこかなのだろうか。

今宵のスーパームーン
今宵のスーパームーン

[参考・引用]
[1]寺町だより、杉みき子オフィシャルサイト、
http://www.j-times.jp/sugi/

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