最前線、ここは横須賀

最前線、ここは横須賀

今回の安保関連法で論点となった集団的自衛権をもっとも端的に表している日本の場所の一つが、ここ私の自宅からも見える横須賀港だ。手前が海上自衛隊横須賀基地、奥が米海軍第七艦隊横須賀基地。今までこの両基地には見えないバリアがあった訳だが、今回の法律によって本格的に共同作戦を行えるようになった。といえば聞こえはいいが、我が街が生んだ総理大臣、小泉純一郎氏がその昔、米国のポチと言われていたのを思い出す。名実ともに自衛隊はアメリカの国防戦略に組み込まれ、日本は完全に米国の支配下に置かれたのだと理解している。あの戦争に負けて70年、つまりは占領された日本の戦後はまだ終わっていないということ。このブログのテーマとは関係ない話題だけど、地元民としては気になるところ。

佐藤優氏によれば、与党は採決を急いだため十分な審議が出来ず、場当たり的で支離滅裂な理屈づけになってしまい、実際の有事になった時には、誰も法案に基づいて自衛隊を指揮することはできないだろうと分析している[1][2][3]。今回審議された関連法の改正案及び新法案は11(皆さん知っていました?)[4]。国の重要な安全保障に関わるこれだけの数の法案審議に果たして十分な時間をかけたと言えるだろうか。またこの法律の合憲性が今後、裁判でも争われることになるのでさらに混乱は続く[5]。一番気の毒なのは、この法律と日米安保条約の狭間で翻弄される、地域の仲間でもある自衛隊員だろう。

“集団的“の集団にはもちろん中共もロシアも入っていない。今回の法案可決に対して中国政府は「日本は専守防衛政策と戦後の平和発展の歩みを放棄するのかとの疑念を国際社会に生じさせている」と批判したそうだがお前が言うなである[6]。ロシアはこのタイミングで北方領土の返還交渉を拒否したというし[7]、北方領土の返還はほぼ絶望だろう。戦争反対を主張するデモ集会を行うのであれば、中共が南シナ海で島を埋め立てて軍事施設を作っていることや、ロシアのクリミア併合、北朝鮮の核開発などにこそもっと怒りの矛先を向けるべきだ。これらの国の国際社会に対する挑発的な行動が、結果的に今回の拙速な集団的自衛権行使容認に走らせた一面もあるからだ。一方、安倍さんが色々へ理屈をこねたところで、相手にとってはアメリカとの一蓮托生の宣言にしか聞こえない。いたずらに不安を煽るつもりはないが、国際社会に敵の多い同盟国だから、これからは覚悟をしておいた方がよさそうだ。特に海外に行く人は気をつけて。

2015国際セキュリティショーDSEI
2015国際セキュリティショーDSEI:最近世間を騒がしている企業の名も[9]

今回の法案可決を一番喜んでいるのはむしろ日本の経済界である[8]。今月ロンドンで開催されていた世界最大の武器展示会「国際セキュリティショーDSEI」では日本政府と企業がちゃっかり武器輸出PR活動を行っている[9]。武器製造企業に勤める知人のエンジニアに聞いたことがあるが、政府(防衛省)へのプレゼンでアピールする点はその”商品“の殺傷能力。当然だろうと頭ではわかっちゃいるが、実際現場の生の声を聞くと、我々一般企業人とは別次元の発想で動いている業界なのだと改めて思い知らされたことがある。安倍政権の危うさは安保関連法改正よりもむしろ、「武器輸出三原則」の見直しを図ろうとしている部分だ。戦争は経済原理で動くと前に言及したが、結局全ての根底にあるのはカネである。武器で稼いで、企業の闇の部分は秘密情報保護法で隠蔽する。習主席の訪米ニュースに見るように、中露ももはやグローバル経済に組み込まれている訳だから、反目しているように見えても実は裏ではカネで繋がっていたりしてね。世の中には表と裏の世界があるのだよ。

国会周辺で大荒れになっていても、ここ横須賀のシルバーウィークは平和そのものであった。人口流出に悩む横須賀市のPR効果もあってか、最近は観光客も増えた気がする。子どもたちが部活にサッカーにと忙しかったせいもあり、私は近所でブラブラとしていたこの連休。特に今回は1日1万歩を目標に歩くようにしていた。裏山経由で横須賀名物”谷戸“のまだ散策したことがない坂道を下ってみた。

横須賀高層ビル群
横須賀高層ビル揃い踏みを一望できる場所発見:
左からウェルシティ横須賀天空の街(113m)、ザ・タワー横須賀中央(144m)、メルキュールホテル横須賀(92m)、サンコリーヌタワー横須賀中央駅前(89m→海抜24mの高台に建つマンションなので実質100m超え)[10]

横須賀風景1
谷戸名物、こんな坂を下っていくと…
横須賀風景2
何故か飼いヤギがおる
横須賀風景3
さらに下っていくと海上自衛隊基地が見えてくる
横須賀風景4
国道16号に到着:住民は毎日、こんな急な階段を上り下りする。高齢者には厳しい土地だ。
横須賀風景5
ヴェルニー公園まで足を延ばせばそこは集団的自衛権の最前線(米海軍艦船と潜水艦)
横須賀風景6
ヘリ空母、護衛艦いずも(DDH-183)

こういう横須賀の裏道を歩いていると、NAVYたちのランニングに遭遇することがままある。1人であったりグループであったりシチュエーションはバラバラだ。こんな道を走るのかと思うほど違和感のある光景なのだが、これはランニングに乗じたもっと別の訓練で、市街地戦を想定して地図ではわからない街の構造を頭に叩き込んでいるのだと聞いたことがある(そういえば自衛隊員のランニングは見たことないな)。真偽のほどは定かでないが、なるほど一理ある。一般市民としては、災害時を想定していろいろな避難経路を把握するために近所を歩きまわることは重要だ。今回も新しい発見があった。

今ホットな場所、横須賀にお越しの際は、こんな裏道を散策しながら、日本の国防を考えてみるのもよろしいかと。10月2日には、新しく配備される原子力空母ロナルド・レーガンが入港予定。おっと、そろそろクルマノエホンに戻らねば。


横須賀港全景
見かけ上平穏な横須賀港全景

[参加・引用]
[1]新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方、池上彰・佐藤優、文春新書、2014
[2]「集団的自衛権の行使は、閣議決定のところでいろいろな制限をつけたのでより難しくなりました」、佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」、2014年7月9日、
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39828
[3]佐藤優 安倍政権の焦りは不安定な外交手腕のせい?、週刊朝日、2015年7月31日号
http://dot.asahi.com/wa/2015072200003.html
[4]安全保障関連法 改正と新法の概要、NHK NEWS WEB、2015年9月19日、
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010241511000.html
[5]安全保障関連法 合憲性巡り裁判へ、NHK NEWS WEB、2015年9月19日、
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150919/k10010241581000.html
[6]安保法成立 海外の反応…米・台・比「歓迎」/中国は批判、韓国「透明度を」、産経新聞、2015年9月20日、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150920-00000045-san-pol
[7]北方領土問題、ロシア側が交渉拒否 日ロ外相会談、朝日新聞デジタル、2015年9月22日、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150922-00000007-asahi-pol
[8]安保法制:経済界は成立歓迎、毎日新聞、2015年9月25日、
http://mainichi.jp/select/news/20150919k0000e020252000c.html
[9]兵器の国際展示会、日本がパビリオン初出展、日テレNEWS24、2015年9月16日、
http://toyokeizai.net/articles/-/84712
[10]神奈川県横須賀市の超高層ビルデータベース、BLUE STYLE COM、
http://www.blue-style.com/area/kanagawa/yokosuka/
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[ 2015/09/26 12:13 ] Yokosuka/横須賀 | TB(0) | CM(0)

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