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集中力  

平常心があれば集中力は生まれる

何気ない一言が琴線に触れるというか、気づきをもたらしてくれることがある。先日テレビのニュースを見ていて、心臓外科医の天野篤・順天堂大学教授が語った一言がそれだった。

天野教授は、2012年に天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀し、一躍有名になった心臓外科医である。年間500例近い手術を執刀し、これまでに6500例を超える心臓外科手術を手掛けた“神の手”を持つと言われる天才外科医[1][2](こういう言われ方を彼は嫌うと思うが)。そんな稀代の名医が今夏、高校生向けの早期医療体験プログラムを企画した。教授が率いる医療チームに3日間帯同し、世界最高レベルの心臓手術と回復過程を見学するというものだ[2]。

私が見たニュースは、このプログラムに参加した二人の女子高生に密着した特集だった。将来医師を目指してこのプログラムに参加しようと決意した彼女たちのモチベーションの高さにも感心した(うちのバカ娘とは大違い)。その女子高生の一人の「私は好きなことでも集中力が切れるが、(これだけハードな仕事の連続の中で)手術中に集中力が切れることはないのか?」という先生への質問に対する答えが、
「命のやりとりの場だったら集中切らすってことはないんじゃないの?」

天野先生はさらっと答えられていたけど、この言葉の持つ意味は非常に重い。私は直接命のやりとりをする仕事には従事していないけれど、それでも常に集中力を切らさず仕事を続けているかと問われると答えは「No」だ。恥をさらせばパソコンの前や会議中についウトウトしてしまうことは正直ある(朝、早いからね)。命を預けている患者さんからしてみれば当たり前に聞こえるだろうが、神経をすり減らす心臓外科手術を1日1件以上、4時間を超える手術もザラにある過酷な労働環境の中でのこの言葉。一般論として医師というのは尊敬に値する職業だと思っているが、こう言い切れる天野医師はやはり“神”である。

この言葉を聞いてふと思ったのは、日常のクルマの運転だ。いつ歩行者や自転車が目の前に飛び出してくるかもしれない自動車運転は、常に「命のやりとりの場」の連続ではないのか。天野氏に比べれば私の毎日の通勤時間は、たかだか往復3-4時間である。果たしてその間、ひとときも集中力を切らさずに運転しているだろうか。交通事故原因の大半は漫然運転、つまり注意散漫、集中力が切れたことによるものである。我々はハンドルを握った瞬間、「命のやりとりの場」に放り込まれる。つまり自動車の運転とは覚悟のいる行為だということだ。天野医師の言葉を借りれば、「覚悟のないドライバーは運転をしてはいけない」[3]、そういうことを私に気づかせくれた一言だった。

彼から生の薫陶を受けた二人の高校生。キラキラと目を輝かせていた彼女らが良い医師になることを祈っている。

天野篤
天野篤・順天堂大教授[4]

[参考・引用]
[1]第108回、天野篤―患者の命を背負い、今日もメスをもつー「戦い」への挑戦が自分を鍛えた、平成の世にサムライを探して、2014年12月18日、日立ソリューションズ・ホームページ、
http://www.hitachi-solutions.co.jp/column/samurai/feature/108/
[2]順天堂大・天野篤教授による医療体験プログラム、読売教育ネットワーク、2015年5月7日、
http://kyoiku.yomiuri.co.jp/daigaku/contents/post-319.php
[3]覚悟のない外科医は手術をしてはいけない理由、天野篤、天皇の執刀医Dr.天野篤の「危ぶめば道はなし」【10】、PRESIDENT Online、2015年7月14日、
http://president.jp/articles/-/15702
[4]天野篤、ワンダフルライフ、フジテレビ・ホームページ、2014年5月11日、
http://www.fujitv.co.jp/wonderful-life/004.html


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Posted on 2015/09/05 Sat. 22:31 [edit]

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