くうこうで はたらくくるま

前回の「スカスタ・ドリームキッズ」に先立つ先週の日曜日、妻も娘も朝から不在の中、愚息とどう過ごそうかと前日から悩んでいた。ちょっと気になる体験イベントが横浜で開催されている情報も掴んだのだが、屋外で身体を動かす遊びなのでこの酷暑では危険と判断。朝目覚めてふと頭に浮かんだのがビッグバードこと羽田空港。昨年、国際線ターミナルがリニューアルされてから羽田が面白いと何かの情報で見聞きしていたからだ。スマホで改めて情報収集するとこれは使える。広大な敷地は物理的にも国内最大級のアミューズメント施設であり、しかも基本屋内なので冷房完備。我が家からは京急一本でアクセス可能だし、こんな暑い夏に子供と過ごすにはもってこいの場所だ。空港に行けば珍しい働くクルマにも会える!―ということで今回から2回にわたり、空港で働くクルマ絵本の紹介も兼ねた今夏羽田最新情報の報告をしたい。本日取り上げるクルマノエホンは「くうこうで はたらくくるま」(こもりまこと・作、教育画劇)である。

羽田空港へ遊びに行く企画は実は昨年も考えていた。ANAの航空整備士である大学時代の友人から息子さんと一緒に遊びに来ないかと誘われていたからだ。彼は当時羽田勤務だったので、ひょっとしたらバックヤードも見せてもらえるかもと日程を調整し始めた矢先、「福島空港に転勤になりました」とのメール。専門技術者同行の羽田見学は残念ながらお流れになってしまった。

先月末、母の七回忌法要が護国寺のある山口で行われた。台風12号の影響で法事は数日延期になったが、仕事の都合でどうしても外せなくなり、またしても母、そして高齢で足の具合も悪い父に不義理をしてしまった。台風が来なければこの羽田を使っていたのだが、考えてみれば帰省や出張以外に羽田空港をじっくり見て回る機会はこれまでなかった。息子も持病が発症する以前、記憶もない幼児の頃にハワイ旅行で成田を使ってからは、遠出を控えていたので空港に来たことはなかった。だから彼にとっては事実上の空港デビューだ。

AMG GT S(CBA-190378)
いきなりベンツのお出迎え:AMG GT S(CBA-190378)

CLA-180 Shooting Brake Sports
CLA-180 Shooting Brake Sports
子どもグッズもお高そう
子ども用グッズもお高そう@Mercedes me Tokyo HANEDA

京急で一本といっても自宅から1時間くらいはかかる。まずは羽田空港国内線ターミナル駅で下車して、使い慣れたANA発着ロビーのある第2ターミナル側へと向かう。改札口を出ると空港なのにいきなりベンツ車が目に飛び込んだ。最近ダイムラー・ベンツ社はディーラー店ではない“Mercedes Me”という情報発信拠点を世界各地に展開しているが、この羽田店舗が第2ターミナル地下1階につい数日前にオープンしたばかりだった。ギャラリーに鎮座するはCLA-180 Shooting Brake Sportsと参考展示のAMG GT S(CBA-190378)の2台。店舗を覗いてみるとそこにはお高そうなグッズの数々が。薄給リーマンには別世界なので次の場所へと移動する。

くうこうではたらくくるま その1
本書の舞台は羽田空港(「くうこうで はたらくくるま」より)
新旧羽田の管制塔
新旧羽田の管制塔(国際線ターミナルより望む)

もちろん本日のお目当てはヒコーキと空港で働くクルマたち。5F「フライトデッキトーキョー」の屋内展望フロアでは涼しい環境で旅客機を眺めることが出来る。まさに今回紹介する「くうこうで はたらくくるま」に登場する世界だ。但し絵本の方の旅客機はJAL。最初のページに描かれている管制塔の姿(2009年に完成した新管制塔)から本書も羽田空港が舞台だということがわかる。問題はJAL機が発着していることから国内線第1ターミナルか国際線ターミナルのどちらかということになるが、この構図は国際線ターミナルから第1ターミナルを見た風景に相違ない。それが証拠に離陸している機体を良く見るとJA8979の番号が確認できる。この機体番号を調べてみるとボーイング777-289型という国内線を飛んでいる機種だということがわかった。

くうこうではたらくくるま その2
11番ゲートに到着したボーイング777-246型(「くうこうで はたらくくるま」より)

決定的なのは次のページに「着陸した飛行機は11番ゲートに入って来た」とある。11番ゲートがあるのは第1ターミナルだ。到着した機体の番号はJA8984。こちらはボーイング777-246型。この246型はスタージェットという愛称で呼ばれ1機ごとに星の名前が付けられているのだそうだ(へえーっ)。ちなみにJA8984はオリオン座のぺテルギウス[1]。

ということで本書を語るには第1ターミナルに向かうべきだったのだが(今回はスルー)、前述のようにANAに友人がいる関係でよく使うターミナルであることと、JALには苦い経験があるため第2ターミナルで“取材”を敢行。

くうこうではたらくくるま その3
マーシャリングカー(「くうこうで はたらくくるま」より)

飛行機の話はこれくらいにして本題の空港の働くクルマたちについて紹介する。11番ゲートに入って来たボーイング777はマーシャリングカーというクルマに乗った航空機誘導員(マーシャラー)のパドルによる誘導で停止線にピタリと止まる。

くうこうではたらくくるま その4
フードローダー(奥)とハイリフトローダー(手前)(「くうこうで はたらくくるま」より)
実際のフードローダーとハイリフトローダー
実際のフードローダーとハイリフトローダー@羽田第2ターミナル

この場面に登場するのは貨物室からコンテナを地上に下ろすハイリフトローダーと飲食品などの積み下ろしするフードローダー。フードローダーはその形状から“Scissors(はさみ) Truck”と呼ばれるのは“YOU CAN NAME 100 TRUCKS!”で勉強した。

くうこうではたらくくるま その5
サービサー(「くうこうで はたらくくるま」より)
実際のサービサー
実際のサービサー(手前)とベルトローダー(奥)@羽田第2ターミナル

サービサーと呼ばれる燃料補給車は、空港の地下に引かれた燃料パイプにサービサーのホースをつないで旅客機に燃料を補給する重要なクルマだ。主翼の下から見上げた大胆な構図がとても気に入った。

くうこうではたらくくるま その6
ランプバス(左)とパッセンジャーステップカー(右)(「くうこうで はたらくくるま」より)

ターミナルから離れた場所に到着した旅客機への乗り降りでは、階段が付いたパッセンジャーステップカーが活躍する。旅客機のドアにピタリと付けて乗客を安全に乗降させ、ランプバスが乗客を送迎するために旅客機と乗り場の間を往復する。ランプバスといえばキアヌ・リーブス主演の「スピード(Speed)」(1994年・米)かな。私が子供の頃は、乗客は旅客機からタラップで乗り降りするのが普通だった。ビートルズ初来日も然り。私はタラップといえば「アップダウンクイズ」を思い出す(古すぎ!)。今じゃ本書の表紙にあるようにパッセンジャーボーディングブリッジという可動橋がターミナルビルから延びてきて旅客機と連結するのが当たり前。

くうこうではたらくくるま その7
ベルトローダー(左)とラバトリーカー(右)(「くうこうで はたらくくるま」より)

ベルトローダーは後方の貨物室で手荷物や貨物を積み下ろしするクルマ。ラバトリーカーは飛行機から出た汚水をタンクに貯める。

くうこうではたらくくるま その8
トーイングトラクター(「くうこうで はたらくくるま」より)
実際のトーイングトラクターとラバトリーカー
実際のトーイングトラクター(奥)とラバトリーカー(手前)@羽田第2ターミナル
力強いトーイングトラクター
力強いトーイングトラクター@羽田第2ターミナル

トーイングトラクターはバックが出来ない旅客機を押してバックさせる力持ち。これは子供が大好きだと思う。がたいもゴツくてカッコいい。

ところで本書を読んでいくつかの疑問が生じた。まず表紙の絵だが、旅客機の後方には海(東京湾)が見える。これがもし羽田空港第1ターミナルからの描写であればちょっとおかしいのだ。第1ターミナルは第2ターミナルと国際線ターミナルに挟まれている。したがって第1ターミナルから海に向かって描こうとする(下図A)と海までの間に広いA滑走路と国際線ターミナルが入り込んでしまうハズだ。この絵を描くには第2ターミナルからの方(下図B)が矛盾がない。しかし第2ターミナルは基本ANAの発着場だ。これは一体どこから描いた風景なのだろう?

羽田空港マップ

また、ベルトローダーとラバトリーカーが登場する場面では、旅客機は92番ゲートに到着しているが、調べてみると羽田空港に92番ゲートはないのである。ここは一体どこ?

さらに巻末の取材協力先には不思議なことに羽田空港(東京国際空港)の文字はない。代わりに茨城空港がクレジットされている。茨城空港はもともと航空自衛隊・百里飛行場を官民共用空港にして2010年に開港している。現在茨城空港に国内線を飛ばしているのは経営破綻したスカイマークだけで民間空港としての運用継続が危ぶまれている[2]。一体何の取材に協力したのだろう?

展望デッキ

飛行機と空港の働くクルマをすっかり堪能したところで、せっかくなのでジェットエンジンの爆音を聞こうと屋外の展望デッキへ出てみた。外は恐ろしいくらいの暑さだった。着陸時の逆噴射音を聞いて足早に涼しい屋内へと戻る。

「好きだから車だけ」展

さて、この日お父さんが行きたかった場所の一つ。同じ「フライトデッキトーキョー」内で21日から開催されている「好きだから車だけ」展。おもちゃコレクターで有名な北原照久氏が所有する自動車玩具が所狭しと展示されているのだ。子供の頃持っていたブリキ製の玩具や古いマッチボックスのミニカーなどとても懐かしい。驚いたのは旧いペダルカーのリアリティ。原車をそのままミニチュアにしたかのような精巧さだ。

「好きだから車だけ」展 その1 「好きだから車だけ」展 その2
「好きだから車だけ」展 その3 「好きだから車だけ」展 その4

会場の奥には北原氏ご本人がおられた。当日はトークショーが企画されていたからだ。ファンの方と握手されたりお知り合いの方と談笑されていたので、邪魔にならないように近くの展示品を眺めていると、北原氏自ら「すごいでしょ」と声を掛けて下さった。しばらくお話させて頂いたが、コレクション暦はもう半世紀近くになるという。私がクルマの絵本を集めていると言うと、この会場にはないが彼もたくさん絵本を蒐集されているという。私と違って彼のコレクション絵本はお宝ばかりに違いないが、是非拝ませて頂きたいものだ。最後に厚かましくも息子と一緒に記念写真をお願いして快諾。なんというラッキー。実に気さくな方でとても‘48年生まれには見えない若々しさ。帰宅後、改めて彼のことを調べてみると非常にプラス思考の人生観を語っておられる(僕はこうして“夢”を叶えてきた)。これが彼の人柄や若さの秘訣なのであろう。私もパワーも貰ったので少しでも見習いたいと思う。次回に続く。

「好きだから車だけ」展 その5 「好きだから車だけ」展 その6
「好きだから車だけ」展 その7 「好きだから車だけ」展 その8
溜息の出る北原コレクションの数々(「好きだから車だけ」展より)

[参考・引用]
[1]スタージェット (旅客機)、Wikipedia、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88_(%E6%97%85%E5%AE%A2%E6%A9%9F)
[2]スカイマーク撤退説に怯える茨城空港の煩悶 茨城県が打ち出した「大盤振る舞い」の賭け、東洋経済ONLINE、
http://toyokeizai.net/articles/-/73866


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