サッカーW杯、東京五輪どうなる?

FIFA

またまたブログテーマから離れる。FIFAの汚職問題。「順理則裕」でも言及したように如何わしいカネが動いている世界なのは、別に当事者として見聞きした訳ではないけれども、過去の数々の不可解さ―W杯開催国の決定プロセス、実力不相応の参加国枠(※1)、試合の疑惑判定等々―を振り返れば状況証拠として誰の目から見ても明らかなのだから別に驚きはしない。
(※1)ブラジル杯で1勝も挙げられなかったアジア出場枠は今回のFIFA理事会でも維持された[1]。アジアサッカー連盟(AFC)はブラッター票に回ったからね。


何故アメリカなのかという別の疑問はあるものの、正直ここまで司直の手が入るとは思わなかった(※2)。それにしてもサッカーマフィアの大親分、ブラッター会長がこの期に及んで会長職五選を果たすとは・・・。一時は会長選に立候補し直前に取りやめた元ポルトガル代表・フィーゴの言葉が全てのサッカーを愛する人たちの気持ちを代弁している。「サッカーに罪はない。もし彼が少しでもフットボールのことを気にかけるならば、再選は諦めていただろう。もし彼が少しでも常識があれば、ここ数日で辞任していたはずだ」と[3]。
(※2)問題の“gift”が米国のスポーツマーケティング企業などから供与されていたのが理由らしい。記者会見で「汚職は必ず一掃する」と厳しい態度で臨む姿勢を示したリンチ米司法長官だが、FIFA幹部らの起訴は長らくFIFA汚職事件に関わった検事時代からの悲願なのだそうだ[2]。兎に角、命を狙われないことを望む。

5選を果たしたブラッターFIFA会長
5選を果たしたブラッターFIFA会長[4]

フィーゴも所属する欧州サッカー連盟(UEFA)などは反対を表明したが、新しく田嶋幸三氏がFIFA理事に選出された日本を含めアジアサッカー連盟(AFC)の多くは支持に回ったようだ[4]。JFAの大仁会長は誰に投票したかは明言を避けたが[5]、逆にこのことがJFAの答えを示している。わかり易い。JFAのマネジメントに対する不信感については既に過去の記事で示したが、彼らは完全に腐れ切っている。ブラジル杯でも日本代表のキャンプ地についてJFAの選択に疑問の声が上がっていた[6][7]。何故選手には不利と思われる試合会場とは移動距離も遠い、気候も正反対のイトゥを選んだのか。単なる協会の判断ミスなのか?イトゥにはJAFの大スポンサー、K社のブラジル本社があったそうだし(K社スポンサーの親善茶番試合はいい加減止めた方が良い)、今回の汚職事件でもあのスポーツウェアのトップブランドN社の関与が噂されている。

FIFAがこのままの体制で進むのであれば自浄能力は全く期待できないし、反ブラッター派のUEFA脱退や2018ロシア杯で強豪国が出場をボイコットする可能性もあるだろう。W杯崩壊という最悪のシナリオも否定できない。トヨタがクラブW杯のスポンサーから撤退したのは正しい選択だったのかもしれない[8]。ひょっとしてもし今回の動きを察知していたのなら、トヨタの情報収集能力と経営判断はすごいと思う。

新国立競技場案
新国立競技場は予定とおり完成するの?[9]

一方東京五輪も何だか雲行きが怪しい。新国立競技場の建設に関して舛添東京都知事が怒り心頭のようだ。事の経緯はこんな感じだ[9]。五輪の東京誘致が決まる前年、2012年11月に新国立競技場の国際デザインコンペで英国の建築設計事務所、ザハ・ハディド・アーキテクトが最優秀賞を射止めた。このザハ・ハディド案に対しては選考当初から賛否両論、批判や疑問の声も多かった[10][11][12]。自動車のデザインと同様、建築デザインも好みの部分が大きいので専門家の評価に委ねるが、個人的には主張が強すぎるザハ・ハディド案よりも、日本開催のメイン会場らしく自然環境との調和を感じられるSANNA案の方が好きだったかなあ。

問題は当初1,300億程度とされた総工事費が3,000億にまで膨れ上がったことだ。東京五輪が決定したことで建設土木業界に利権が群がる。ここぞとばかり、業界は資材費や人権費を釣り上げて来たのであろう。さすがにこれではまずいと新国立競技場を運営する日本スポーツ振興センター(JSC)はデザインを見直して1,852億円に圧縮した。それでも当初予算よりも上回っている。昨年には下村博文五輪担当相(文科相)が資材の見直しなどによりさらに1,692億円に圧縮すると言ったものの、旧国立競技場の解体工事の遅れも発生して、このままでは工期に間に合わなくなった。私は2020年のオリンピックまでに間に合えば良いと思っていたのだが、実は‘19年に日本初開催となるラグビーW杯のメイン会場として完成させる予定だったのだ。

この結果、工期短縮のために全天候型にする開閉式屋根の設置を五輪大会後に先延ばし、コスト削減策として可動式の観客席約1万5千席分を仮設にすることを検討していると発表。もうこうなるとザハ・ハディドの設計コンセプトなんてどこかに飛んでしまっている。しかも資材高騰を理由に1,692億円では足らなくなったと、今月になって下村文科相は都に対して約500億の負担を求めた。予算見積りが二転三転するこの杜撰な国の見通しに、舛添知事がキレたという訳だ。

東京五輪組織委員会の森喜朗会長は「舛添も下村も責任者の資格なし。こういう話はすぐ国際オリンピック委員会(IOC)に行ってしまう。」などとIOCの目だけを気にして国民や市民の負担などどうでもいいような発言でどっちが無責任なのかわからない[13]。役人のザル試算なんて今に始まったことではないが、他国の工事の遅れを笑えないような今回のドタバタ劇、一体どう落とし前をつけるのだろう。東京五輪をぶち上げた石原慎太郎氏、今何を思う。

サッカーにしろオリンピックにしろ、反対派が全て正義だとも思わないが、巨額の利権に群がる人間の本性を改めて思い知らされたスポーツ界の大きな出来事。

[2015.6.3追記]
ブラッター会長突然の辞意表明。今辞めるのなら、もっと前でしょと突っ込みを入れたくなるが、いよいよ手が後ろに回る危険を感じたのだろうか。公式にはJFAが誰に投票したのかは不明だが、AFCはブラッター支持を表明していたから、もしUEFAが推す反ブラッター派の候補が次期会長にでもなれば、アジア枠は間違いなく減らされるだろう。それを恐れてか日韓W杯の立役者?(元凶)、元FIFA副会長の鄭夢準氏が立候補の可能性を示唆したという。タチの悪い冗談かと思った。日韓W杯誘致での裏話は各種メディアで暴露されているが、東京五輪誘致では何が行われていたのかはわからない。クリーンな活動だったと信じたいけどね。

[参考・引用]
[1]FIFA、アジア枠4.5を維持、デイリースポーツonline、2015年5月30日、
http://www.daily.co.jp/newsflash/soccer/2015/05/30/0008077237.shtml
[2]【FIFA摘発】検事時代からの悲願、毎日新聞、2015年5月29日
[3]選挙辞退のフィーゴ氏、ブラッター会長再選で「フットボールの敗北」、サッカーキング、2015年5月30日、
http://www.soccer-king.jp/news/world/world_other/20150530/317400.html
[4]FIFA会長選 ブラッター氏5選、アリ王子が2回目投票前に辞退、スポニチAnnex、2015年5月30日、
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/05/29/kiji/K20150529010443760.html
[5]FIFA総会:大仁氏帰国「ブラッター会長5選、順当」、毎日新聞、2015年5月31日、
http://sn.mainichi.jp/sports/news/20150601k0000m050036000c.html
[6]JFAがW杯で犯した重大なミス、沢野奈津夫、livedoorNEWS、2014年6月26日、
http://news.livedoor.com/article/detail/8981158/
[7]動けない日本代表…キャンプ地選びに関しW杯前に疑問を呈していた記事「日本は調整不良で全敗」が注目を浴びる、FOOTBALLNET、2014年6月25日、
http://footballnet.2chblog.jp/archives/38820957.html
[8]トヨタ、クラブW杯冠スポンサーから撤退、日刊スポーツ、2015年4月29日、
http://www.nikkansports.com/soccer/news/1468900.html
[9]新国立競技場 コスト抑制と工期短縮に苦闘、日本経済新聞、2015年5月20日、
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO76056900T20C14A8000030/
[10][特別寄稿]新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える、槇 文彦、JIA MAGAZINE、vol.295、p10-15、2013年8月、
http://www.jia.or.jp/resources/bulletins/000/034/0000034/file/bE2fOwgf.pdf
[11]新国立競技場は建築設計コンペで最優秀賞に決定したザハ・ハディド案で建てなければならない―建築家の槇文彦氏を批判する、ノエル、BLOGOS、2014年6月25日、
http://blogos.com/article/89162/
[12]新国立競技場、「ザハ」なぜ選ばれた 審査激論の中身、佐々木大輔、日本経済新聞、2014年7月1日、
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1602H_W4A610C1000000/
[13]森会長、舛添都知事らに苦言=新国立競技場建設費増で―東京五輪、時事通信、2015年5月29日、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150529-00000189-jij-spo
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[ 2015/05/31 23:48 ] sports/スポーツ | TB(0) | CM(0)

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