Peel P50

調べものをしていたら、とんでもないYouTube動画を発見。辛辣な評価で人気を博してきた自動車番組、英BBCの『TopGear』(私も一本DVDを持っているが)で紹介された世界最小のクルマ。その番組の顔ともいうべきジェレミー・クラークソン氏が珍しく賛辞を贈ったという「Peel P50」の映像が面白すぎる。兎にも角にも、まずは番組の動画をご覧あれ。「ダットサン・ベビィ」でもちっちゃなバブルカーを紹介したが、そのバブルカーをも超える型破りな自動車に驚くはずだ。



どうでしたか?英語がわからなくても十分楽しめたでしょ。

「Peel P50」はかつて英国・マン島を本拠地に存在したピール・エンジニアリング社(Peel Engineering Company)製の3輪のマイクロ自動車。私と同じ1962年生まれで、1965年まで生産されていた。全長1,372mm、全幅991mm、全校1,000mm、重量59kg。49ccの原付用2ストロークエンジンを搭載、3速のギア(バックなし)を装備し、最高時速は60km。燃費は約30km/ℓだそうだ[1][2]。エコじゃん。

P50_TopGear1
カーブではタイヤが浮き上がる危なっかしさはあるものの、ロンドンの街中をなかなか普通に走っとる。

P50_TopGear5
ウィンカーがないので手信号

バックができないので駐車が難しいと思いきや、重量は女性一人分くらいなので、キャリーバッグを転がすように移動可能だ。ウィンカーがないので右左折時は手信号が必須で、まさに自転車感覚。番組ではジェレミー・クラークソンがBBCの社屋内へ片手でひょいとP50を持ち込んでしまう。

P50_TopGear3

局内の執務室や廊下を乗り回すBBCスタッフの楽しそうな顔を見よ。このあり得へん非日常性とドライバーの満面の笑顔が、近年単なる移動手段と化し、コモディティ化が進んだことで失いかけている本来クルマが持っていたはずの人が乗り物を操る喜び、driving pleasureの本質なのではないかと思った。

P50_TopGear4

P50はエレベーターにも乗り込める!バックできないので出るときは他人の助けが必要だ。一人(一台)しか乗っていない場合はどうするのだろう?

P50_TopGear8

カーボンフットプリント(製品が販売されるまでの温室効果ガス排出量)をいかに減らすかという社内会議にP50に乗ったまま参加するクラークソン。ブリティッシュ・ジョーク!

P50_TopGear2
局内を走り回るP50
P50_TopGear6
ニュース番組の背後をスルーするP50

このクルマ、EV化すれば本当に室内への乗り込みが難なくできるのに、そう思って調べていたら、2011年に前述のピール・エンジニアリング社とは別のPeel Engineering Ltdという会社から、ガソリンエンジン(4スト)とバッテリー・モーター駆動の2仕様が発売されていた。勿論、両車ともに公道を走ることができる。車両の諸元は若干大きくなっていて、それでも全長1,371mm、全幅1,041mm、全高1,200mm。EV仕様はさすがにバッテリー重量がかさむのか110kgと倍増している。片手で運搬はちょっときついかも。出力はガソリン仕様もEV仕様も3.35bhp(=2.5kW)。最高時速は45km。リミッターを外せばさらに高速走行が可能なようだ。ガソリン仕様の燃費は50km/ℓでオリジナルよりもさらにエコロジー。EV仕様の航続距離は最大24kmなので街乗りには支障ないだろう[2][3]。

EV仕様の価格は税抜きで£12,999(240万円超、んーっ高い!)から[4]。ガソリン仕様はさらに数百ポンド高くなるようだが、マイクロビークル普及の鍵はいかに価格を抑えられるかという点かな?

<蛇足>
公道を走ることのできる世界最小の自動車の公式ギネス記録は、アメリカ人のAustin Coulson氏が製作したバギータイプのクルマ(下写真)。2013年にPeel P50から記録を更新した。ボディサイズは全長1264.7mm、全幅654.1mm、全高635mm。エンジン搭載で最高時速は40kmという[5]。強引に記録を取りに行ったという感じの外観でなんだかセンスを感じないなあ(アメリカですから…)。ウィットに富んだP50はさしずめ、世界最小の市販車ということになる。

世界最小の車

[参考・引用]
[1]世界最小の自動車「Peel P50」が電動になって限定再生産、daily news agency、2012年3月22日、
http://dailynewsagency.com/2012/03/22/smallest-production-car-gets-a-new-lease-on-life/
[2]Peel P50、Wikipedia、
http://en.wikipedia.org/wiki/Peel_P50
[3]Peel P50、Peel Engineering Ltdホームページ、
http://www.peelengineering.com/peels/peel-p50
[4]First drive: electric Peel P50、Stephen Dobie、BBC TopGear、2015年1月21日、
http://www.topgear.com/uk/car-news/peel-p50-electric-review-first-drive-2015-01-21
[5]世界最小の車、ギネスブックに掲載…長さは126cm、森脇稔、レスポンス(自動車)、2013年10月1日、
http://response.jp/article/2013/10/01/207556.html

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