バルンくんとともだち

久しぶりに「バルンくん」シリーズをネタにしようと思う。ブログを通じて交流のあるカーイラストレーター・松岡信男さんのブログで“小股の垂れ下がったカワイイ女”に弱い(クルマの話ですよ)という話題になっていた。その可愛い一台にオースチン・ヒーレー・スプライトMk1、すなわちバルンくんが取り上げられていた。シリーズ第2弾「バルンくんとともだち」(こもりまこと・作、福音館書店「こどものとも0.1.2.」通巻72号)でバルンくんと一緒に登場するポルシェくん(ポルシェ356)、アルファくん(アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント)もなかなかの“垂れたオシリ”で「好きにならずにいられない」。

真冬のオープン乗り
オープン乗りは真冬でも粋でなければならない?[1]

絵本では幌付きで走っているが、バルンくんは小型オープン(ロードスター)の傑作として知られる。オープンカーって乗ったことがないので、こんな寒い季節はどうなんだろう?と思うのだが、先日の寒い早朝の出勤時、江ノ島付近でロータス7に乗る紳士に遭遇した。何年か前にも小雪ちらつく真冬の横須賀で、耳当てとマフラーをされた粋な初老の紳士が、寒さも何のその凛としてセブンのステアリングを握っていたのを見かけたことがある。ひょっとすると同じ方かもしれないが、寒さに滅法弱い私は、そこまでして真冬にロードスターを運転したい気持ちが良く理解できない。とある雑誌[1]によると、生粋のオープンカー好きは真冬に走ることこそが醍醐味だと考える人が少なくないのだそうだ(ふーん)。しかも暖房をオンにして走れば、思ったよりも温かいらしい。しかし顔や首回りの肌が露出する部分は当然寒いのでストールやマフラーなどファッションも決めて防寒対策をする。信号で停車する姿も絵にならなければならないのがオープン乗りのポリシー。夏は夏で、風を身体に受ける感覚は気持ちが良いのだろうが、頭上に直接照りつける陽射しはやはりきついと思う。実にストイックさが求められるクルマなのだ。

とは言え、オープンカーだけで全ての生活の用を足すというのは現実的ではないので、趣味車としてのセカンドカーという位置づけなのだと思う。そうなると、経済的にある程度余裕のある方でないとオープンカーのオーナーにはなれない。バルンくんの当初のコンセプトは「さほど裕福ではない若者にも手の届くスポーツカー」だったのだけどね。

ポルシェ・ボクスターS
ポルシェ・ボクスターS[2]

実は私の友人の中にも2人のオープン乗りがいる。1人は高校時代の同級生。今も所有しているかは不明だが、彼の愛車はポルシェBoxster。片山右京から3人目のオーナーとなる由緒ある車なのだそうだ。怪しげな商売に関わる男ではなく、大手技術系企業のエンジニアで今は系列会社の役員をしている。彼がポルシェのオーナーになるとは意外だったのだが、話を聞いてみるとポルシェには強い思い入れがあるという。彼が浪人生だったとき、仲の良かった歯医者の放蕩息子の911に乗せてもらったのが過ちのもとで、天神(福岡市の中心街)のど真ん中でエンコした911を汗だくで押し続け、周囲の笑いものになった忌まわしい記憶を振り払うために、人生をかけて(まともな)ポルシェのオーナーになることを目指して来たのだそうだ。

日産フェアレディ・Z34ロードスター
日産フェアレディ・Z34ロードスター[3]

もう1人は中学時代の同級生。中学時代の夢を叶え循環器の専門医となり、現在はクリニックの院長をしている。それぞれ別な高校・大学に進みしばらく音信不通だったのが、巡り巡って妻の祖父の主治医として再会した合縁奇縁な友。彼が研修医時代の話だと思うが、先生だか先輩だかに初代のマツダ・ロードスターに乗せてもらう機会があり、そこで運転の楽しさを覚えたという。彼の現在の愛車は昨年生産が終了となったフェアレディZ34ロードスターと新生スカイラインV37、もといインフィニティQ50ハイブリットの日産オーナーだ。

少なくとも私の友人に関しては仮説が正しかった。二人とも私とは異なり、世間の目からすれば立派なキャリア成功者である。クルマも複数台持ち。それと若い頃にクルマとの運命的な出会いをしている。私は学生時代にほとんどクルマへの興味がなかったことを考えると、この辺もオープン乗りになるか否かの分かれ目なのかもしれない。

バルンくんとともだち その1
「バルンくんとともだち」より
 
さて本書に戻る。先の2台とバルンくんはサーキットで競争することになった。直線で早いポルシェくん、大きなカーブで早いアルファくん、小さなカーブで速いバルンくん、それぞれの特長が表現されている。抜きつ抜かれつで3台が並び、最後は小さいRの最終コーナーで前に出たバルンくんが勝利した。ポルシェ356もアルファロメオ・ジュリエッタも、高倉健さんの愛車だったポルシェ356カブリオレ、近藤真彦さんの愛車・アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダーというオープンモデルでも有名な小型スポーツ。とにかくこの絵本の主役たちは、筋金入りのエンスー御用達車なのである。

バルンくんとともだち その2
オシリも素敵な名車たち(「バルンくんとともだち」より)

[参考・引用]
[1]13冬のオープンカーでキメたい!、MADURO、2015年2月号、p72-73
[2]ボクスターS、ポルシェジャパンホームページ、
http://www.porsche.com/japan/jp/models/boxster/boxster-s/
[3]日産フェアレディZロードスター生産中止へ、clicccar.com、2014年5月30日、
http://clicccar.com/2014/05/30/256744/


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コメント

  1. 松岡信男 | -

    垂れ尻フェチの夢【車の話です】

    小股の垂れ下がったカワイイオープンカーいいですね♪
    うちでも車を買い替えることになったときには古いオープンカーは候補に上がるんですけど・・・
    【手をあげているのは私だけ】
    いつも見事に却下
    【当然です】
    オープンといえば、
    前に友達のSちゃん所有のMGTCをドライブしたことがあります。
    思いのほか運転しやすく秋の陽と乾いた風がきもちよかったのですが、
    信号で止まると周りからの視線が痛い痛い。
    オープンカーに乗るにはそれなりの根性と自信が必要だと学習しました。
    ヒーレースプライト、トライアンフTR4、MGミジェット。
    古い英国製オープンが、
    いつか我家のガレージに収まっている姿を夢見ています。

    ( 14:14 )

  2. papayoyo | -

    Re: 垂れ尻フェチの夢【車の話です】


    そりゃあオープン乗りには相当の度胸がいると思いますよ。
    自分のプライベート空間を世間に晒すのですからね。
    紹介した2人の友人もそれなりの自信家、
    というか自分のスタイル・主張を持っている人は乗れると思います。
    単なるファッション感覚では絶対無理。
    松岡さんはイケるんじゃないですか。

    ( 21:53 )

  3. 松岡信男 | -

    空想?妄想?

    いや~恥ずかしかったです。
    走っているときは排気音を聞きながらそれはいい気持ちなんですが、
    信号で止まった途端・・裸の自分に気がついて我に返ったような感じでした。

    何かの間違いでオープンカーを手に入れたとしても夜しか乗らないような・・・

    車を貸してくれたSいわく、
    「オープンカーは実際走らせるのもやけど、その車に自分が乗ってさっそうと流しているところを空想するのがええんやロマンやな!」

    「それなら車いらんやんか?」

    「アホ!車が無かったらただの妄想や!」
    て言ってました。

    ( 11:29 )

  4. papayoyo | -

    Re: 空想?妄想?

    そういえば、江ノ島で見かけたセブンもまだ暗い時間帯でしたねえ。
    空想するロマン、なるほど。
    だからオープン乗りはクローズドのガレージが必須なのですね。

    ( 11:54 )

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