たまに東京へ出かけると…

行列東京

土曜日はちょっと野暮用で一人東京へ。たまに出かけると疲れるね。

朝9時半に自宅を出たのだが、三連休の初日なのか京急は朝のラッシュアワー並みに混んでいた。最近電車内で気づくのは、スマホを使うためなのか吊革に掴まらない人、特に若い人に多いことだ。スマホを片手に、もう片方の手(指)で画面操作をする人もいれば、片手に鞄や荷物を持ち、シングルハンドで器用にスマホを操作する人。こういう人は満員電車になると完全に他者に身体を預けることになる。勿論吊革がちょうど良い位置にない場合もあるが、大概は真上からフリーの吊革がぶら下がっている。それでも無視だ。身体を預けられた方は、吊革を持つ腕に余計な負荷がかかることになる。五十肩の私なんて、吊革を掴むだけで苦痛なのにこうなると地獄だ。睨み返しても相手はスマホに夢中なので私はただの人相の悪いオッサンになっている。

咳やくしゃみのエチケット
くしゃみや咳は肘を使って感染防止[1]

この季節になると咳き込む人もちらほら出てくる。当然そんな場合はマスク着用だと思うのだが、皆が皆、常識的マナーの持ち主という訳ではない。川崎当たりで乗り込んで来た中年男性は咳き込む口に手を当て、その手で吊革や手すりを握っている。最悪である。エボラが日本上陸すれば、一気に広がること間違いなしだ。パンデミックの脅威に晒される現代、咳やくしゃみのエチケットは非常に重要だが、マスクがない場合は肘を口に当てるのが感染を広げない有効な手段の一つだ[1]。でも良く考えれば前述の2つの事例は相互に関連しているのかもしれない。潔癖症の多い最近の若者が誰がどういう状況で触ったかわからない吊革や手すりを掴みたくない気持ちもわからないではない[2]。

ギャレットポップコーン@東京駅

こんな風に乗客の行動観察をしながら到着したのは東京駅。リニューアルとなった赤レンガ駅舎のある丸の内側ではなく八重洲口へと出る。ちょっと迷いながら地下、東京駅一番街へ降りて行った最初の目的地はここ「ギャレットポップコーン」。東京へ行くなら買ってきてと家族から託された訳だ。まだ食べたことはないが、流行ものには一応手を出すと言う我が家のルールに則って(手を出すにしては随分遅いけど)。

ギャレットポップコーン店舗前
最初は楽勝じゃんと思ったのだが…

長い行列を目印に店を探していたのだが、店頭に着くと行列はこんな感じ。ブームも去ったかと最後尾に並ぼうとすると「最後尾ではありません」という案内板が。しかも「2時間待ち」の驚愕の文字。何だと!と思いながら回りを見渡していると、数十m先に別の列が続いている。そちらへ移動するとここは単なる中継地点で最後尾はさらに数十m先の階段の方にあった。他の店舗の出入り口を塞ぐことがないように列が分断されているのだ。最後尾にやっと辿り着くと「2時間半待ちです」。ここで完全に戦意喪失となった。次の予定もあるので妻に「ポップコーンはMUSTか?」とメールすると「え~食べたい!全員の意見」と返信が帰って来た。三羽の烏たちが口を開けて待っている姿が浮かぶ。楽しみにしているし仕方ないと覚悟を決めた(後から無理しなくていいよとメールが来たが、こうなると意地である)。妻の事前のアドバイスで本を持って来ていたのが幸いし時間を潰せた。結局予想よりも早く1時間ちょっとで家族への土産を購入することが出来た。それにしてもよく我慢して秩序正しく並ぶ日本人だこと。

行列の中間地点
行列の中間地点:このさらに後方まで長い行列が続く

お昼は地下街にあった東京ラーメンストリートというところで牛タンラーメン専門店「㐂蔵」に入る。こちらはさほど並ぶこともなく“仙台牛タンねぎ塩ラーメン“を頂いた。麺もスープも美味しかったが、特にチャーシューの代わりの牛タンが柔らかく抜群に旨い。ただ値段がちょっと高め。ん?このブログはいつから食レポに衣替えしたのか?

腹ごしらえをした後、八重洲地下街の古本店「R.S.Books」を覗いてみる。八重洲地下街には以前「八重洲古書館」という古本屋さんがあって東京出張の際の私のお気に入りの場所だった。ここで伝説の小学館版カロリーヌシリーズ「カロリーヌとおともだち」の函付本を150円くらいでゲットしたこともあるが、2012年に店を閉め系列店のこの小店舗「R.S.Books」に統合されてしまった。ちょっと気になった本もあったが、地上へ出て八重洲ブックセンターで新書を買うことにした。通りに出るとウェディングドレス姿の花嫁が新郎と仲良く手をつないで路上を歩いているではないか。何かの撮影か?と思ったが、東京駅ステーションホテルで式を挙げるのか、流行りのパフォーマンスなのか未だに謎である。八重洲BCでは『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?』(KADOKAWA/中経出版)という軽めの技術啓蒙書を購入。

経産省庁舎1 経産省庁舎2
思い出深い霞が関エリア

ここで東京駅エリアを離れ、本日メインの目的地へと向かう。丸ノ内線に乗り下車したところは「霞が関」。この駅に立ち寄るのは何年ぶりだろうか。出向時代、大阪から毎週のように通った旧通産省や工業技術院(現産業技術総合研究所)庁舎。帰任後も何度か出向いたが、思い出深い場所だ。地下鉄サリン事件は出向先のオフィスでテレビ中継を見ていたが、私もこの霞が関を狙ったテロに巻き込まれた可能性もあったのだ(その数か月前、阪神・淡路大震災に震源地・淡路島で遭遇するという綱渡りの我が人生)。早いものであれから約20年の月日が流れた。

虎ノ門ヒルズ

駅から徒歩で10分程度の最終目的地はここ、虎ノ門ヒルズ。新しい東京の名所である。今回の東京遠征の目的は、ここで開催される「座フォーラム2014」を聴講すること。座フォーラムはホンダ系二輪・四輪自動車シートメーカーであるTSテック社が毎年開催している様々な角度から「座る」ことを考えるイベントで一般公開は今年が3回目。「自動車シートよもやま話」でも紹介したように座ることに興味のある私は初めて参加を申し込んだ。前半はTSテック社の若手社員によるアイデアクリエーション研究会「座ラボ」の3つのチームが、検討の成果を報告する。後半は音楽プロデューサー・モータージャーナリストの松任谷正隆さん、テレビでお馴染み脳科学者の澤口俊之さん、トヨタ出身のクリエイティブ コミュニケータの根津孝太さん、整形外科医・医学博士の中村格子さんによる特別トークセッションが行われた[3]。

座フォーラム2014のパネリスト

詳しい話はここでは省くが、松任谷氏の問題提起が面白かった。我々は「寝る」と「眠る」は区別して使っている。「眠る」(sleep)は睡眠をとるための行為が落ち着いた安定状態を示すが、「寝る」は英語でlie down(横になる)とかgo to bed(床につく)と言うように、一時的な姿勢状態やある目的、すなわち眠りにつくための行為を示すものだ。ところが「座る」という言葉にはこの区別がない。英語でもsit、sittingのみである。「寝る」に相当する言葉を敢えて探すならば「腰かける」。自動車を運転するための「腰かける」だったり、食事をするための「腰かける」だったり、その目的によって”腰かけ方”は変わる訳で、「座る」とは区別してそれらの目的行為に応じた最適な椅子を考える必要があるのでは?という話題提供だった。私の解釈を加えるなら、椅子は「腰かける」ための作業椅子と「座る」ための安楽椅子という設計概念の区別をするべきだということだろう。自動車でいえばドライバーズシートは作業椅子、後席は安楽椅子。今回のフォーラムでも度々話題に上っていた自動運転やConnected Carの世界になれば、その逆の使われ方になるかもしれない。松任谷氏の発言をきっかけにトークは盛り上がった。「座ラボ」チームの提案の中では、具体的な技術やデザインが紹介された訳ではないけれど、まさにいつでもどこでもちょいと腰かけられる立ち座り姿勢を実現する「着る(ウェアラブル)シート」という発想が興味深い。東京駅の行列待ちでこれがあれば…。

座るが人生を変える。

フォーラム終了が17時。外はもうすっかり暗い。せっかく東京まで来たのだからと私の場合、神田神保町で古本を漁ろうという発想になる。昔なら、さて最寄りの三田線内幸町駅まではどう行けばいい?外も暗いしというシチュエーションだ。しかしスマホとはいと利発(役に立つ)なり。スマホに「内幸町駅」と語りかければ、完璧な音声認識でルート検索をしてくれる。この地図片手に何なく目的の駅へ。

真夜中の暴走

神保町では「みわ書店」で『真夜中の暴走』(ハリー・クルマン著、講談社)という古い児童書と「明倫館書店」のワゴンセールで『エンジンのロマン』(鈴木孝著、プレジデント社)を購入。夕食は久しぶりに「キッチン南海」の列に並ぶ。回転は早いが今回はカウンター外しで相席となる。ボリューム満点のチキンカツ&しょうが焼き定食を完食し、本日のスケジュールにピリオドを打つ。ランチ&ディナーとB級グルメづくしで五十路の身体には若干応えた。よく歩いた一日だったけど、これでエネルギー収支は相殺(涙)。家路につくと戦利品「ギャレット」に家族の笑みが漏れる。お父さん頑張ったでしょ。確かに旨いポップコーンで、長い行列が出来るだけのことはある。しかしまたカロリーが…。

戦利品ギャレットポップコーン

[参考・引用]
[1]大丈夫? あなたの咳エチケット・鼻紙エチケット、西園寺 克、All About、2010年10月1日、
http://allabout.co.jp/gm/gc/302479/
[2]20代の19.7%が電車でつり革を触らないことが判明!「若者のつり革離れ」兆候か、八木彩香、しらべぇ、2014年9月6日、
http://sirabee.com/2014/09/06/2473/
[3]未来の「座る」を考えるフォーラム『座フォーラム2014』開催、PR TIMES、2014年10月22日、
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000006123.html
スポンサーサイト
[ 2014/11/24 10:54 ] favorites/MONO | TB(0) | CM(2)

ハリー・クルマン

こんばんは。

ハリー・クルマンには「デビッドの秘密の旅」という児童文学の名作がありますが、この作品はぼくの中で常にベスト5にランクしている思い出の本です。小学4年のときに読みました。
『真夜中の暴走』を手に入れるなんてうらやましい。
お忙しいとは思いますが、よろしければ読んだ感想をお聞きしたいです。

それにしてもポップコーンがおいしそう。
[ 2014/11/24 19:52 ] [ 編集 ]

Re: ハリー・クルマン

へーっ、そんなに思い入れのある作家の本だったのですか!
私は不勉強で全く知りませんでした。
自慢じゃないですが、僕は小学生の頃はホント、本を読むのがキライな子でしてね。
百科事典や洋画雑誌は良く読んでいましたが、思い出の児童書というのがあまりないのですよ。
過去に紹介しましたが熱く語れるのが「21世紀のもぐら」といったトンネル物語の類ですもんね。
だから今こんなブログを書いていて、びょうせいさんのように子供の頃から読書経験の豊富な方が羨ましい。
間違いなく豊かな感性を磨かれておられますから。
今は背表紙に「暴走」とかの文字を見つけると、車関係の本か?と手に取る変なオヤジになりました(笑)。
中を見ると車の挿絵がたくさん登場する本です。挿絵がまたいい。
タイトルは「真夜中の暴走」ですが原題は”Den svarta fläcken”(黒いしみ)。
”暴走”は車の暴走というよりは”黒いしみ”が示すように別の深い意味が込められているようです。
スウェーデンが福祉国家になりたての頃の話なので、
読み込むにはその辺の社会的背景も知っておかなければなりません。
なかなか手ごわそうですが、そのうちクルマノエホンとして紹介してみます。
[ 2014/11/24 21:49 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://ehonkuruma.blog59.fc2.com/tb.php/565-4d495a05