関西弁で愉しむ漢詩

私が横須賀を離れられない理由の一つにある酒屋(と古本屋)の存在がある。横浜との市境、京急追浜駅で下車して徒歩5、6分のところにその「掛田商店」はある。知る人ぞ知る、ご存じの辛党の輩も多いと思う。特に日本酒、焼酎、泡盛の品揃えは凄い。店主の舌で厳選にセレクトされた粒揃いの酒たちだ。しかし、いわゆる世間に広く知れ渡った酒はあまり扱っていない。私が大好きな芋焼酎があるのだが、近年有名になり品薄で値段も高騰したことがあった。その酒が置いていないので主人に聞いたことがある。ちょっと顔を曇らせ、以前は取り扱っていたのだが蔵元といろいろあって喧嘩別れしたと言っていた。掛田には極端に高額の酒を見かけない。日本酒で言えば一升三千円前後が多いかな。二千円ちょいでも結構旨いお酒あります。良い酒を良心的な値段で提供する。店の哲学に会わない蔵元とは、たとえ味は一流であっても付き合わない。勿論人気に溺れて味が落ちれば切り捨てられる。酒屋としての矜持のようなものを感じる。

このお店を知ってからは、正月の祝い酒は必ずここで購入するし、旨い酒を飲みたくなったら立ち寄っている。何だかプロっぽい店で敷居が高そうだなと思わないで欲しい。ここは酒の予備知識がなくても気楽に入れる。多分酒の知識をひけらかす素人は主人の好みではないと思う。正直にこういう条件に合うおすすめのお酒は?と尋ねれば、店主他、スタッフの方々が丁寧に探してくれるはず。

まずは”蕎麦がき”
まずは”蕎麦がき”から

昨晩は義父が打った蕎麦を持ってきてくれるというので、昼間蕎麦に合う日本酒を探しに掛田へ出かけた。義父は趣味で蕎麦打ちを始めてからかれこれ16年以上、今や友知人の依頼でフットワーク軽く出張蕎麦打ちにも出かける本格的な腕前になった。2年前に沼津から横須賀へ越して以来、手打ち蕎麦のご相伴に与る機会が増えた。横須賀には嫁の親戚が結構住んでいるので、子供たちが小さい頃は拙宅で蕎麦打ち会を開いたり、親戚一同が集うパーティをよくやったものだが、最近はメンバーが結婚して家庭を持ったり、子供たちも成長して各々週末は予定もあるので、皆で集まることがめっきり減ってしまった。我が家もアホな受験生を抱えるしね。今回は蕎麦がきが食べてみたい(渋っ!)という孫のリクエストに喜んで腕を振るってくれたという訳。

山海の夕風

さて蕎麦に合う日本酒というオーダーに掛田のセレクトは『山海の夕風』。醸造元は山形の佐藤仁左衛門酒造場だが、掛田のオリジナル商品なのだそうだ。美味しいお蕎麦と旨い酒、酒の肴で乾杯!翌日模試を控えた娘は早々に夕食を切り上げて塾へ。蕎麦は香りを楽しむので個性の強い酒は合わない。すっきりとした飲みくちで適度な酸味。九州男児二人はいい気分で酒と箸が進む。

大学が熊本の山師養成所だったのでそれなりに酒を飲むことは鍛えられた。今は歳もとったし、クルマで早朝出勤なので基本週末以外は一滴も飲まないし、酒量も随分減った。酒は量より質に変わったね。「20にして酒を選ばず、30にしてブルゴーニュを飲み、40にしてボルドーを愛し、50にして酒を飲むことなし。ただこれを嗜む」(サミュエル・ジョンソン)[1]の境地。まあそれでも飲み過ぎることはあるけどね。

締めは”蕎麦”で
締めは”蕎麦”で

タイトルの「月下独酌」は李白の有名な五行古詩。酒好き李白の面目躍如たる名詩である。この詩を検索していて面白いサイトを発見。漢詩を関西弁で意訳している方がおられた。関西弁で吟じる「月下独酌」がまたエエやん[2]。本にもなっとる。

ラフロイグ10年

昨晩は月下独酌ではなかったが、独り灯りの下で嗜むのなら最近はラフロイグ、かな。



[参考・引用]
[1]特集「酒飲みの大義名文」、サライ、小学館、1993年03/04号、p24-41
[2]お酒の漢詩、えごいすとな思想、
http://home.att.ne.jp/wave/ayumi/SakeLave/SakeLave.htm

関西弁で愉しむ漢詩 (寺子屋新書)関西弁で愉しむ漢詩 (寺子屋新書)
(2005/01)
桃白 歩実

商品詳細を見る
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメントの編集・削除時に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)


    トラックバック

    Trackback URL
    Trackbacks


    最近の記事