刻露清秀

クルマの絵本紹介の筆が進まぬ。五十肩の痛みで寝不足が続くせいもある。この病(?)に特効薬はなく、ひたすら治まるのを辛抱するしかないと言われるが、本当に治るのであろうか(家族からは小林製薬の『ジジラック』を飲んだらと言われる始末。じじいが楽、小林、またまたキャッチ―なネーミングを)。それでも往復100kmのクルマ通勤は続けねばならぬ。ジャパニーズ・ビジネスマンの宿命だ。金曜日早朝の出勤途中、見事な富士山を拝めることができた。クルマを止めてパチリ。朝の一服の清涼剤。空気も澄み渡り、富士のシルエットが映える季節となった。

子供の頃からテレビや写真ではもちろんこの霊峰を何度も見ていた訳だが、就職で上京するまでは日本の象徴と言われても富士山は何かピンと来なかった。九州の人間にとっての霊峰は阿蘇や桜島だったりする。故郷福岡でいえば英彦山、いや近場だと宝満山かな。学生時代に過ごした「火の国」熊本といえばやはり阿蘇山は外せない。母校工友必勝歌の巻頭言にもこうある。

仰げば星斗欄干として 永遠の真理を囁き
頭をめぐらせば 蘇山炎々として 若人の情熱を語る

学園祭の時期、開学記念日の11月1日には、毎年恒例阿蘇山上から大学正門までの約60km遠歩なんてイベントもある。九州といえども秋冬の熊本は、阿蘇から吹き下ろす寒風で凍えるほどだ。そこそこ降雪もある阿蘇にはかつてスキー場もあった。私は行ったことがないが、スキーのメッカ、カナダ・バンフまではすぐそこの米国シアトルから来ていた友人は、九州にもスキー場があると聞いて喜んで出かけた。帰って来るなり「あーそ、すきーじょうじゃなーい(怒)。あれ、すけーとじょうね」。

阿蘇カルデラができるまで
阿蘇カルデラができるまで[1]

阿蘇はその歴史・規模・景観ともに規格外だ。阿蘇史上最大と言われる9万年前の大噴火で放出したマグマは600立方㎞以上。約300年前の富士山宝永噴火の1,000回分に当たるという[2]。直径約20kmのカルデラは、そのマグマが噴出した後の空洞が陥没して出来たものだと考えると大自然のエネルギーに驚かされる。そしてカルデラの中に町や鉄道がある、つまり活火山の中で人々が普通に生活しているのだから何ともスケールがでかい。大草原を成す草千里も映画のロケ地として使われることも多く、学生時代には黒澤映画「影武者」の撮影も行われた。乗馬のできる私の友人は、エキストラとして参加をした。

話を富士山に戻すと、その雄姿をまじまじと見上げることになったのは、就活で上京した際、新幹線の中から見た時だったろうか。その大きさ、美しさに感動して、なんだかんだやっぱり俺も日本人なんだなあと思った記憶がある。妻の元実家は沼津にあって、玄関を出ると目の前に富士がそびえ立つ絶景だった。結納で訪れた両親もその圧巻の眺望に言葉を失った。何度見ても、心が洗われるような神聖な山容。拝みたくなる気持ちわかります。

そんな山々も突如として我々に牙をむく。御嶽山も多くの人命を奪ったが、阿蘇も次に大爆発を起こせば、母校どころか九州全域が、いや日本全土が壊滅する[2]。そしてお富士さん、あなたは今何を考えているのですか。

お富士さん、しばらくおとなしくね

[参考・引用]
[1]解説2.阿蘇ができるまで、阿蘇の草原ハンドブック、
http://www.aso-sougen.com/teaching/03/02/04.html
[2]第5回  カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?、藤井敏嗣、NHKそなえる防災、
http://www.nhk.or.jp/sonae/column/20130314.html

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