若菜珪版『だれも知らない小さな国』

久しぶりに古本屋ツアーインジャパンのブログを覗くと、ツアーガイド・小山力也さん、茅ケ崎で何やら素敵な本を見つけたようだ。彼も小躍りした掘り出し物は、ここ横須賀・安針塚と縁の深い佐藤さとる著『だれも知らない小さな国』。写真を見るといつもの佐藤本とは挿絵が違う。

バート・バカラックの曲にはハル・デヴィッドの詩と同じくらい、佐藤さとると言えば村上勉画伯の挿絵だと思っていた。ところがこの昭和39年重版の古本に描かれた美しいイラストは若菜珪の手によるもの(こちらの記事には若菜版から村上版への変遷の興味深いエピソードが)。童画画家、若菜珪は不覚にも知らなかった。『だれも知らない小さな国』は昭和34年(1959)に佐藤が自費出版後、同年に講談社から出版された。最初に世に出たコロボックル通信発行の私家版は昨年クレヨンハウスから復刻され、私も購入していた。しかし小山氏の手に入れた『だれも知らない』はこの講談社の初期版、著者名も佐藤さとるではなく本名の佐藤暁が用いられている今では入手困難の貴重本なのだ。若菜珪の爽やかな絵に一目惚れである。この本を函付100円で見つけるなんて、さすが小山氏持っている。

若菜珪版『だれも知らない小さな国』その1
若菜珪版『だれも知らない小さな国』より

復刻された私家版にはコロボックル物語・番外編と称して佐藤さとるが新たに書き下ろした短編がおまけで付いている。ところで佐藤さとるの故郷、だれも知らない小さな国=小人の国の舞台にもなっている隣町・逸見は青い目のサムライ、ウイリアム・アダムズこと三浦按針の領地であったところで、夫妻の供養塔も安針塚の裏山、塚山公園にある。この辺で按針さんといえば鎮守様みたいなものだ。同じ小人の国の話で有名なジョナサン・スイフト作『ガリバー旅行記』には、唯一実在する国・日本が描かれているが、ガリバーが上陸するザモスキーという土地が横須賀・観音崎であり、三浦按針こそガリバーのモデルであるという説がある(参照)。少なくともスイフトの蔵書に三浦按針の手紙が含まれていたことは事実のようである。按針の波乱万丈な人生をヒントに『ガリバー旅行記』が生まれたと推理するのは実に楽しい。これら諸説とコロボックル物語を鎖のように繋がり合わせた作品が番外編『ブドウ屋敷文書の謎』である。

こんなファンタスティックで不思議な土地、安針塚に住んでいると(誰も信じてくれないと思うけど、私と妻はこの地で、昼間何十個と飛び交う金属球状のUFOを目撃したことがあります)、この若菜珪版『だれも知らない小さな国』も欲しくなる。でもこれはなかなか手に入らないだろうなあ。

なんかいそうな塚山の森
なんかいそうな塚山の森
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