ブラジリアン・ミュージック

BRASILEIRO by Sergio Mendes

ブラジルW杯開幕まであと1週間を切った。ガイド本も購入して準備は万端。あとは気持ちを盛り上げるために、ブラジル音楽のCDを何枚か引っ張り出して、毎日通勤時に流している。



Coolで、そして文句なしに楽しい曲”Sambadouro”(”BRASILEIRO”より)

世界にボサノヴァを知らしめたと言われるセルジオ・メンデス&ブラジル’66。“MAIS QUE NADA”があまりにも有名なデビュー・アルバムは基本ボサノヴァテイストだが、サンバテイストのこの“BRASILEIRO”(Elektra/Wea)の方が私は好きかもしれない。サンバのパーカッション「バツカーダ」のパッショネイトなリズムで始まるこのアルバムは、いやが上にもブラジルな気分を盛り上げてくれる。

DOMIMGO by CAETANO VELOSO & GAL COSTASomos Todos Iguais Nesta Noite by IVAN LINS
GIL E JORGE by GILBERT GIL & JORGE BENBRASIL by João Gilberto

若かりし頃から集めてきた、ブラジリアン・ミュージックのアルバムコレクションはこんな感じ(一部)。

The Brasil Project The Brasil Project2

異色なところでは、以前にも紹介したJAZZハーモニカの巨匠、御年92歳のToots Thielmans(この記事を書くまで知らなかったのだけど、今年になって音楽活動の引退を発表したんだね[1])によるThe Brasil Projectの2枚は秀逸である。ブラジル音楽界の大物らとのコラボも話題となったが、御大が実に伸びやかに、楽しげにブラジル音楽を奏でている。

ブラジルのエネルギーの源、ファヴェーラ restaurante
(左)ブラジルのエネルギーの源、ファヴェーラ[2]
(右)リオの有名なバール(レストラン)“Garota de Ipanema”(イパネマの娘)の店内[3]。ジョビン不朽の名作『イパネマの娘』と同じ店名に因んで、彼の手書きのスコアが飾られている。カッコ良くね。このポスターがあれば欲しいなあ。

ブラジルは光と影の国だと思う。陽が差すところには陰がある。太陽の日差しが強ければ強いほど、そのコントラストも強くなる。ブラジルはBRICSの一つとして経済成長(光)を遂げてきたが、その陰で世界有数の貧富の格差も生んできた[2][4]。当然、スラム街は犯罪の温床になるので治安もすこぶる悪い。そんな貧民街から生まれた音楽が陽気なサンバ。一方、ボサノヴァは大衆音楽サンバへの反発から比較的裕福な地域で生まれた。庶民的なサンバ、エリート的なボサノヴァ、黒人のサンバ、白人のボサノヴァという構図だ[5]。だから貧しさを忘れてしまうほど底抜けに明るいサンバとは対照的に、ボサノヴァはちょっとスノッブな印象を受ける。ブラジル社会を反映して音楽にも光と影のコントラストが存在する。けれどもサンバとボサノヴァの生まれた背景はどうであれ、地球の反対側に住む日本人にとっても、どちらも心揺さぶられる音楽に変わりはない。


Manhã de Carnaval、Tootsバージョンがベストかも

前出の“The Brasil Project Vol.1”(RCA Victor)に収録された名曲、“Manhã de Carnaval(カーニバルの朝)”は、情感漂うハーモニカの音色がさらにボサノヴァの哀愁(サウダージ)を際立たせる見事な演奏となっている。これがワールドカップに向けて気持ちをグルーヴさせるのに適した曲かと言われればそうではない。むしろザックJが負けた日の朝に聴くような音楽かもしれないが、これもまた紛れもないブラジルなのだ。



この「カーニバルの朝」が主題歌で、ファヴェーラ(貧民街)を舞台とした『黒いオルフェ』(マルセル・カミュ監督、仏伯伊合作、1959年)という映画がある。学生時代、女の子をデートに誘って観に行ったっけなあ。彼女の方が気になって映画のストーリーはほとんど覚えていないけど。社会人になって“The Brazil Project Vol.1”が発売された頃だったと思うが、このプロジェクトのメンバーを引き連れて来日したToots爺さんのコンサートに、今度は会社の同僚女性を誘って聴きに行ったこともある。私の最初で最後のTootsの生ハープを聴いた貴重な経験だ。今の嫁さんと付き合い始めた頃、偉そうにこのCDがお勧めだと貸してあげた記憶もある。大好きな音楽に刻まれた思い出は記憶に残るものだが、私の“女性遍歴”を振り返ってみると、結構ボサノヴァを女性を誘うダシに使うことが多かったように思う。カミさんは別にして、その後ボサノヴァの効果があったかどうかは内緒。

Luz by Djavan

そのブラジルプロジェクトにも参加している一人がブラジルの国民的歌手ジャヴァン(Diavan)である。彼を世界的スーパースターにしたアルバムがこの“Luz(ルース)”。このアルバムに収録されている“SAMURAI”をラジオのオンエアで聴いて即買いしたのは、随分昔のことだ。アルバム発表当時まだ無名だった彼とコラボしたスティーヴィー・ワンダーのハーモニカがまた泣かせる。それにしてもハーモニカとブラジル音楽は相性が良いね。



SAMURAI Djavanと言うと、サムライ・ジャパンのように聞こえるが、ブラジル大会における日本代表のテーマ曲、あるいは応援歌に是非これを使ってもらいたいね。

Tostão a Fera de Ouro
“Tostão a Fera de Ouro”サントラ盤。[6]によればミルトン・ナシメントが、このサッカーのドキュメント映画のために録音したものらしい。たった4曲収録のEP盤なのだが、全曲最高のブラジリアンとのこと。聴いてみてえ~!

ブラジルといえばF1レース界にも伝説の人がいましたよね。次回は彼に関するクルマの絵本を紹介しようと思う。Obrigado!

[参考・引用]
[1]ハーモニカの巨匠が引退 91歳のシールマンス氏、産経ニュース、2014年3月12日、
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140312/ent14031223380006-n1.htm
[2]知られざる、もう一つのブラジル、ブラジルに50年・男のエッセイ、2011年3月30日、
http://mshoji.wordpress.com/2011/03/30/58%E3%82%82%E3%81%86%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB/
[3]The Girl From Ipanema Turns Fifty、Julia Averbuck、The Rio Times、2012年8月21日、
http://riotimesonline.com/brazil-news/rio-entertainment/the-girl-from-ipanema-turns-fifty/
[4]4651:世界各国の貧富の格差(所得水準との相関)(総ての国バージョン)、Honkawa Data Tribune 社会実情データ図録、2013年5月4日、
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4651.html
[5]世界展開を果たしたボサノヴァ、阿部雄大、上智大学卒業研究、2010年12月14日、
http://pweb.sophia.ac.jp/cmita/trabalho.abe.pdf
[6]ムジカ・ロコムンド ブラジリアン・ミュージック・ディスク・ガイド、ムジカ・ロコムンド編、アスペクト、2000
スポンサーサイト
[ 2014/06/07 21:20 ] music/音楽 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://ehonkuruma.blog59.fc2.com/tb.php/529-7a1d9047