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2013東京モーターショー備忘録 その1  

2013東京MS

2年に一度のクルマの祭典を見にまた東京ビッグサイトまで足を延ばした。第43回東京モーターショーは、アベノミクスの効果なのか(筆者は全くその恩恵を受けていない)、はたまたオリンピック誘致に伴う東京というブランドのプレゼンス向上によるものなのか、前回の入場者数を大幅に上回り、老若男女が集うイベントとなったようだ[1]。世界初披露のワールドプレミアも76台[1][2]と、メジャーオートショーとしては遜色ない。しかし自動車王国アメリカやフェラーリなどのイタリア企業が参加しない東京モーターショーは、まだ完全復活とはいえない。世界五大モーターショーでは、アジアの座を上海や広州に奪われそうな前回の東京ショーだったが、アジア地域の緊張を高めかねない中共の傍若無人ぶりに対し、そろそろ各自動車メーカーは利を図る以上に道理を重んじ、大陸市場からの撤退も辞さない毅然たる態度を取ってもらいたいものである。

UDトラックスGH11エンジン
エンジン、科学技術が創り出した芸術品(UDトラックスGH11)

さて、各社が推進する電動化の進展もさることながら、温故知新、旧き良き時代のクルマを現代風に見直すとこんな感じというものもいくつか見られた。人が多いと感じたのはホンダと日産のブース。いずれも四輪販売50周年と創立80周年の節目の年なので力が入っていたのだろう。どっしりと安定感があったのはBMWとダイムラーのドイツの名門二社。特にBMWは市販車とコンセプトカー、新技術の紹介のバランスが良かったように思う。自動車会社の雄、日本COTY(カー・オブ・ザ・イヤー)を外国メーカーとして初めて受賞したVW、業績好調のトヨタは個人的にあまり刺さらず、優良企業ということで判官びいき、意識的にスルーしていたのかもしれない。山椒は小粒の富士重やマツダ、軽のスズキなども元気がよかった。

ホンダブース
裏まで長蛇の列のホンダブース

午後に回ったせいもあるが、ホンダのブースは長打の列。何事かと思ったら、ホンダ新旧2台の小型スポーツコンセプトに人だかりだったのだ。最初に目に飛び込んできたのはホンダ幻の試作車S360。50年前に当時二輪車メーカーだったホンダが、初めて四輪販売に参入したオープン2シーターS500の原型である。私が誕生した1962年、全国ホンダ会総会の製品展示・試走会で初披露され、同年東京モーターショーの前身、第9回全日本自動車ショーでも出展されて市販化が期待されていたが、結局幻のクルマに終わり、排気量アップされたS500がホンダ初の四輪車となった。今回、ホンダの有志らが当時の図面や資料をもとに完全復刻したのだそうだ(当時の実車は残っていなかったのだろうか?)[3][4]。まさに四輪ホンダの原点ともいえるクルマである。半世紀後、そのDNAを受け継いだ小型スポーツコンセプトがS660。環境に優しくと言いながら、クルマがどんどん大型化する中で、小気味よいクルマ本来の走りの楽しさが味わえるこのようなクルマたちが復活することを期待したい。NSXよりこっちだよ、ホンダらしさは。そのS660の市販化はあるのか?同社の伊東孝紳社長は「現在、2015年の市販化を目指して鋭意開発中」と同モデルの市販化を明言している[5]。

S360復刻版 S660
Honda S360復刻版(左)とS660(右)

市販車ではFIT3の後席に乗ってみたが“広いっ!”。うちのエクストレイルより足元スペースがあるかも。デザインは気に食わねえが、これでHVの高燃費とくれば売れるはずだよ、おっかさん。ホンダブースの一番最後には国産マシンで初めてF1に参戦したRA271(「F・1おやじ」参照)が展示されていた。威風堂々としたその姿が神々しい。

枠にはまるな。
「枠にはまるな。」のメッセージとRA271

それにしてもホンダブース内で目を引く「枠にはまるな。」のメッセージは、特に新しいことに挑戦する人には刺さるものがある。余談ではあるが、小泉元首相の脱原発発言が物議を醸している。私には小泉さんの発言の真意、本当の狙いはわからないが、脱原発の発想こそ、今の日本に問われた「枠にはまるな。」ではないかと個人的に思うのである。「具体的な代替エネルギー案が提案されていない」「無責任」といった批判も多いが、数多(あまた)の政治家、識者の口から出てくるのは実現困難、無理という言葉ばかり。難しいのは皆わかっている。ただ現実問題として、この瞬間にも我々が原発のリスクに晒されているにも関わらず、従来の枠から抜け出せないまま、新しいエネルギー戦略を出せずに時は無駄に過ぎている。福島だけでなく今ある原発の全ての廃棄物を、将来どのように最終処分するかの公の議論もない。困難な課題に挑戦しようというリーダーが誰もいないのである。原発再稼働のスイッチを押す方が、電力の安定供給の点では最もイージーな選択だからだ。こういう状況だからこそ、強いリーダーシップのもと、脱原発を前提とした日本人あるいは人類の英知を結集することで、今すぐにでも新しいエネルギー社会の構築に挑戦しようと彼は言っているのではないだろうか。かつてJ.F.ケネディが掲げた”We choose to go to the Moon.(我々は月に行くことを選択した。)”くらいのコミットメントが日本から出てきて欲しい。特定秘密保護法ではないと思うんだよね。政治が今議論すべきなのは。本田宗一郎が今の時代に生きていたら、きっと安全でクリーンなエネルギー開発に全身全霊を傾けていたと思う。「僕たちは、なんにでもなれる。僕たちは、どこへでもゆける。」と。

日産IDx FREEFLOW 日産IDx NISMO
日産スカイラインC10 日産スカイラインC10 H/T 2000GT-R(日本GP出場車レプリカ/1971年)
日産IDx FREEFLOW(左上)日産IDx NISMO(右上)
日産スカイラインC10”ハコスカ”(左下)”ハコスカ” H/T 2000GT-R(日本GP出場車レプリカ/1971年)[10](右下)

さて上期決算で一人負けの日産自動車も、創立80周年のショーということで力も入っていたし人も多かった。個人的には、80周年を記念してこれまでの日産車ミニカーがスロープに沿ってずらりと陳列されていたのが壮観だった。メインステージでは、良くも悪くも興味あるコンセプトカーが3台。最初の2台は「IDx FREEFLOW」と「IDx NISMO」。どこのブースを見てもラウンドシェイプの時代の流れに逆らって、我々おじさん世代にはノスタルジーを憶えるシンプルな3BOXクーペ。一瞬、ミニやチンク、N360などのように今流行りのリメイクかと思われた。だってハコスカかブル―バード510やん、これ。ところがこの2台、1990年以降に生まれた“ジェネレーションZ”、“デジタルネイティブ”世代の心に刺さることがターゲットのコンセプトカーなのだそうだ。そのために、プロフェッショナルのエンジニアとジェネレーションZ世代が『コ・クリエーション(共同創造)』というアプローチで具現化した[6]。若者の嗜好を追求したら、旧車にたどり着いたということか。「コ・クリエーション」がどういう手法なのかわからないが、旧車好きのエンジニアによる無意識の誘導はなかったのか。細かいところはまだまだコンセプトカーの域を出ない造形だが、個人的には嫌いなスタイリングではない。もし市販化されれば、ジェネレーションZよりも団塊世代に受けるのではないかと思った。

日産ブレードグライダー
日産ブレードグライダー[7]
BUJIコンセプト2
BUJIコンセプト(「超マイカー宣言! 動物かんきょう会議」より)

もう一台は「ブレードグライダー」。航空力学に着目したという三角翼形状のEVコンセプトだ。そもそも自動車は航空力学(空気力学)の申し子だと思うのだけれど、今さら航空力学と言われてもねえ。それとも本当に飛ぶのか?この形を見て思い出したクルマノエホンがある。「超マイカー宣言! 動物かんきょう会議VOL.03」で紹介したBUJIコンセプトというもの。三輪と四輪(トヨタが三輪のFV2というコンセプトを出していた)、タンデム2座と3座の違いはあるが、形はまさに三角形。駆動源は燃料電池だけどまあ同じ電気自動車だ。後輪も同じく左右独立制御のインホイールモーターで走行する[7]。このBUJIコンセプトは、本書の著者イアンこと筒井一郎氏がホンダのエンジニア時代に企画したもの。三角形どうしの車体であれば、正面衝突でも、側面衝突でも互いの入射角が小さくなり、衝撃力が緩和される安全車のコンセプトという発想は面白い。四角形と三角形、三角形の頂点どうしで正面衝突すれば、逆に衝撃力は増すことになるけれど…。まさかBUJIコンセプトのパクリではないと思うが、電費稼ぎの三角形というだけでなく、この形の必然をもう少し追求して欲しかったね。

インフィニティ・スカイライン
人もまばらな新型インフィニティ・スカイライン、サイドのシルエットは結構好きだけどねえ…

市販車では新型GT-Rは人だかりで近寄れず。逆に新型インフィニティ・スカイラインの周りは閑古鳥。日産バッジを捨てたスカイラインの新しい立ち位置は賛否両論(否の方が多いような)あるようだけど、この2台のギャップが、スカイラインのDNAに対するユーザーの答えのような気がする。

BMW M6カブリオレ BMW i8とi3
BMW M6カブリオレ(左)BMW i8(右手前)とi3(右奥)
i3の車体構造 ハニカム構造の車体フレーム
アルミとCFRPのi3車体構造(左)同じくハニカム構造の車体フレーム(右)

モーターショーに出かけた朝、ちょうどBMWからのDMに入っていたフルラインナップのカタログを家族であれがいいねこれがいいねと見ていたばかりだった。見る分にはタダ。息子はスポーツバージョンのM6カブリオレが良いという。会場には本物があった。確かにかっこいい。こんなクルマに夢でも乗ってみたいものだ。家族にも好印象だった2014年販売開始予定のBMWピュアEVであるi3とプラグインハイブリット(PHEV)スポーツi8。ガルウィングのi8の存在感はハンパない。先日、日産リーフに家族全員試乗したばかりだが、BMWが手掛けるとEVもずいぶんプレミアム感が高まる。車体は衝突安全と軽量化の両立のためにカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)で作られたボディと、アルミニウム製のシャシーによる新構造。いかにも高価そうな骨格をもつ[8]。

SLS AMG GT FINAL EDITION
ワールドプレミアの一台、SLS AMG GT FINAL EDITION
Sクラス・クーペ・コンセプト
Sクラス・クーペ・コンセプト

一方、自動運転の領域では圧倒的な技術力を見せつけるダイムラー・メルセデス。今回はワールドプレミア2台とジャパンプレミア1台が展示されるという力の入れよう。個人的にはジャパンプレミアのSクラス・クーペ・コンセプトの流麗なデザインにうっとり。ベンツっぽい押し出しの強さは控えめに、粋で繊細なイメージが強調されている日本人好みの一台だ。品格を備えた真のセレブとは、こういうクルマに乗るんだろうなあとため息だけが漏れる。4,663ccのV8エンジンを搭載しており、ツインターボチャージャーで過給。最高出力455ps、最大トルク71.4kgmの強大なパワーを発生[9]。上品そうな姿をして、パワーユニットはやはり只者ではない。(後半に続く)

電動化の流れは止まらない。
メルセデス・ベンツ・E400ハイブリッドアバンギャルドポルシェPHV・パナマーラS E-ハイブリッド
アウディPHV・A3 e-tronボルボPHV・コンセプト・クーペ
2014Spark-Renault SRT_01E
メルセデス・ベンツ:E400ハイブリッドアバンギャルド(左上)
ポルシェPHEV:パナマーラS E-ハイブリッド(左上)
アウディPHEV:A3 e-tron(左中)ボルボPHEV:コンセプト・クーペ(右中)
フォーミュラーカーまでもEV化(Formula-e):2014Spark-Renault SRT_01E(下)

[参考・引用]
[1]第43回東京モーターショー2013 成功裏に閉幕 -日本のモノづくりの強さを「日本ブランド」、「東京ブランド」として発信-、東京モーターショーホームページ、2013年12月1日、
http://www.tokyo-motorshow.com/press_release/20131201.html
[2]東京モーターショー2013開幕!ワールドプレミア76台!!スポーツ、コンパクト旋風も、日経BPnet、2013年11月21日、
http://www.nikkeibp.co.jp/article/matome/20131121/374292/?rt=nocnt
[3]S660、出展車一覧、東京モーターショー2013、Hondaホームページ、
http://www.honda.co.jp/motorshow/2013/tms/list/
[4]ホンダ・S360、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BBS360
[5]【東京モーターショー13】ホンダ S660…“S”の伝統を現代に、Response、2013年11月22日、
http://response.jp/article/2013/11/22/211443.html
[6]日産のサプライズ・コンセプトカー「IDx」の「FR」らしさは?【東京モーターショー2013】、山本晋也、Clicccar.com、2013年11月27日、
http://clicccar.com/2013/11/27/238317/
[7]東京モーターショー2013:日産のEV「ブレイドグライダー」は地上を滑空する感覚、市販も視野に、朴尚洙、MONOist、2013年11月8日、
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1311/08/news085.html
[8]注目の「iシリーズ」日本上陸! BMWが実現する「持続可能な次世代モビリティ」とは?、WIRED、2013年11月22日、
http://wired.jp/2013/11/22/bmw-i/
[9]メルセデスベンツが流麗な「Sクラスクーペ」を発表!【フランクフルトモーターショー13】、Avanti Yasunori、Cicccar.com、2013年9月17日、
http://clicccar.com/2013/09/17/231069/
[10]「モータースポーツ ジャパン2008フェスティバル イン お台場」開催、2008 NISSAN GT-R ニュース、2008年9月30日、日産GT-R WEBカタログ、
http://www.nissan.co.jp/GT-R/lb2008093000
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Posted on 2013/12/04 Wed. 20:10 [edit]

category: cars/車のお勉強

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