ルノーともう一度恋に落ちる~新型ルーテシア

4代目ルノールーテシア

市中でクルマを走らせていると、目に付くのはアクアやプリウスなどのハイブリット車か妙に四角張った軽ばかり。輸入車もゲルマン車が一番と言わんばかりにベンツ、BMW、VWらの独ブランドが肩で風を切っている。車体色も白か黒、グレーなど、いわゆる無彩色が大半(※1)。黒系やシルバーなら高級感、クールという褒め言葉もあるかもしれないが、白いプリウスなんて…。あー、つまらない。
「どんな車や色を選ぶかは個人の自由だろ」
「白って、清潔じゃん!」
「ダサい泥色の日産中古車に乗っている貧乏人が偉そうなこと言うんじゃねえよ」
ハイハイ、おっしゃる通りでございます。傍から見ればしょーもないことに管を巻くおじさんがネットサーフィンをしていると、ビビッドな赤のフランス車に目が留まった。ムムっ!先月24日から日本国内でも発売開始となったルノー新型ルーテシアである。クゥー!(博多華丸君の川平慈英のモノマネで)。故障に泣かされ続けた元カングーユーザーが、性懲りもなくルノー車にもう一度恋をした。

(※1)モノトーン色の車が多いのは日本市場だけかと思っていたら、世界的な傾向なのだそうだ。2013年モデルでいうと、生産量の最も多いのは「白」(全体の25%)、次いで「黒」「シルバー」の順(各18%)となりこの3色で3/5を占める。これまでは「シルバー」が一番人気だったが、2013年には欧州、北米、アジアで「白」が首位に立ったという[1]。「白」の塗料はコストが安いというから、世界的に不況ということなのだろうか。

CIマークも大きくなった
CIマークも大きくなった

本国フランスでは、4代目クリオ(Clio)として既に昨夏にモデルチェンジ。欧州不況に伴う販売不振のルノーを救う起死回生の切り札として市場投入された。保守的な印象もあった先代からデザインは内外装ともに一新され、アバンギャルドな雰囲気に。なんとなくマツダっぽい気もするなと思っていたら、22年間ルノーのデザインを率いたパトリック・ル・ケマン上級副社長の後任、マツダから転籍したローレンス・ヴァン・デン・アッカ―というオランダ出身のデザイナーがエクステリアデザインを担当したと聞いて納得[2]。デザイン本部長の交代が‘09年だから、ちょうどこれからのモデルにヴァン・デン・アッカ―色が反映されることになる。ルノーのCIマークもかなり大きくなり、インパクトのある顔立ちになった。

フェイスリフトした新型カングー
フェイスリフトしたタヌキ顔の新型カングー

カングーも新しい顔にフェイスリフトしたばかりだが、こちらはタヌキみたいでちょっといただけない。でも全てが新しくなったルーテシアは全体的にバランス良く仕上がっている。欧州では激戦区のBセグメント(※2)の5ドアハッチ(3ドア設定はなし)。VWでいうとポロが競合車になるようだ。基本設計は日産・ルノーで共同開発されたBプラットフォーム(※3)をベースとする。日産でいえば、ティーダやシルフィ、ジュークなどがこのプラットフォームで設計されている。日産で売れ筋の現行ノートも同じBセグメントであるが、Bプラよりも部品点数削減、軽量化したVプラットフォームを使用している[3]。エンジンは新世代の直列4気筒DOHC 1.2L直噴ターボ。トランスミッションにMTはなく、法規上ATとなる、「EDC」と呼ばれるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載、パドルシフトでマニュアルモードを選択できる[4]。

(※2)Bセグメント:主に欧州で利用されている乗用車分類方法であるセグメントの1カテゴリーであり、AセグメントとCセグメントの中間に位置付けられる車格である。同一セグメントにセダン、クーペ、ハッチバックなどのボディスタイルを包括する。おおむね全長が3,750mmから4,200mmまでの車種であり、排気量が1Lから1.5Lのガソリンエンジンを搭載することが多いが、明確な数値基準はない[5]。
(※3)プラットフォーム:複数の自動車車種で共有される車両の構成部品の組み合わせのこと。Bプラットフォームは、ルノー・日産共同開発のBセグメントFF車用のプラットフォーム[6]。


日産ノートと嵐
日産ノートと嵐(日産CMより)

ルーテシアもノートも両社の主力車種ではあるものの、商品コンセプトはかなり違って見える。ノートはイメージキャラクターにアイドルグループ・嵐を使っているが、クルマそのものはルーテシアほど若々しさを感じないのは私だけか。同じ素材(部品)を使っても、デザインする会社や人によって、これほどに商品化のアプローチは異なる。確かに日本とフランスという国民性や文化の違いもあるだろうし、もともとハッチバックが根付かない日本市場の特殊性もあるが、どうして日産からこういうワクワクするクルマが出てこないのだろう。意識的にルノーとの棲み分けを図っているのか、“Fun to Drive”、もとい“Feel the Beat”(歳がバレる)を捨て、ただひたすらにコストと実用性を重んじ、安全・環境性能といった社会的責任を遵守する、行儀のいいだけの企業になってしまったのか。確かにそれらが悪いとは言わないよ。グローバル企業としては当然だろう。ただ今の日本車(あるいはドイツ車にも)に欠けているのは若々しさと遊び心、改めてそう考えさせられた新型ルーテシアの登場であった。

そのルーテシアのキャッチフレーズが『ルノーともう一度恋に落ちる』。完全にルノーの罠にはまった僕。各種メディアに取り上げられ始めたインプレッションを読むと、デザインだけでなくその走りの良さも注目されている。これは一度現物を見なければと、ほぼ3年ぶりにルノー販売店へ寄ってみた。当時の営業担当者の方もおられ、久々にお話をさせていただいた。

新型ルーテシア サイドビュー
新型ルーテシアのサイドビュー

ボディーサイズは全長4,095×全幅1,750×全高1,445mm、ホイールベース2,600mmで、先代から70mm長く、30mm広く、40mm低くなった[4]。12月に国内投入される新型エクストレイルの全幅が1,820mmと現カングー並みに巨大化[7]。現行エクスが1,785mmだから、ルーテシアくらいが違和感なく乗換えられる。ボディサイド下部の抉れたようなデザインのせいか、先代よりもホイールベース長がすごく長い印象を持つが、わずかに25mm長くなっただけ[8]。

新型ルーテシア インテリア 新型ルーテシア インパネ
好き嫌いが分かれる?新型ルーテシアのインテリア(左)とインパネ(右)

インテリアは(50過ぎのおっさんから見れば)けっこうぶっ飛んだ印象で、好き嫌いは分かれるだろう。後席スペースは決して広くはないが、必要十分。300Lのトランクは、深さもあって、外観の印象よりも広いと感じた。

新型ルーテシア ブルー ドゥ フランス
新型ルーテシア ブルー ドゥ フランスがきれい

グレードは上位から「インテンス」「ゼン」「アクティフ」とあって、「アクティフ」は車体価格税込で200万を切る。最上級グレード「インテンス」ですら238万円の、輸入車としてはお手頃価格。ボディカラーは7色で、「インテンス」は内装色と17インチのカラーリングされたアロイホイールを選べる[9]。おじさんにとって内装、ホイールともにルージュでアクセントを入れたバック・クルール・ルージュ(前出写真)はさすがに引くが、黒の車体色にルージュのホイールはなかなか渋い(実物確認)。まあ、私が買うなら、黒内装、黒ホイールのバック・クルール・ルワールで、車体色はブルーかマロン(茶)。カタログでしかわからないけど、ブルーがすごくきれいだ。バック・クルール・マロンも渋くていいね。もしくは、16インチにダウンするが、ノーマルホイールで黒内装の「ゼン」かなあ。

238万円は買い?
238万円は買い?

ってか買う気満々になっているけど、愛車エクストレイルは20万km乗りまっせー。

来月14日からはRS(ルノースポール)仕様も販売開始(価格は299万円~309万円)[10]。走りに興味のある方にも注目の一台だ。今回試乗はしなかったが、次回は是非運転してみたいと思う。

[参考・引用]
[1]今、世界で最も人気のある車の色は「白」!ここ10年の「シルバー」人気を凌駕。塗料メーカー調べ、マイナビウーマン、2013年10月28日、
http://woman.mynavi.jp/article/131028-024/
[2]ルノーのデザイントップ交代…ルケマン後任は元マツダのヴァンデンアッカー、レスポンス、2009年4月11日、
http://response.jp/article/2009/04/11/123152.html
[3]日産Vプラットフォーム、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BBV%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0
[4]ルノー「ルーテシア」インプレッション、岡本幸一郎、CarWatch、2013年8月22日、
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20130822_611755.html
[5]Bセグメント、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/B%E3%82%BB%E3%82%B0%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88
[6]日産Bプラットフォーム、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BBB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0
[7]日産 新型エクストレイル 新型車解説、渡辺陽一郎、オートックワン、2013年10月24日、
http://autoc-one.jp/nissan/x-trail/newmodel-1518702/
[8]ルノー・ルーテシア1.6(FF/5MT)、CAZOO.com、2010年6月7日、
http://gazoo.com/car/newcar/impression/st2/Pages/2010/06/ae5dac42-2708-4348-8d1c-c1c5676e3826.aspx
[9]ルーテシア、ルノージャポン・ホームページ、
http://www.renault.jp/car_lineup/lutecia/index.html
[10]ルノー、モータースポーツジャパンで「ルーテシア ルノー・スポール」を初披露、CarWatch、2013年10月15日、
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131015_619462.html
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[ 2013/10/29 22:00 ] cars/車のお勉強 | TB(0) | CM(0)

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