Christopher’s Dream Car

私の好きなシトロエンHトラックは、決してメジャーな車ではない(なにせおフランスのハーフトラックですから)。ましてや、それを題材にした絵本など、ほとんど皆無に近いと思われた。そのHトラックが登場する珍しいクルマ絵本が、今回紹介する”Christopher's Dream Car”(Andreas Greve作、Annick Press)である。

この本との出会いはネットオークションであった。定期的にヤフオクでクルマ絵本をチェックしているのだが、そこで出品されていたのがこの絵本である。私は迷わず"Car"というタイトルだけで入札してしまった(内容もわからずに)。

Christopher’s Dream Car「一部」

本が届いて中身を見ると、なんと私のお気に入りのHトラックの挿絵があるではないか。これだけで私は十分満足をした。

内容は、とある都会に住む車好きの少年Christopherが主人公。彼には誰にも話をしていない自分だけの夢の車の秘密がある。この車は、いなかに住む彼の祖父母の家の納屋のそばに放置された、壊れた古いHトラックだ。彼は夏休みに一度だけ、この夢の車を運転したことがあった。

ある日祖父が市場にトマトを届けることになった。Christopherも飼い猫と一緒に連れて行ってもらいたかったのだが、トマトが一杯でトラックに乗せてもらえなかった。しかたなく、Christopherは猫と一緒に夢の車にトマトを載せて乗り込む。クランクをまわしてエンジンをかける。

町へ通じる道路が祭りに向かうサーカスの一団の車で渋滞していた。と、路肩に故障したトラクターが止まっている。
「僕を町まで引っ張ってくれないかい?エンジンが故障しちまって。」
そう声をかけてきたのはMarioという少年だった。彼はメリーゴーランドを運ぶ途中だった。ChristopherはHトラックでゆっくりと牽引をしてあげた。

祭りの会場で、彼らはトラックに積んであったトマトを棒付キャンディにして売ってこれが大ヒット。これはChristopherのアイデアだった。

夜になり祭りが終わると、Marioが故郷に帰ると言い出す。
「夜はもっと楽しく、みんな外でいつまでも楽しむんだ。」
「そこは遠いの?」とChristopher。
「すごく遠いさ。」
「いいね。行こう。」
準備をする間もなく、彼らはHトラックでMarioの故郷に向かった。

長い時間人里もなく、森を越え、高い山々と険しい谷に沿った峠道を走った。Marioは道を知ってはいたが、非常に怖いドライブだった。

夜が明けると、小さな港町に到着した。その町の人々は皆、彼らを知っているかのようであった・・・。

この本はChristopherの想像する旅の物語である。読み進むうち時間の感覚がなくなってくる不思議な雰囲気のある絵本だ。これは、Andreas Greveの印象主義的な水彩画の効果にもよるところが大きい。

Andreas Greve
Andreas Greve

Andreas Greveは、1953年ドイツのハンブルク生まれの著作家、イラストレーター。現在までに10冊の児童書を書き、これは彼の4作目にあたる[1]。彼自身も旅行に関心があり、メキシコや日本、グリーンランド等を旅しているそうだ。

子供の頃、父親の車の運転席に座りハンドルを握って運転ごっこをした経験はないだろうか。私も経験はあるし、息子もおもちゃのハンドルを握ったり、カングーの運転席に乗っては、運転のまねごとをよくする。こんなとき、Christopherのような想像力豊かなものではないにしろ、子供は空想の小旅行をしているのだと思う。ちなみに息子に「どこに行くの?」と尋ねると、決まって「ダイエー」と答える。この子に想像力はあまりなさそうである。

[参考・引用]
[1]Andreas Greve、Hoffmann und Campe、
http://www.hoffmann-und-campe.de/go/cace0daf-508b-af43-9108026d02283773

Christopher's Dream CarChristopher's Dream Car
(1991/08)
Andreas Greve

商品詳細を見る
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメントの編集・削除時に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)


    トラックバック

    Trackback URL
    Trackbacks


    最近の記事