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ダットさんうみをはしる  

ダットさんうみをはしる

くっそ暑いが、やっと会社も夏休みに突入。夏休みといえば海は外せないのだろうが、最近家族で海へ出かけていない。最後に海水浴に行ったのはいつだったろう?毎日、自宅のベランダから横須賀港(軍港ですが)を一望できるし、通勤は湘南海岸沿いのR134経由なので、海は我が家の生活の一部にはなっている。ただ、これらは日常の風景としての海。先日息子と横須賀久里浜にある独立行政法人・港湾空港技術研究所が毎年開催する夏の一般公開日に出かけたのだが、そこで磯の生物の研究施設を見学することができた。生きた貝やカニ、ヤドカリなどに直接触れることができるのだが、彼は時間も忘れて夢中で磯の生き物と戯れていた。自分も子供のころ海で遊んだ楽しい記憶は強く残っているし、波音や潮の匂いを肌で感じることは、きっと海が起源の生物としての人間の脳にもいいんだろうなあと思う。やはり海は子供にとって楽しい場所なのだ。だがしかし、私が育った人もまばらな田舎の海とは異なり、関東エリアの海の避暑地、人、人、人で込み合う夏の湘南や逗子・三浦の海岸へ繰り出すのは、正直気が引ける。どこもクルマで30分エリアなので、早起きして、まだ人の少ない早朝の海岸へ出かけてみるか。そんな流れで、本日のテーマは海。ダットサン・フェアレディ2000(SR311型)の主人公が、横須賀はオッパマ(追浜)界隈で活躍する「ダットさん」の第2弾。今度もエスハチくん、エヌころちゃんと一緒に、三浦半島を舞台に悪役『つきほしだん』とのバトルが描かれる「ダットさんうみをはしる」(こもりまこと・作、教育画劇)を取り上げよう。

ダットさんうみをはしる その1
スイカ爆弾を取り戻すのじゃ(「ダットさんうみをはしる」より)

スイカ日和の夏の一日。ダットさん、エスハチくん、エヌころちゃんはスイカの直売所、本田農園に集まる。ここはエヌコロちゃん(ホンダN360)の実家のようだ。そのガレージでまったりとしていたダットさんのおじいさんの古い友人、シマネコ博士が話を始める。「最近、『つきほしだん(こちらを参照)』が、エヌコロちゃんちのスイカを盗んで、スイカ爆弾を作って悪さをしておる。奴らの基地を見つけて、スイカ爆弾を取り戻すのじゃ。」博士が準備してくれた秘密兵器を背中に、ダットさんたちはスイカ畑の見張りを始める。

ダットさんうみをはしる その2
左奥に見える風車は…(「ダットさんうみをはしる」より)

このスイカ畑、三浦半島の夏の風物詩である。具体的にどの辺をモデルにしたのだろうか、ヒントになりそうな情報が描かれていないか隅々まで探すも、決定的な手がかりは得られない。松輪か毘沙門辺りではないかと思ったのだが、あるページの片隅に風車の絵が。こ、これは宮川公園の風力発電所の風車に違いない。この発電所はもともと旧通産省の風力発電研究の施設で、今はニチメンという会社が管理していて、風車の周りは芝生の公園になっている[1]。

三浦半島のスイカ畑1
宮川公園の風力発電所
三浦半島のスイカ畑2
三浦半島のスイカ畑
三浦半島のスイカ畑3
三浦半島のスイカ(以上2013年7月初めに撮影)

ダットさんうみをはしる その6
三浦のスイカ畑でのカーチェイス(「ダットさんうみをはしる」より)

上の写真は今年の7月初旬に宮川公園の近くで撮影したスイカ畑。「ダットさん」の挿絵の雰囲気でしょ。スイカの収穫の旬は小玉が7月初旬頃まで、大玉もちょうど今頃で収穫時期を終える[2]。この時期を過ぎると、挿絵とは異なる一面赤茶色の土の畑に変貌する。9月からは大根やキャベツの種期となり、冬場になれば、再び三浦半島は緑一色の畑に変わるのだ。

ダットさんうみをはしる その3
シェビー・カメオ・キャリアのつきほしだん(「ダットさんうみをはしる」より)

さて、畑を見張っていると怪しげな2台のピックアップトラックが。シボレー(シェビー)・カメオ・キャリア(Chevrolet Cameo Carrier)‘57年式[3][4]がモデルのこの『つきほしだん』一味は盗んだスイカを荷台に積んでいる。彼らをつけていくと、突然スイカ爆弾で攻撃され、エスハチくんがパンクさせられた。さらに逃走するトラックたちは海に出た。海の家が見える海水浴場のようだが、大浦海岸辺りだろうか。ここからなんと奴らは海の中へ入っていくではないか。そこでシマネコ博士の秘密兵器、ボンベの威力が発揮される。ダットさん、エヌコロちゃんは水陸両用車に早変わり。海へ潜って『つきほしだん』の追跡再開。海中のトンネルを抜けて陸地へ上がると、そこは『つきほしだん』の秘密基地であった…。今回も昔懐かしい旧車のオンパレード、再び「ルネントマッパオ」の呪文も登場し、真夏の大活劇は続く。

ダットさんうみをはしる その4
真夏の海の大活劇(「ダットさんうみをはしる」より)

ここからは「ダットさん」ではなく本当のDATSUNのお話。1981年の実に愚かな経営判断により、日産自動車のブランド名から消滅して以来、再び「ダットサン」が復活を果たした。先月15日に、インド・ムンバイにてそのDATSUNブランドの復活第一弾となる新型車、DATSUN GOの発表があった。発売は来年初頭になるそうだ[5]。

DATSUN GO
DATSUN GO[9]

もともとのダットサンというと、国内では小型大衆車=安っぽいといったブランドイメージと思われがちだが、私にとっては、1958年の豪州ラリーで活躍したダットサン210、‘70年サファリラリーで総合優勝したダットサン・ブルーバード510、’71年サファリラリーでのダットサン240ZXの1、2フィニッシュ、同じく240ZXの‘72年モンテカルロラリーでの総合3位入賞など[6][7][8]、ラリーのDATSUN、つまり耐久性のある堅牢でスポーティなブランドイメージがあった。「ダットさん」のモデル、フェアレディ2000もまた然りである。ところが新しいDATSUN GOはどうだろう。いかにも安っぽく、デザインも凡庸なクルマ(ネーミングもダサい)、事実価格は40万ルピー(77万円)以下。DATSUNブランドを立ち上げたのも、低価格車のラインアップがNISSANブランドのイメージを損なうことを防ぐことが目的だったようだから[9]、DATSUN=低価格車という、ルノーで言えばダチアに相当するような日産のブランド戦略らしい。

かつてDATSUNが何故世界で受け入れられ、愛され続けたブランドになり得たのか。日産の経営陣はDATSUNを捨てた時のように、再びブランドの取り扱いを間違えているのではないだろうか。「ダットさん」のような軽快さをGOには全く感じないのである。

ダットさんうみをはしる その5

[参考・引用]
[1]★宮川公園の風車★風力発電所★三浦市のランドマーク★、DeepCity YOKOSUKA、2007年11月21日、
http://blog.goo.ne.jp/tivgdtd/e/9b654965cf1df2bc63fe63e6cdfb2945
[2]三浦スイカ、神奈川県観光情報サイトかなたび、
http://kanatabi.pref.kanagawa-kanko.jp/data/kanatabi?id=00188
[3]Chevy Enthusiast via Hooniverse: The Chevy Cameo Carrier、Jim Brennan、Hooniverse.com、2010年7月3日、
http://hooniverse.com/2010/07/03/chevy-enthusiast-via-hooniverse-the-chevy-cameo-carrier/
[4]Chevy Cameo Carrier 1955-1958、TRUCKS、Classic Cars, Trucks, and Motorcycles - History, Pictures, and Information、
http://www.classic-car-history.com/chevy-cameo.htm
[5]日産、復活ダットサンの最初のモデル「GO」をインドで発表、Response、2013年7月16日、
http://response.jp/article/2013/07/16/202190.html
[6]ラリー、NISSAN HERITAGE COLLECTION online、
http://nissan-heritage-collection.com/NEWS/publicContents/index.php?procType=CATEGORY&catID=12
[7]伝説のラリーカー復活:富士号&桜号、NISSAN MOTOR COMPANY、2011年12月23日、
http://www.nissan-global.com/JP/REPORTS/2011/12/111223.html
[8]日産・フェアレディZ、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3Z
[9]日産「ダットサン」の復活と課題 新興国を開拓、インドに第1弾「GO」投入へ、東洋経済ONLINE、2013年7月17日、
http://toyokeizai.net/articles/-/15579

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こもり まこと

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Posted on 2013/08/10 Sat. 20:25 [edit]

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コメント

★日産
仮想敵はトヨタ/ホンダ/オペル/フォード/VW/プジョー/ヒュンダイ/シボレー/クライスラー/ダッジ(量的に主流になるブランド)
★インフィニティ
仮想敵はベンツ/BMW/アウディ/ボルボ/キャデラック/ジャガー(プレミアムブランド)
★ダットサン
仮想敵はシュコダ/ラーダ/チェリー(中国)/起亜/マルチスズキ(インド)/ダシアロガン(新興国向けの低価格ブランド)
彼カルロスゴーン氏の腹積もりはそんなところであるに違いない。
同グループ内で、ルノー=欧州中心/日産=米国・アジア・中南米、ダットサン=アジア地域/ダシアロガン=欧州・北アフリカと棲み分けて調整を図っていくものと考えられる。

URL | 真鍋清 #-
2014/04/12 03:06 | edit

新ダットサン

ダットサンブランドのロシア向け新型車「on-DO」が先日4日に発表されました。
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140407_643109.html
ロシア情勢不安定の中、ロシアへの攻勢の手を緩めないルノー・日産グループ戦略の是非は兎も角、GOもそうですが新ダットサンのデザインが今一つ好きになれないのですよねえー。特にグリルの形が。
同じルノー・日産グループのエコノミーブランドだと、ルーマニアのダチア(ダシア)のデザインの方がそそられます。

URL | papayoyo #-
2014/04/12 17:47 | edit

ロシア向きダットサン"On-DO"は愚直なほど四角四面な3ボックスセダンのスタイルで心惹かれますが、内実はルノー日産グループの一員となったロシアのブランド「ラーダ」(会社名=AUTOVAZ社)のカリナ・セダンの二卵性双生児だそうです。
ラーダ製1600cc/87psユニットを前記カリナと共有する同車、要はラーダのボディ違いと言うわけです。
それもそのはず、上記AUTOVAZ=アウトワズ社の工場でラーダカリナと共通の生産ラインで製造され、販売系列が違う間柄のこのOn-DO、小生もロシアに行ったら是非運転してみたいです、コーナリングスピードなど現在所有している2004年式ヴィッツ1300U-Lとどちらが速いか見ものだと思います(笑)。

URL | 真鍋清 #-
2014/04/20 02:47 | edit

Re: タイトルなし

調べてみると"On-DO"はLADAのグランタと姉妹車のようです。そのグランタはカリナをベースに開発されている。改めて"On-DO"を眺めてみると凡庸なフェースのグランタより精悍な顔つきで、全体のプロポーションも確かに悪くない。六角形グリルは少し気になるのですが…。ラーダブランドでいうと四角四面の4×4、ニーヴァが個人的には気になっています。日産でいうと昔のラシーンのような、ちょっと小型で道具感のある生活四駆が国内にはなかなかないのでね。ロシアのクルマも面白そうですが、日本に入ってくることはまずないでしょうね。ダットサンブランドは故郷日本に戻ってくるのでしょうか。

URL | papayoyo #-
2014/04/21 23:56 | edit

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