乗り物をアートにする26人の世界

暑さも小休止の週末20日は、午後から東京・市ヶ谷に出かける。12日から山脇ギャラリーで開催されている「AAFオートモビル・アート連盟作品展 乗り物をアートにする26人の世界」を見るためである。今年で2回目。昨年は見損ねたので、今年こそはと横須賀より遠征。オートモビルとあるものの、自動車のみならず、飛行機や汽車なども含め、イラストレーションからペーパークラフトや模型まで、傍から見れば呆れるほどのクレイジーな作品が並ぶ。26人の筋金入りのCar Guysならぬ、Vehicle Guysが26人26様の個性の火花を散らす。

安藤俊彦:stanguellini

あかくんまちをはしる」でお馴染みの安藤俊彦氏の作品。イタリアの古い街並みだろうか、真っ赤なスタンゲリーニ(stanguellini)がよく映える。まさに“あかくんヨーロッパのまちをはしる”である。氏が会場におられたらサインをいただこうと「あかくんまちをはしる」を懐に忍ばせていたのだが、残念ながらいらっしゃいませんでした。

岡本三紀夫:Jaguar MarkⅡ 渡邊アキラ:Lotus11 Le Mans

岡本三紀夫氏のJaguar MarkⅡ。アクリル絵の具でここまで光の映り込みを表現できるとは。渡邊アキラ氏の1958年Lotus11 Le Mansも同じアクリルだが、二人の作品は写真と見紛うほどのリアリティ。でも写真とは異なり人の手で描かれたことによる艶やかさを感じる。

空山基:タイトルなし

セクシーなモンローに見入ってしまった。空山基氏の作品。作者紹介に、余程興味のある奇特な方はホームページ迄とあったので、早速アクセス(アダルトオンリーだそうです!)。

溝川秀男:La Ferrari Ferrari F-40

溝川秀男氏の3DCGの世界。最新のCG技術が駆使されているだけあってリアリティはすごいが、コンピュータが描いたといっても指令を出すのは人間。そこには0と1だけでは表現できない作者の意思や感情、エネルギーといったものが投影される。

溝呂木陽:512M 溝呂木陽:プラモデル

お馴染み溝呂木陽氏の作品。もちろん模型も展示。挨拶しようと思ったが、相変わらずの大人気で他のお客様と熱く語られていたり、模型談議で盛り上がっていたので、声をかけるタイミングを失う。先週も横浜でお会いしたし今回はスルーさせていただいた。

高梨廣孝:YAMAHA V-MAX 1990 高梨廣孝:YAMAHA V-MAX 1990アップ

こちらはスクラッチモデラー、高梨廣孝氏のYAMAHA V-MAX 1990の1/6スケールモデル(氏はYAMAHAの取締役まで務められ、現在は静岡文化芸術大学デザイン学部教授)。スクラッチ(ビルド)、すなわち各種材料を用いて金属削り出しや叩き出しなどで部品を自作して作ったモデルなのだ。このYAMAHAはフルスクラッチ。溜息ものの、まさに工芸品。

寺田敬:サン=テクジュペリ

寺田敬氏のサン=テクジュペリ。いい感じです。彼の愛用機コードロン・シムーン第一号機とともに。「ラスト・リゾート」を思い出す。「夜間飛行」も読んでみたくなった。

篠崎均:ペーパークラフト

篠崎均氏のペーパークラフト。もはや紙(神)の域を超えている。

川上恭弘:ロータス49フォード

川上恭弘氏のロータス49フォード。これもいいねえ。これタミヤのキットの箱絵に使われた原画。カーナンバー5番はジム・クラークだな。

大西将美:ソヴィエト軍戦車BT-7

大西将美氏のソヴィエト軍戦車BT-7。氏はタミヤに入社し、社内初のイラストレーターとしてプラモのボックスアートを手掛けられた。私が小学生から中学生の頃にお世話になったタミヤのドイツ軍シリーズ、戦車兵セット、シュビムワーゲン、88mm砲…の箱の数々も彼の筆によるもの。私にとっては神様のような方です。

田川博之:TOMICA LV詰合3

田川博之氏の作品はそのままクルマの図鑑絵本になりそうだ。トミカ・リミテッド・ビンテージのパッケージング画も手掛けられている。

田邉光則:OUT OF THE BLUE

田邉光則氏は溝呂木氏の個展でご紹介していただいたことがある。車体の一部分をズームアップする独特の構図を取られる方だ。“OUT OF THE BLUE”とタイトルされたこの油彩は、タイトル通り青の光の反射が印象的。

大内誠:LFA 大内誠:LFAアップ

最後はテクニカル・カーイラストレーターの重鎮、大内誠氏。写真はレクサス・LFA。この作品を描くのに、どれだけ時間がかかっているのだろう。微に入り細に入り書き込まれたパーツは、今にも動きそうなくらい迫力がある。他にも素敵な作品や作者の方がおられたが、一部抜粋して紹介させていただいた。

モータウン、デトロイトが財政破綻してしまったが、どんぶらこさんのサイトによれば、アメリカの自動車産業が全盛期にあった頃、アメリカ車のカタログのイラストを描くイラストレーターは「デトロイト・アーティスト」と呼ばれ時代の寵児だった。写真よりもドラマチックな構図やイメージを描くその技法は、そのまま日本の若いイラストレーターに刺激を与えた。古典的な絵画が風景や人物、静物を題材にしたものが中心であったことを考えると、ダイナミックな乗り物はまさに産業革命、特に20世紀以降のアートのモチーフの代表格だと思う。

最近の若い人たちや子供の描く絵を見ていると、アニメの影響を強く受けているなと思うことが多い。私は漫画が悪いとは思わないが、この作品展に出品された個性豊かなオジサマアーティストの作品を、若い人、特に画家やイラストレーターを目指す人にも是非見て触れて楽しんで欲しいと思う。写真ではなかなか伝わりづらい、原画の迫力を感じて欲しい。「デトロイト・アーティスト」を超える影響を与えられるかどうかはわからぬが、その潜在的パワーは十分に秘めている26人だ。作品展は23日まで。次回は、アートの道へ進もうと考えている娘を是非連れて行きたいと思う。

28人の世界?

入口のところに貼られたポスターには「28人の世界」となっていたが。アーティストが増えたのかな?

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