エンスー養成講座

先日6日、イラストレーター、エッセイストで伝説の漫画雑誌「ガロ」の元編集長だった渡辺和博さんが亡くなった。享年56歳。

渡辺さんというと自動車雑誌「NAVI」のコラムの中で、「エンスージアスト(enthusiast)=熱狂者、ファン」という舌を噛みそうな言葉を、”自動車好きの人”という意味で「エンスー」という略語を初めて使った人である。 今やすっかり和製英語としてその筋の方々には定着しており、私のblogにも「エンスーのための絵本ライブラリー」というサブタイトルをつけている。

ナベゾ画伯の絵

「マル金・マルビ」で第1回流行語大賞を受賞しており、確か「笑っていいとも」にもレギュラー出演していたかと思うが、一時期は時の人であった。その後もコンスタントに活躍されており、私は前出の「NAVI」等クルマ雑誌で、時折元気なお姿を拝見していた。

その「NAVI」誌上での最後の登場は、2007年2月号の「オレたちのカー・オブ・ザ・イヤー」での対談。近田春夫、テリー伊藤、ドン小西とこれまた一癖も二癖もあるエンスーな方々と2006年のベストカーについて大放談。改めて写真を見るとやはり顔はやせられて、病状も進行していたご様子。

彼の2006年ベスト5は、1位:シトロエンC6、2位:ロータス・エリーゼS、3位:ポルシェ・ケイマン、4位:メルセデス・ベンツE320CDI、5位:ランドローバー・レンジローバースポーツだった。1位のシトロエンC6は巷では非常に評価が高い個性的な高級車だ。

彼の代表著作に「エンスー養成講座」(二玄社エンスー文庫)がある。その中の最後の章が興味深いので紹介する。章題は「エンスーの悟り」。エンスー道の極致として、書道の世界へ踏み込む。エンスー書道、それはつまりエンスーの人が自分の熱い思いを寄せる車や、今は手放した車への責譲の念を、年頭にあたり心改めずに水茎明らかに綴ったものである(文中引用)。こうなるとあきれてものも言えない。まさに「エンスー」である。

エンスー書道エンスー篆刻


自由課題として渡辺さんが書いた入魂の一筆は「シトロエン」。以前に乗っていた車だそうで、その想いや愛着が素直に伝わるような字だ。さらに悟りの世界は、篆刻(てんこく、書のそばに押すハンコ)の作成にまで及ぶ。彼が最初に作成したのは、2CVをイメージして彫ったやはりシトロエンの篆刻。こうしてみるとなかなか味わい深いものだ。

今回は哀悼の意をこめてクルマ絵本の一つとして、本作品をライブラリーに登録させていただいた。合掌。

渡辺和博



エンスー養成講座 (Ensu bunko)エンスー養成講座 (Ensu bunko)
(1994/03)
渡辺 和博

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