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日産マーチ  

代車の日産マーチ

自宅の近所で不肖にも傷付けてしまったエクストレイル君(「BLUEな気分」)。10日ほど前に修理を済ませたのだが、営業所に入院中の間、現行の日産マーチ(K13型)を代車としてお借りしていた。

借りるや否や最初にびっくりしたのはそのエンジン音。アクセルを踏み込むたびにウォーンウォーンとチープなサウンドが耳に付く。エンジンは日産新開発の1.2L直列の3気筒。軽自動車ならまだしもこのクラスでも4気筒が当たり前だった。世界市場で燃費向上が求められている現在、ハイブリッド以外の解はこのダウンサイジングが一つのトレンドになっている(「SKYACTIV」で紹介したようにマツダはこの流れに逆らったが)。内燃機関は排気・冷却や機械的な損失により燃料のもつエネルギーの大半が無駄に使われてしまう。同じ排気量でも気筒数を減らすことで、摩擦損失を減らし効率を向上させているのだ。ただ、やみくもに減らせばよいというものでもなく、効率の良い適正値は1気筒当たり400~700ccくらいなのだそうだ[1]。だから1.2Lなら3気筒くらいがベスト。我がエクストレイル君の2Lエンジンも3気筒まで行けるという計算になる。また部品点数の低減によって軽量化も図れる。

しかし気筒数が少ないと振動発生の面でデメリットとなる。一般的な自動車エンジンの主な振動源は、燃焼爆発行程でエンジン本体に与えられる振動や、ピストン-コンロッド-クランクシャフトの往復と回転運動による慣性力によって生じる振動などである[2]。4気筒エンジンではクランクシャフトが1回転する間に2回の爆発があるが、2気筒では1回。しかし、同じ排気量では1回あたりの爆発量が2倍になるので振動が大きくなる[3]。また、慣性力はピストンやコンロッドなど運動する部品の重量が軽いほど小さい。したがって、同排気量であれば、気筒数の多いエンジンの方が部品が小さく、軽いので慣性力が抑えられ振動の発生が少なくなる[2]。このマーチのエンジンの場合は、「アウターバランサー」の効果で振動はあまり気にならなかったがサウンドが酷すぎ。まあエントリーカーといえばそれまでなのだが。一方1.2Lなので非力かと思いきや、トルクもあってなかなか力強い走りをしてくれる。

日産マーチK13(フロントビュー) 日産マーチK13(リアビュー)
日産マーチK13のフロントとリアデザイン

エクステリアは非常に個性的であった先代K12型に比べれば凡庸。個人的にはシンプルで嫌味のないデザインに感じたが(デザインにはうるさい娘の評価も悪くはなかった)、一見どこかで見たようなと思わせる、印象の薄いスタイリング。台数を売ることが至上命令のエントリーカーだとは思うけれど、もう少し冒険してみてもよかったのでは。

日産マーチK13のインテリア
日産マーチK13のインテリア
日産マーチK12のインテリア
日産マーチK12のインテリア

シートはエクストレイルやカングーのように座る瞬間はソフトで、着座すると適正姿勢をしっかりサポートしてくれるフランス系の座り心地ではなく、ガチガチに硬いどちらかというとドイツ風。当然乗り心地もゴツゴツとあまり褒められるレベルではない。ルノー傘下の日産車なので、シートぐらいフランス車仕様にして欲しかった。その他インテリアも無骨で味気ない。女性に人気だった先代K12型の方が遊び心があった気がする。

個性的だった日産マーチK12
個性的だった日産マーチK12

全体的にチープ感漂うK13型マーチだが、この代車に設定されていたアイドリングストップ機能はなかなか良く出来ていた。たまにアイドリングストップしてくれない場合もあって、どういう判断条件でエンジンをストップさせるのかはよくわからぬが、違和感はほとんど感じなかった。エンジン音が酷いだけに、アイドリングストップ時の静粛さが逆に心地よい。また、ブレーキを離すか離さないかの絶妙なタイミングで再始動し、ステアリングをちょっと動かした場合も始動する。フェルディナント・ヤマグチ氏の言葉を借りるならば『必要な時に止まり、必要な時に動き出す当意即妙な味付け[4]。』 アイドリングストップ機能がどれだけ燃費に貢献するのかはわからぬが、信号で止まるたびにエンジンがポンと止まり、ブルルンと始動する初めての経験がなんとも楽しかった。

日産マーチK13(サイドビュー)
日産マーチK13のプロポーション

優れた最新機能はあるものの、価格以上の付加価値はあまり感じられないフツーなモデルである。どんなに安くても、自分で金を出しては買わないクルマという印象。事実、国内市場ではハイブリッドと軽の堅調さに隠れて昨年8月以降は月4,000台も売れない状況が続いている(3月にかろうじて4千台を確保[5])。かつてはコンスタントに1万台以上が売れていたマッチのマーチも、他社のライバル、トヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットの遥か後塵を拝する。日産内でも絶好調ノートに顧客を奪われている状態だ。[6]によれば、「前のモデルは女性寄りのデザインで男性の受けが悪く、2年前の全面改良でデザインを大幅に変更した。それでも前モデルの方が売れた」と販売員もため息をつく。ノートが男性的なので、マーチはキープコンセプトにしておけばよかったのではないか。また我が街、横須賀の追浜工場生産からタイ生産にシフトしたことで逆輸入車となった現行マーチは、最近の急速な円安加速も不利に働く。国内市場だけの不振と思いきや、海外でも売れていないようでこの日産の世界戦略車は大失敗作という烙印を押されそう。

悪いクルマじゃないんだけど、やっぱりエクストレイル君がよござんす。

[参考・引用]
[1]3気筒はなぜ増えるのか? ~燃費に挑む自動車メーカー:日産編〜──モビリティは続くよ、いつまでも、GQ Japan、2013年3月21日、
http://gqjapan.jp/2013/03/21/w_nissan3a/
[2]エンジンはこうなっている、GP企画センター・編、さわたり・しょうじ・絵、p90-91、グランプリ出版、1994年
[3]少気筒化の流れ~インターナショナルエンジンオフザイヤー2011~、櫻木徹、自動車業界ライブラリ、住商アビーム自動車総合研究所、2011年6月、
http://www.sc-abeam.com/sc/?p=5410
[4]タイから届いた「ゴーンのマーチ」 アイドリングストップはいいけど、高速は?第61回:日産 マーチ【試乗編】、フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える、日経ビジネスONLINE、2010年10月7日、
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20101006/216524/?P=5
[5]新車販売台数月別ランキング、一般社団法人日本自動車販売協会連合会、
http://www.jada.or.jp/contents/data/ranking.html
[6]日産5位転落…復活の鍵はHV 軽で出遅れ、稼ぎ頭のマーチ失速、SankeiBiz、2013年1月31日、
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130130/bsa1301302244006-n1.htm
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Posted on 2013/04/30 Tue. 00:09 [edit]

category: cars/車のお勉強

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