TINTIN, HERGÉ ET LES AUTOS

TINTIN, HERGÉ ET LES AUTOS

クルマノエホンでもお馴染みのベルギーの人気BD(漫画)、タンタン(TINTIN)のトランプを手に入れた。それもクルマの登場場面ばかりを集めた“TINTIN ET LES VOITURES”(タンタンと自動車)というもの。表箱に描かれたイラストはタンタンの冒険旅行シリーズ『かけた耳(L'Oreille cassée)』からで、ピンクのクラシックカーはローザンギャール(ROSENGART)。ローザンギャールは1927年に設立され1955年まで存在したフランスの大衆自動車メーカー。英国のオースチン・セブンなどもノックダウン生産した[1]。トランプの図柄がどのシリーズ本に描かれたものかを探したり、なんというクルマなのかを調べるのもまた一興である。ローザンギャールなんて初めて知ったが、その調べものに使ったのが、本日紹介のクルマ絵本“TINTIN, HERGÉ ET LES AUTOS”(Charles-Henri de Choiseul Praslin、Andy Jacobs・文、HERGE・絵、Michel Bareau、Bernard Tordeur・監修、MOULINSART)である。

タンタントランプ1 Rosengart LR2 Spider-Coupe
表紙のRosengart LR2 Spider-Coupe 1929(「かけた耳」より)[2][3]
タンタントランプ2 Lancia Aprilia
裏表紙はLancia Aprilia(「燃える水の国」より)
CARTES À JOUER(遊戯用トランプ)

「タンタン、エルジェと自動車」という一冊の本(資料集)になるくらい、タンタンの冒険旅行シリーズの脇役としてクルマは欠かせない。この本も勿論フランス語版なので、内容をよく理解することができないのだが、作者エルジェもかなりのエンスーだったようだ。スポーツカーとレーシングカーをこよなく愛したエルジェは、特にイタリア製のものを好んだようだ。本書でも冒頭に紹介されている1960年に自宅の前で撮影されたエルジェとアルファ・ロメオ・ジュリエッタ(Alfa Romeo Giulietta Sprint Veloce version)の写真がそれをよく表している。

エルジェとアルファ・ロメオ・ジュリエッタ
エルジェとアルファ・ロメオ・ジュリエッタ(本書からの引用ではないが同じ場所で撮影されたもの)[4]

タンタンとリンカーン・ゼファ1 タンタンとリンカーン・ゼファ2
本書の表紙にもトランプにも多用されているLincoln Zephyr
タンタンとリンカーン・ゼファ3
タンタンとLincoln Zephyr(「ななつの水晶球」より)

本書表紙の裏表に描かれた黄色いクルマは、『ななつの水晶球(Les Sept Boules de cristal)』から引用された、リンカーン・ゼファー・コンバーチブル・クーペ(Lincoln Zephyr、1939)。表紙のイラストは実は雨が降っている場面なのだが、一見雨筋がわからない。本を傾けると光の加減で、見えるようになるという凝った印刷が施されている。ゼファーはその個性的なフロントフェースと、流麗な流線型のスタイリングが特徴的。トランプにも4枚採用されているので、このクルマ、タンタンやエルジェと何か深い関わりがあるのではないかと思うのだが不明。『ななつの水晶球』を読むと、20か所(コマ)以上この黄色いリンカーン・ゼファーが登場するのだが、1台のクルマの登場回数としてはシリーズ最大のようである。

Amilcar CGSS タンタンとアミルカー
タンタンとAmilcar CGSS(「ファラオの葉巻(Les Cigares du pharaon)」より)

また、トランプに多く採用されていた赤いクラシックなレースカーを本書で調べると、モンテカルロラリーでも優勝したフランスの自動車会社アミルカー(Amilcar)社のCGSS(1927)ということがわかった。『ファラオの葉巻(Les Cigares du pharaon)』に登場。

タンタンと名車たち
タンタンと名車たち

他にも素敵なイラストから車種の特定を試みる、いや名車・旧車の色香をじっくり鑑賞してみる。左は『カスタフィオーレ夫人の宝石(Les Bijoux de la Castafiore)』からシトロエン・アミ6(Citroën Ami 6)。ブルーイッシュ・グレイのボディカラーといい絵になるクルマだねえ。中央は『ななつの水晶球(Les Sept Boules de cristal)』から鮮やかなブルーのフォードV8(1937)。右は『金のはさみのカニ(Le Crabe aux pinces d'or)』から渋いベージュのアミルカー・コンパウンド(Amilcar Compound)。エルジェの絵は本当に色使いが美しい。本書はモデルになったクルマも写真入りで詳しく解説されているようだが、フランス語が読めず残念。いろいろ面白い情報が書いてあると思うんだけどなあ。ただ、眺めているだけでも十分楽しい。

Citroën Ami 6
Citroën Ami 6(「カスタフィオーレ夫人の宝石」より)
Ford V8
Ford V8(「ななつの水晶球」より)
Amilcar Compound
Amilcar Compound(「金のはさみのカニ」より)

トランプの話に戻るが、札を見ると我々が日頃目にするKQJとは異なり、RDVと記されている。タンタントランプなので、当然のようにフランス語仕様。RはRoi(王様)、DはDame(貴婦人)、VはValet(下僕・召使)の意味なのだそうだ。つまりフランス語圏ではK→R、Q→D、J→Vとなる。勉強になった。図柄はRがハドック船長。こんなガサツな顔して一応ムーランサール城の城主ですから。Dはカスタフィオーレ夫人、Vはムーランサール城の執事、ネストルが描かれている。エースはもちろん、我らがタンタン。

RDV

本書以外にタンタン作品に登場するクルマを調べたい場合は、以下のサイトも参考になる。
Les autos de Tintin: http://dardel.info/tintin/index.html
→冒頭のRosegart(1929)はMorris(1934)になっていたけどね。
La voiture dans le monde de Tintin: http://stephane-dimaio.com/tintin/index1.html

TINTIN, HERGÉ ET LES AUTOS
"TINTIN, HERGÉ ET LES AUTOS"より

[参考・引用]
[1]Automobiles L. Rosengart、Wikipedia、
http://en.wikipedia.org/wiki/Automobiles_L._Rosengart
[2]Tintin/Miniatures、
http://juvaquatre.jean.pagesperso-orange.fr/Pages_Tintin/Miniatures.htm
[3]L'oreille cassée、La voiture dans le monde de Tintin、
http://stephane-dimaio.com/tintin/L_oreille_cassee.html
[4]Did Hergé live near Marlinspike hall ?、TINTIN.com、
http://en.tintin.com/news/index/rub/0/id/3794/0/did-herge-live-near-marlinspike-hall
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