What The World Needs Now Is Love

What the World Needs Now and Other Love Lyrics

アメリカから注文していた書籍が届いた。“What the World Needs Now and Other Love Lyrics”(Trident Press)。昨年9月、91歳でこの世を去った不世出の作詞家、ハル・デイヴィッドの詩集だ。私の大好きな作曲家、バート・バカラックとのコンビによる名曲は数知れず。映画「明日に向って撃て」の主題歌、「雨に濡れても(“Raindrops Keep Falling On My Head”)」を知らぬ者はいないだろう。学生の頃、山下達郎があるラジオ番組で「誰かハル・デイヴィッドの詩集、出してくれないかな」みたいなことを言っていたのを聴いて以来、ずっと頭の中に残ったままだった。先日、ネット上でこの本の存在を知って、海外の古本サイトで探してポチッと。達郎さんは“日本語訳の“詩集の意味で言ったのかもしれないが、本書は1968年に既に米国で出版されていた。英語詞を鑑賞できるほどの語学力がある訳ではないが、ノープロブレム、あのハル・デイヴィッド翁の詩集なのだから。

バカラック&デイヴィッドの作品の中でどれが一番好きかと聞かれると非常に難しい。私の好きな曲のベスト5の一つだが、バカラックも「一番好きな曲を聞かれたら間違いなくこれだ」と答えているのが“Alfie”。同名の映画のタイトル曲でもある。バカラック自らが弾き語りで渋く歌う“Alfie”は歌詞に説得力もあってもう最高!



でも本書のタイトルでもある“What the World Needs Now Is Love”も間違いなくベスト5に入る名作。これも美しいナタリー・ウッド主演の映画「ボブ&キャロル&テッド&アリス」のエンディングに流れる曲らしい[1]。”Alfie“もそうであるが、ハル・デイヴィッドほど一貫して「愛」というテーマで歌を書き続けた作詞家はいない。愛(Love)という言葉を使い慣れていない日本人にとって、彼の甘美な詞はちょっと照れくさいが(そういえば、うちのかあちゃんにも久しく愛してるよなんて言っていないな。まあ、言ったところで頭がおかしくなったと思われるだけなのだが)、彼が用いる「愛」は、どこぞの政治家が好んで使う「友愛」とか「国を愛する心」といった薄っぺらい愛とは重みや質が異なる。もっと深遠なる根源的なもの。そのテーマを最もシンプルにかつ雄弁に表現したのがこの詞である。彼が本書のタイトルに選んだのも頷ける。

学校でのいじめや体罰、親子間での殺人事件、テロによる無差別殺戮、国境間の争いなどのニュースに事欠かない昨今だからこそ、この単純な歌詞の繰り返しが重く響いてくる。今、世界で本当に必要なものは何なのかと。

WHAT THE WORLD NEEDS NOW IS LOVE(Hal David/Burt Bacharach)
(“What the World Needs Now and Other Love Lyrics”より)

What the world needs now(※)
Is love, sweet love.
It's the only thing
That there's just too little of.
What the world needs now,
Is love, sweet love-
No, not just for some
But for everyone.

Lord, we don't need another mountain;
There are mountains and hillsides enough to climb.
There are oceans and rivers enough to cross,
Enough to last 'til the end of time.

(※)くりかえし

Lord, we don't need another meadow;
There are cornfields and wheatfields enough to grow,
There are sunbeams and moonbeams enough to shine.
Oh listen Lord, if you want to know!

What the world needs now
Is love, sweet love.
It's the only thing
That there's just too little of.
What the world needs now
Is love, sweet love-
No, not just for some but for everyone,
No, not just for some but for everyone.

愛を求めて:世界は愛を求めている

今、世界が必要なものは愛、やさしい愛(※)
愛だけがあまりにも少なすぎるから
今、世界が必要なものは愛、すてきな愛
一握りの人の為じゃなく、皆の為の愛

神様、余分な山はいりません
登るための山も丘も十分あるんです
渡るための海や川も十分あるんです
この世が終わるまで十分にあるんです

(※)くりかえし

神様、もう、これ以上農場はいりません
充分に収穫できるとうもろこし畑も麦畑もあります
輝く太陽の光も月の光も十分あるんです
だから神様、耳を貸してください
もし、知る気のあるのなら・・・

今、世界が必要なものは愛、やさしい愛
愛だけがあまりにも少なすぎるから
今、世界が必要なものは愛、すてきな愛
一握りの人の為じゃなく、皆の為の愛
一握りの人の為じゃなく、皆の為の愛

増補版

この本、初版本ではない。1970年に再版された増補版。それぞれの歌詞にその詞が書かれた舞台裏についてハルによる注釈が加筆され、”Promises, Promises”の完全版も収録。初版本のつもりで買った私には、嬉しい特典だった。彼の注釈によれば、この詞をバカラックに見せるまで少なくとも2年間考えに考え抜いたのだそうだ。最初の小節、”What the world needs now,…”はすぐに書けた。でもその後が袋小路にハマってしまう。最初は”Lord, we don't need planes that fly higher or faster…(神様、もうこれ以上高く、速く飛ぶ飛行機はいりません…)”と書いたが何かが違う。そしてある時、”Lord, we don't need another mountain,…”であるべきという結論に至った。飛行機や列車、自動車は人間の作ったものである。しかし、山河や大海原は、人が神とも呼ぶ絶対的な何ものかが創造したものである。神に愛を求めるのであれば、この表現しかないと。自らが語るクリエーターの生みの苦しみのエピソードは非常に興味深い。

“What the World Needs Now Is Love”は、デイヴィッド/バカラック作品には欠かせない、ディオンヌ・ワーウィック(本書でも巻頭言を記している)をはじめ、数々のアーティストによってカヴァーされているが、ジャズヴォーカリストのStacey Kentバージョンが私の最近のお気に入りである。






[参考・引用]
[1]What the world needs now is love (世界は愛を求めている)、中川昭一氏のような保守を支持します&♡ときめく人達♡、2012年6月23日、
http://blogs.yahoo.co.jp/wood72046/34201996.html
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[ 2013/02/02 15:55 ] music/音楽 | TB(0) | CM(0)

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