声のえほん・パトカー

声のえほん・パトカー

本日のクルマノエホンは警察もの、つまりパトカーの絵本。「声のえほん・パトカー」(泉田幸夫、松下美智子・文、安井敬造・絵、ひかりのくに昭和出版)は、トヨタ・パトロールFS20型が主人公の、たぶん昭和35、6年頃の古い絵本である(※1)。

(※1)ひかりのくに㈱ホームページ[1]によれば、『声のえほん(フォノシート付)』が刊行されたのは1960年(昭和35年)。本書の発行年は確認できなかったが、昭和35年以降ということになる。

最近、警察や検察への信頼が失墜するような事件や判決が立て続けに話題になっている。逗子で発生したストーカー殺人事件や、PC遠隔操作による誤認逮捕、東電OL殺人事件のネパール人元被告の再審無罪判決など。いずれも、警察・検察のずさんな捜査・取り調べや対応の方法が問題になっているが、彼らが自分たちの間違いを絶対に認めないことに本質的な問題がある。言い換えれば、それが彼ら役人の本質だ。

誤認逮捕は明らかに冤罪であるにも関わらず、常套句の「捜査は妥当」「冤罪ではない」と言い切る彼らの厚顔無恥ぶり。失敗を認めて反省をしないということは、何も改善されないということ。つまり同じミスが再び起こる可能性を示している。ストーカー問題については、既に何度も同じ過ちを繰り返していることがその証左だ。このような対応が続く限り、警察は市民から信用されず、そのうち任意の捜査協力への拒否も広がっていくのではないか。協力をした我々の個人情報が犯人に漏れて、逆恨みでもされたらたまったものではないからだ。治安は警察が守るというこれまでの常識を捨てて、自分の身は自分で守る、安全・安心は金で買うといったように市民の意識は変わっていくのではないかと思う。さすがに自警団はないだろうが、現在企業の顧客が多い民間のセキュリティ産業[2]はさらに個人対応へと成長するだろう。

ALSOK
警察より吉田沙保里の方が頼りになる?

1年くらい前のこと。我が家の近所に住む甥っ子の自転車が盗難にあった。自宅から最も身近な交番は、徒歩で5分くらいの京急駅横にある。そこへ盗難届を出そうとしたら管轄が違うと言われたのだそうだ。駅横の交番はA署管轄。駅から坂を上った我々の住む地域はB署管轄。確かに運転免許の更新も最寄りのA署ではなく、B署に行かされる。交番の警官はルールに則り、機械的な対応でB署管轄で一番近い交番へ行ってくれと仰せられた。別に調書なんか、どこでもよい気がするのだが。もし、交番からも見える坂の上で暴力沙汰があっても、管轄外なので助けてくれないのだろうか?セクショナリズムの典型が警察の世界。このように身近な対応一つとっても、時代遅れでホントどうしようもないのが日本のポリスの現状だ。いっそのこと、警察も民営化してはどうだろうか。セコム警察やALSOK警察の方が便利で我々の助けになってくれそうだ。もう役人の発想ではこの国は守れない。

歌のソノシート付き
今となっては聴くことができない歌のソノシート付き

さて平成の警察はダメダメ君だが、本書で登場する旧車パトカーが活躍していた昭和30年代頃の昭和警察は、まだ市民から頼りにされる存在だったと思う。この絵本にも、警察への信頼感や親しみが随所に表現されている。本書は“声のえほん”シリーズということで、絵本のテーマにちなんだ歌のソノシート(塩化ビニル製で半透明のあの懐かしいヤツ)が付録として付いている。レコードプレイヤー33回転で再生可能なのだが、ネット音楽配信のこの時代には、残念ながらその音源を聴くハードが手元に存在しない。歌のタイトルはその名も『パトカー』(小春久一郎・作詞、高橋半・作曲、日本ビクター)。“サイレンならして ウーウーウー パトカー まちを とばしてく ごくろうさんです おまわりさん…”の歌詞が示すように、おもわりさんに対するねぎらいの歌のようだ。また本文をパラパラめくると、最後に夜のパトロールのシーンが出てくる。「パトカーは、わたしたちの まちを、ひとばんじゅう はしりながら みまもって くれます。」「110ばんの しれいしつも ひとばんじゅう おきていて、わたしたちを まもって くれるのです。」これはもう警察への讃歌としか思えない。

パトカーその1
昭和30年代前半の大阪府警本部庁舎(「声のえほんパトカーより」)
パトカーその2
「本町2丁目でオート3輪横転事故発生!」(「声のえほんパトカーより」)

舞台設定もまた興味深い。FS20のボディ・サイドには「大阪府警」の文字が。府警本部の庁舎はプレハブっぽい粗末な建屋に見える(※2)。指令室の無線で「本町2丁目付近にて交通事故発生」と連絡の入る場面がある。本町は私もかつて近辺に通勤していたことのある大阪のビジネス街である。交通事故の現場では、ダイハツの3輪トラック(いわゆるオート3輪)が派手に横転している。カーブで転倒しやすいオート3輪ならではの使われ方。“声のえほん”シリーズが出版化された1960年(昭和35年)頃は、自動車交通の高速化に伴い、オート3輪が衰退し始めた時期だが、私の幼少期(昭和40年前後)でもまだこのオート3輪はよく見かけた。

(※2)[3]で大阪府警の懐かしい写真の中にこのプレハブの建屋を確認することができる。旧本部庁舎は1956年(昭和31年)から1959年(昭和34年)にかけて3期にわたって施工されたので、途中プレハブの仮庁舎が存在していたのだろう。

パトカーその3 現在の大阪市役所
(左)「大江橋交差点で車がつかえています」(「声のえほんパトカーより」)(右)現在の大江橋南詰交差点付近(手前は御堂筋、中央は大阪市役所)[4]

「大江橋交差点で車がつかえています」との無線連絡に、パトカーが交通整理に向かう場面。警察ヘリ(ベル47)も登場する上空からの描写もあるが、御堂筋沿いの堂島川にかかる大江橋南詰交差点で車の列が出来ている。御堂筋を挟んで奥に市役所、手前に日銀の建屋も確認できる。高層ビルも阪神高速1号環状線の高架もまだなく、現代の交通渋滞に比べれば、がら空き状態のかわいいものである。ちょっと混んでる程度の「つかえています」の表現は正しい。

パトカーその4
「北浜交差点を東へ進行中」(「声のえほんパトカーより」)

「現在地点を知らせ。どうぞ」「北浜交差点を東へ進行中。どうぞ」深夜の風景であろうか。大阪証券取引所もある大阪北浜は、関西の金融街にも関わらず、通りはひっそりとしている。しかし、真夜中になってもパトカーのパトロールは終わらない。そうやって、人々の安全や安心は守られていたのである。

ところで、これだけ連日凶悪犯罪のニュースが流れていても、日本の人口10万人あたりの殺人件数は0.35件で世界で3番目に少ないのだそうだ(ちなみに最も危険な国はホンジュラスで87件)[5]。日本の外に出るとどんだけ恐ろしいんじゃということだ。この世界に誇れる数字が悪化しないよう、日本の警察は心を引き締めて、信頼の回復に努めてもらいたいものだ。子供たちから「ごくろうさんです おまわりさん」と言われるように。

ごくろうさんです おまわりさん
ごくろうさんです おまわりさん

[参考・引用]
[1]沿革、ひかりのくに㈱ホームページ、
http://www2.hikarinokuni.co.jp/company/history.html
[2]アジアの皆さん、「セコムしてます?」 徹底した“自前主義”でグローバル展開、石井良一、日経ビジネスONLINE、2009年1月14日、
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20090106/181958/?rt=nocnt
[3]大阪府警の歴史、1950-60年代、大阪府警察ホームページ、
http://www.police.pref.osaka.jp/01sogo/history/index.html
[4]空の写真館、OGAWA AIR INC.、
http://www.ogawa-air.co.jp/infomation/gallery.html
[5] 世界で最も安全な国/危険な国ランキング【人口10万人あたりの殺人件数】、世界ランキング統計局、2012年7月30日、
http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-17.html
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