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HARRY POTTER and the Chamber of Secrets/ハリー・ポッターと秘密の部屋  

HARRY POTTER and the Chamber of Secret ハリー・ポッターと秘密の部屋

ハリー・ポッター読了。全巻か?いやいや。それでは冒頭写真の原書(左)を読み終えたのか?まさか。日本語訳(右)の「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(J.K.ローリング・作、Dan Schlesinger・絵、松岡佑子・訳、静山社)をである。まだ2巻目?そう、しかも初めて完読したハリー・ポッター・シリーズ。妻と娘はとっくのとうに全巻読了、早く読め読めと勧められてはや数年。私も読まねばならぬ本が他にもいっぱいあるのだよ。DVDで前半の4作くらいは観ていたし、そういえば自動車が空を飛ぶシーンがあったことを思い出した。ロンドンオリンピックの開会式でも、ハリー・ポッターがモチーフになっていたこともあり、遅ればせながらハリポタに重い腰を上げる。フライング・ビークルの登場する第2巻をクルマ絵本(児童書)の一冊として、この夏にちゃんと読むことを決めたのだ。この空飛ぶ自動車は改めて購入した原書“HARRY POTTER and the Chamber of Secrets”(J.K.Rowling・作、Cliff Wright・絵、BLOOMSBURY)の挿絵のとおり、トルコ石色のフォード・アングリアでなければならなかった。その理由は後ほど述べる。

この全7巻、累計発行部数4億冊ともいわれるハリポタシリーズについては、今さらここで解説する必要はないと思うが、絵本興味で当ブログに辿り着いた方はまだしも、クルマ興味でこの駄文を読まれている方は、ハリポタなんてあまりよく知らない方もおられるかもしれない。そこで簡単に紹介をしておく。ハリー・ポッター・シリーズは1990年代のイギリスを舞台に、魔法使いの少年ハリー・ポッターと、彼が通うホグワーツ魔法魔術学校で出会った友人、ロン・ウィーズリーやハーマイオニー・グレンジャーらと織りなす波瀾万丈の学校生活や、ハリーの両親を殺害した闇の魔法使いヴォルデモード卿との、因縁の闘いを描いたファンタジー小説である。1巻1学年で、11歳から17歳までのハリーの成長の物語でもある。私の世代であれば、魔法使いといえばサリーちゃんか、奥様は魔女のサマンサが即座に思い浮かぶが、現代の魔法使いといえば、まぎれもなくハリー・ポッターである。

ホグワーツ魔法魔術学校
ホグワーツ魔法魔術学校(“HARRY POTTER and the Chamber of Secret”の裏表紙より)

先日共同研究に伴う業務研修でオックスフォード大学に長期滞在している会社の中堅社員が久々に帰国した。オックスフォードの近況を聞いたところ、ハリポタのファンなのであろう「ホグワーツ魔法魔術学校って知ってます?まさにあんな雰囲気なんですよ!」と目をきらきらさせながら語っていた。オックスフォード大学(University)はカレッジ(College)の連合組織で、学生は全てどこかのカレッジに属し、そこが学生生活の基盤となる。ホグワーツ魔法魔術学校もハリーの所属するグリフィンドール寮やスリザリン寮など4つの寮から構成される。カレッジでの生活は後輩の言うようにハリポタの世界みたいなのだろうが、ホグワーツはむしろイギリスのパブリックスクールをイメージしたものだと思う。

「ハリー・ポッターと秘密の部屋」では、ホグワーツで次々と生徒たちが石になる事件が起こる。この怪事件の解決のヒントとなるホグワーツの伝説『秘密の部屋』の謎を解こうと、ハリーとロンらが大活躍する。トルコ石色の空飛ぶフォード・アングリアは物語の前半に登場する。両親を亡くしたハリーが身を寄せる叔母の家では、魔法使いのハリーは、魔法の血が一滴も流れていない人間(魔法族は“マグル”と呼ぶ)の叔母の家族の中では厄介者であった。いじわるをされて自分の部屋に閉じ込められた夏休みのある日、彼を心配してそこへやって来たのは、おんぼろな空飛ぶクルマに乗ったロンとその兄たちだった。このクルマでハリーは叔母の家を脱出する。その後もハリーとロンのピンチを救ってくれたのは、マグルの作った製品に魔法をかけたこの中古のマジック・フォード・アングリア。

フォード・アングリアの活躍
フォード・アングリアの活躍(映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」より)[3]

本書では車名が具体的に書かれている。
“Harry couldn't see how eight people, six large trunks, two owls and a rat were going to fit into one small Ford Anglia.”(原書、p73)
『8人の乗客と大きなトランク6個、ふくろう2羽、ねずみ1匹を全部、どうやって小型のフォード・アングリアに詰め込むのか、ハリーには検討もつかなかった。』(訳書、p98)

J.K.Rowling
J.K.Rowling
出典:https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/originals/ac/38/c1/ac38c14c7ffd9e636b75b171a6cf8f6a.jpg

イギリスの小説でクルマといえば、ベタなローバー・ミニなんかを想定しがちだ。あんな小さなクルマなのに、中は驚くほど広々とトランクにも荷物がいっぱい入るという設定で、マジック・カーのモデルに相応しいと思うのだが、なぜ外資のフォードなのだろう?「ハリー・ポッター裏話~An interview with J.K.Rowling」(松岡佑子・訳、静山社)では、フォード・アングリアが必然であったということを著者本人が語っている。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」は彼女が6年生(日本でいう高校2年か3年)の時の親友、キプロスからの転校生、ショーン・ハリスという少年に捧げられたのだそうだ。ショーンはロンに雰囲気が似ていたそうである。彼の一家はトルコ石色のフォード・アングリアに乗っていた。彼女の育った南ウェールズの小さな村タッツヒルのような田舎では、当時クルマに乗れるかどうかは非常に重要だった。彼女にとってフォード・アングリアは自由の象徴であった。だから、ハリーとロンをピンチから救うのは“絶対に”トルコ石色のフォード・アングリアでなければならなかった。

Dutch Cover Harry Potter and the Chamber of Secrets
"Harry Potter and the Chamber of Secrets"オランダ語版

上記のような理由で、本書ではフォード・アングリアがきわめて重要な小道具として使われている。ハリー・ポッター・シリーズは様々な言語で翻訳をされているが[1]、表紙カバーにこのフォード・アングリアが描かれているのは、冒頭写真Cliff Wrightのイラストによる本国イギリス英語版(子供版)と、オランダ語版の2種類だけだ[2]。

本書の映画版は既に観ている上での読書であった。登場人物は、主役を演じたダニエル・ラドクリフをはじめ映画のイメージが完全に刷り込まれていたが、その脳裏に残る映像を差し引いても、読者のイマジネーションを掻き立ててくれる抜群のストーリー展開と表現力には脱帽である。特に奇妙奇天烈なホグワーツ魔法魔術学校の描写、魔法術の授業風景、ローリング女史の溢れんばかりの独創力が冴えわたる。全世界でベストセラーになるのも納得の読後感である。原書の挿絵はCliff Wrightのカバーイラストのみである。本文にはいっさい挿絵はない。クルマノエホン的には少し淋しいのであるが、より読者の想像力を膨らませようとする作者の意図があるのかもしれない。英語脳で理解でき、英国の文化体験があれば、さらに深い観賞ができたのだろうけど、英国人であれば小学生レベルの英語すらもスラスラと読めない自分の語学力がもどかしい。英語がペラペラになる魔法をかけてもらいたい。

[参考・引用]
[1]ハリー・ポッター(Harry Potter)で多国語学習、
http://englishbyenglish.web.fc2.com/harrypotter.htm
[2]ハリー・ポッター裏話~An interview with J.K.Rowling、松岡佑子・訳、静山社、2001
[3]Famed Car Hire、The QUARTERMASTER、
http://www.freewebs.com/scaramangasgoldengun/famedcarhire.htm

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Posted on 2012/09/11 Tue. 22:47 [edit]

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