Austin Healey Sprite Mk1
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8e/AHFrogeyeSprite.jpg

バルンくんのモデルとなったオースチン・ヒーレー・スプライトMk1は、1958年英国でデビューしたライトウェイトスポーツである。第2次大戦前、エンジニア兼ラリードライバーとして活躍したドナルド・ヒーレーが、先のミニの項で紹介したBMC会長のレオナード・ロードに請われて設計した車である。日本では知る人ぞ知る車なのだろうけど、プラモデルではグンゼ産業から1/24キットも発売されている名車である。

ロード会長の「さほど裕福ではない若者にも手の届くスポーツカー」(「僕の恋人がカニ目になってから」の著者吉田匠さん曰く、実際は「財布の軽い中年のためのスポーツカー」なのだそうだが[2])というコンセプトのもと、徹底して安いスポーツカー作りをヒーレーに依頼した。まさに現代の車作りと同じで、量産部品の流用でコストを抑え、限られたエンジンパワーから最大限の性能を引き出すには、軽量化が必須であった。

Donald Healey
Donald Healey[3]

ヒーレーの採った方策は、オープンカーのボディとしては世界初の「モノコック構造」(※)の採用である。この結果、車両重量597kgに抑えられた車体に、直列4気筒OHC、984ccのエンジンを搭載することによって、当時としてはトップレベルの最高速度130km/hの性能を引き出すことが出来た。しかし、単に軽いだけではなく、ボディ剛性を高めるために、通常の車のようにトランクが開け閉めできない構造になっている。荷物は室内後方の開口部から出し入れするのだ。また、コスト削減の影響か、普通の車には当たり前にあるドアノブも存在しない。しかし、ロードとヒーレーの目論見は見事に的中し、約3年間に4万8987台を発売する大ヒット車となった。

flog eyes
flog eyes
出典:http://www.autopride.co.uk/resources/BruceUchida-AB.jpg

オースチン・ヒーレーの特徴であるその愛らしいルックスは、思わぬ経緯により生まれている。ヘッドランプは本当は目玉が出し入れできるリトラクタブル式になるはずだった。しかし、この方式ではコストや重量がかさむし、車高が低かったために、光軸高さ26インチという英国のレギュレーションに合わず、フードから突き出るいわゆる“カニ目”(英国では”frog eye“)の形状になったそうだ。結果オーライで、このユニークなフロントマスクが生まれ、40年後の遠い異国の地日本でも、絵本の主人公として人気を博すことになった訳である。

さて、この隠れたスポーツカーの名作オースチン・ヒーレー・スプライトMk-1は、’95年にオリジナルと寸分たがわぬ(ボディはFRP樹脂製、エンジンも1275cc)ヒーレー・スーパー・スプライトとして復刻されている。但し、’95年から’97年までに僅か23台しか生産されていない[2]。

バルンくん

我が家で製作中のダンボールバルンくんは、ほぼ完成。クリスマスまでに何とか間に合った。当初のイメージ以上のものができたと自負している。25日以降に紹介したいと思う。

(※)現在の乗用車は、大半が「モノコック」構造のボディを採用している。モノコックとは、「外皮が強度部材を兼ねる構造物」を指す。それ以前は鋼管などで組み上げたフレームの上に独立したボディシェルを載せる「フレーム」構造が主流であった。現在でもトラックやバスなどではフレーム構造を採用している。建築物に例えるとわかりやすく、木造家屋や重・軽量鉄骨がフレーム構造で、パネル工法や鉄筋コンクリートがモノコック構造に相当するといえる[7]。

[参考・引用]
[1]Austin-Healey Sprite、Wikipedia:
http://en.wikipedia.org/wiki/Austin-Healey_Sprite
[2]「僕の恋人がカニ目になってから」、吉田匠・著、二玄社、1994
[3]Donald Healey, The Man Behind The Cars、Classic Cars、
http://www.ridedrive.co.uk/classic-donald-healey.htm
[4]Car magazine、No.217、永久保存版MGミジェット&オースチン・ヒーレー・スプライト図鑑、ネコ・パブリッシング、1997.7
[5]カニ目(オースチン・ヒーレー・スプライト)・・・屋根無し金無し:
http://blogs.yahoo.co.jp/nabce/folder/100075.html?m=lc&p=2
[6]Midwest Region Austin-Healey Club of America:
http://members.aol.com/midwestah/club/
[7]BELLCO Power Urethaneによるボディ補強についてのFAQ:
http://www.originalbox.co.jp/service/urethane.html
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