共喰い

第146回芥川賞、直木賞の発表があった。芥川賞の選考に当たっての石原委員(都知事)の物言いがあり、それに呼応したかのよう同賞受賞者、田中慎弥さんの物議をかもした記者会見があった。

テレビでしかその様子を見ていないので、実際に記者との間にどのようなやり取りがあったかは正確にはわからない。しかし、田中氏の憮然とした表情のみ面白おかしくマスコミに取り上げられたことを差し引いても、世の中を舐めきったような彼が映し出された映像を見たときには正直不快感を覚えた。私は文学は全くわからないし、芥川賞なんて貰える人はすごい才能をお持ちなんだろうけど、醜態を晒すとはこういうことを言うのだろうな。

田中慎弥
記者会見での田中慎弥氏

石原氏の非礼に怒り心頭だったのかどうかはわからぬが、40に手の届くいい大人が、カメラの前で(一応祝いの席だ)あんな品位を欠いた態度はないだろう。私に文学作品の良し悪しを論評するなんて出来っこないが、そもそも書き手があんな風じゃ、素人目にも芥川賞の価値は推して知るべしか。あの会見を視聴した多くの人は、彼の作品を読みたいとは思わなかっただろう。少なくとも私はそう思った(もともと読む気ゼロですが…)。恐らく作品にもそのような彼の品性が反映されていることだろう。

まあ選考委員の村上龍も受賞時にはかなりテキトーな男だったがね。

坂口安吾
坂口安吾

小説家はあれくらい無頼な方がいいのさ、坂口(安吾)だって太宰だって、昔の文人はみな世捨て人、品格なんか文学に不要 と喝采を送る人もいるだろうが、太宰だって少なくとも公衆の面前では大人の礼儀をわきまえていたと思う(と信じる)。”強い個性”とか”尖がった”とかで片付けるには違和感がある。それ以前の影響ある言論人としての振る舞いに対する心地悪さ。やっぱり我々リーマンとは人種が違うのか。文学の世界はわかんねえ。よっぽど屈折した人生を送ったのだろうなあと同情すら覚えるが、実は無頼派ぶった彼独特の演出なんじゃないだろうかと勘ぐってしまう(ちょっと芝居じみていたよね)。

批判ばかりしていてもしょうがないので、次作品以降もすごい小説を書いて、「もらってやった」賞の名に恥じぬようその才能を如何なく発揮していただきたい。とりあえず、受賞おめでとうございます。

一方の当事者の石原都知事閣下。こちらもいただけないな。一選考委員として責務を全うした後に、候補作品を批判するのはフェアではない。一応選んだ側になっているわけだから。評価に値するものがないと言うのであれば棄権するか投票される前に委員をお辞めになるべきだった。それが仁義だろう。まあこちらも80に手が届かんとする老成円熟の御年にしては言動がお粗末(時々いいことも言うんだけどね)。カッコつけたつもりだろうが、そんなに刺激的だったの?『太陽の季節』って。

『共喰い』を巡って二人の小説家のお互いの物言いが彼らへの心証を悪くする”共喰い”となった。事の顛末、どうやら洒落だったようである。

酒飲みが管を巻くのはこの辺で。
スポンサーサイト


コメント

  1. べいと | -

    のろまなローラー

    記事違いで申し訳ありません。
    2008年4月20日付けの「のろまなローラー」に関しての記事、興味深く拝見させていただきました。
    私は今年20歳になりますが、小さい頃のろまなローラーをよく読んでおり、非常に懐かしい気持ちになりました。

    「りっぱなじどうしゃ」ですが、シボレー・シェビーⅡではないでしょうか?一意見として参考まで。
    グリルやウインカーの位置がとてもよく似ているのですが、いかがでしょう。
    関連URL貼っておきます。

    http://gazoo.com/meishakan/meisha/shousai.asp?R_ID=3#

    ( 00:29 )

  2. papayoyo | -

    Re: のろまなローラー

    べいと様、
    コメントありがとうございました。
    コメント先がここだったので、田中ファンからのお叱りのコメントかとビクビクしました(笑)
    今年20歳とのことで、ご成人おめでとうございます。
    昭和の管巻きおじさんには羨ましい限りです。
    「のろまなローラー」素敵な絵本ですよね。私も大好きです。
    私は「急がば回れ」と書きましたが、
    べいとさんのようにまだ若いうちはTOPギアで突き進むことも重要だと思います。
    いろいろ経験して「急がば回れ」の意味がしみじみ解るのではないでしょうか。
    偉そうにすみません。
    少なくとも今の政治のように立ち止まったままでいないようにいたいものです。
    問題を先送りにしては何事も前に進みません。残るのは後悔だけです。
    今求められているのは「思考は深く、でも行動は早く(Toughtful, but Quick in action)」。
    難しい時代になりました。

    「りっぱなじどうしゃ」のモデル、シボレー・シェビーⅡだと思います。
    情報提供ありがとうございました!すっきりしました。
    http://ehonkuruma.blog59.fc2.com/blog-entry-119.html

    ( 21:05 )

コメントの投稿

(コメントの編集・削除時に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)


トラックバック

Trackback URL
Trackbacks


最近の記事