22世紀のクルマby松本零士

第42回東京モーターショーに行って来た。”千葉”幕張モーターショーから24年ぶりの東京開催となった文字通りの“東京”モーターショーである。金融クライシスモードであった前回に比べ、入場者数も前回比37%増の84万2,600人[1]、本家開催の効果もあり賑やかなオートショーに戻っていた。ただ電気自動車(EV)が主役と言われていた割には、この前に開催されたメジャーイベント、フランクフルトショーに比べEV色は薄いように思えた[2]。明確にEVに対するメッセージを提示していたのは日産だけだったし、日産以外にメッセージ性を感じたブースは内燃機関による低燃費技術『SKYACTIV』一色のマツダ。キャパシターを利用した減速エネルギー回生システム『i-ELOOP』など電動化への連続性を謳っていたものの、「内燃機関を舐めるなよ」と主張しているような、猫も杓子もEVに対するアンチテーゼは逆に気持ちがよかった。その他のメーカーは市販車も含め何でもありてんこ盛り状態で焦点がボケた印象があり、人が多くてじっくり観れない、疲れたこともあって正直ちょっと期待はずれのモーターショーだった。

トヨタ『Fun-Vii』
トヨタ「Fun-Vii」

今回の主役の一台、トヨタ新生「ハチロク」の人気でトヨタブースはやはり人だかり。それよりも間近で見ようと長蛇の列だったのが、コンセプトカー「Fun-Vii」。豊田社長自らも「スマートフォンにタイヤを4つ付けたようなクルマがあっても面白いのではないか」と陳腐な紹介をしていたショーカーである。先に鬼籍に入られたスティーブ・ジョブズ氏がもしクルマを手がけていたらどんな革新的なクルマを産み出していただろう。少なくともこのような安易なクルマではなかったはずだ。

ベンツ・コンセプトAクラス VW・シロッコR
(左)ベンツ・コンセプトAクラス(右)VW・シロッコR

「ハチロク」のプロポーションはキライではないけれど、今回の展示車両でカッコイイなと思ったのは2台(見た範囲の中で)。一つはベンツのコンセプトAクラス。その昔市販されたAクラスは見た目もカッコ悪く、運転しても全然面白くない普通のクルマだったが、このAクラスコンセプトはスポーティな3ドアハッチバック。ちょっとクーペのような流麗なデザインだった。市販化に期待。もう一台はVWのシロッコR(シロッコの高性能モデル)。Newシロッコは前々から気になっていたが、実物をみるとカッケー。やっぱりクルマが最も美しいのはクーペだな。美しいといえば、コンパニオンのおねえちゃんが個人的に好みだったのはVWブース。美しいお顔立ちと、ナイスに露出されたお御足に見とれ、ブースを2周してしまった(さすがに写真は撮りませんでしたけど)。

これらとは正反対のキモイ代表はこの2台かな。人はキモカワイイと言うのかもしれないが日産『Townpod』とスズキ『REGINA』。クルマのフロントフェースは映画『カーズ』のようによく人の顔に例えられるが、この2台は表情がリアルすぎる。特にTownpodはタモリさんのニタリ顔(口元)のようで我が家での評判もあまりよくなかった。「不気味の谷」に陥った典型例かな。まあ、あくまで個人の嗜好なので、デザイナーさんあまり気にしないでね(^^;)

日産『Townpod』 スズキ『REGINA』
(左)人を小バカにするな!(右)何メンチ切ってんねん!

もう一つの主役、日本カーオブザイヤー(COTY)、RJC COTYの2冠に輝く日産リーフ。2011欧州COTYとワールドCOTYも受賞(北米COTYはGMのボルト受賞)しているので主要COTYは総なめと言ってもよい。今年のクルマの顔だ。さぞ大喜びの日産関係者に水を差すようで申し訳ないのだが、あまり諸手を挙げて喜んでいる状況でもない。もちろんリーフが世の中に与えたインパクトや影響度、その技術・性能を否定するつもりはないが、2012年の欧州COTY、北米COTYには日産は1台もノミネートされていない。欧州、北米では好調な日産にも関わらずである。逆にいえば日産はリーフ以外の商品は注目されていないということになる。リーフに続くブランド力のある商品が無いといってもよいのかもしれない[3][4]。

日産リーフ
日産リーフ

2012欧州COTYについては日本車のノミネートはトヨタが2台、ホンダが1台、マツダが1台、2012北米COTYに至ってはトヨタの3台のみ。アメリカ市場で強かったホンダも元気がない。逆に注目されるのは韓国車の台頭だ。2012欧州COTYにはヒュンダイのi40とベロスターの2台がノミネート、2012北米COTYには同じくヒュンダイのアクセント、エラントラ、ベロスターの3台もある。東京モーターショーにヒュンダイブースはあったものの、観光バス『ユニバース』の展示だけで、残念ながら最新の乗用車を見ることはできなかった(日本で見られないだけに、余計に実物を見たかった)。

ヒュンダイ・i40
ヒュンダイ・ベロスター
(上)i40(下)ベロスター、なかなかイイんでねえの。

2011年は韓流の1年といってもよいだろう。どのチャンネルを付けても韓流ドラマ、K-POPが流れた。最後の止めは紅白歌合戦への少女時代とKARAの出場だ。某TV局への抗議デモなど韓流に対する反動も激しかった。ネット上での反韓コメントも騒がしい。出る杭が打たれるのは日本ならではのこと。当然好き嫌いはあるだろうが(私も個人的にはいろいろ思いはあるけれど。島とか海とか・・・。)、ここは自分も含めてもう少し冷静になった方がよいと思う。

少女時代VS.AKB48

少女時代とAKB48(アー・カー・ベー・アッハウントフィアツィヒ)のプロモを素直に比較して、少女時代の方がエンターテーメントとしてのクオリティ(曲のアレンジやダンスなど)が高いと思うのは私だけだろうか。成功するかしないかは別として少女時代は最初から“世界”を意識しているように見える。AKBはやっぱりガラパゴスにしか見れないんだよなあ。売り方の方法論もあまり好きではないし。まあ私はキレイなお御足が好きなだけなんだけどね。

2011 Hyundai Sonata GLSVS.2010 Honda Accord
(左)2011 Hyundai Sonata GLS(右)2010 Honda Accord

横道に逸れたが家電については完全に韓国製に打ちのめされている。日本企業の反撃のパワーすらも感じられない。自動車についてももう日本車のすぐ背後にまで韓国車が迫っているのが現状である。日本ではほとんど韓国車が走っていないので日本人は気づかないだけなのだが、グローバルに見れば日産、ホンダはもう射程圏内、抜かれるのも時間の問題だ。技術ではまだまだ追いつけないという人もいるかもしれないが、(日本以外の)市場はどうもそうは見ていない。自動車性能にはうるさい欧州で、COTYにトヨタと張り合う2台をノミネートさせたことを侮ってはいけない。

アメリカで日本車が台頭した頃、ハンマーで日本車を叩き壊すシーンがニュースでよく流れていた。結局、今の日本人の韓国に対する感情や行動もこれに似たような気がして、敗者の悪あがきにしか見えないのだ。そのハンマーパフォーマンスも空しく、その後ビッグ3のうち2社は事実上の倒産に至った。トヨタが、ホンダが、日産がそうならないと誰が保証できるだろうか。感情論に走らず、冷静に客観的に相手を分析し、真摯に学ばないと米国車の二の舞になる。

こういう風に書くと、どうせCOTYは金の力、彼らお得意の袖の下を使ったのだろうと言う人が必ずいる。じゃあキミは仮に不正な手を使われようとも、相手を完膚なきまでに打ちのめすような誰が見てもスゴイと思わせる技術やアイデアが日本車(製品)にあると自信を持って言えるのかと問いたい。K-POPの台頭だって、日本の音楽界にそれを打ち負かすスターやコンテンツが生まれていないだけだろう?今年の(日本人による)ヒット曲がAKBとマルモリだけじゃ悲しいよ、ホントに。被害者意識と負け癖のついた日本人はエクスキューズ(言い訳)とクレーム(文句)ばかりで、その悔しさを跳ね返すだけのプラスのパワーが今の日本には感じられない。まるで横浜ベイのようである。ネトウヨ的発言は日本人にとっても全く無益だし、謙虚さなくして我々に進歩はない。どこかの国が謙虚な姿勢を持たなかった故に、高速鉄道の大事故を起こしてしまったことからも明白であろう。

クルマもドラマも音楽も、日本流に元気になってもらいたい。師走の東京モーターショーは、そう1年を振り返る機会となった。

連日の人、人、人、2011東京モーターショー
連日の人、人、人、2011東京モーターショー

(追記)息子へのお土産は、松本零士さんのイラスト(TOPの画像)が描かれた2012年卓上カレンダー。クルマノエホン的にもバッチリ。今会期中に日替わりで発行されていた日刊誌『東京モーターショーニュース2011』の表紙12枚をカレンダーにしたもので、22世紀のクルマのある風景が描かれている。「宇宙戦艦ヤマト」以来、久しぶりに松本ワールドに触れられた。息子も机に飾って気に入った様子。

↓p71で松本氏の想像する22世紀のクルマ社会のイラストとプロットを見ることができます。
http://www.tokyo-motorshow.com/news/news2/1211_J.pdf


[参考・引用]
[1]東京モーターショー:閉幕 入場者数は前回より4割増 次回は2013年秋予定、毎日新聞、2011年12月11日、http://mainichi.jp/enta/car/news/20111211mog00m020019000c.html
[2]舘内端の『フランクフルト・モーターショーEV報告会』、日本EVクラブ、2011年10月27日、
http://www.jevc.gr.jp/?p=2685
[3]欧州カーオブザイヤー2012、ノミネート35台…日産はリスト落ち、Response、2011年10月4日、
http://response.jp/article/2011/10/04/163294.html
[4]北米COTY2012、ノミネート17台…トヨタとヒュンダイが最多の3台、Response、2011年10月6日、
http://response.jp/article/2011/10/06/163403.html
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