2011インディカー・シリーズ 第15戦 インディジャパン ザ ファイナル

3日付けの産経新聞の記事「エコカー時代、消えた恩恵…止まらぬモータースポーツ撤退」を読んだ。ホンダがサポートする「インディカー・シリーズ」(写真)の日本開催終了など、自動車メーカーの相次ぐモータースポーツからの撤退を憂慮する記事であったが、若干違和感を覚えたのでちょっとだけ戯言を。

『背景には、バブル崩壊後の国内景気の長期低迷やリーマン・ショックといった厳しい経済環境がある。』とあるが、苦しい立場は同じである欧米メーカーにはF1を始めモータースポーツを継続する企業が少なくない。やはり、モータースポーツに対する捉え方の違いといえまいか。

『自前のテストコースがあれば十分で、実験場としてのレースの意義が希薄になった』『レースを通じてスポーツカーの販売を増やすというイメージ戦略が通用しなくなった』(自動車ジャーナリストの桃田健史氏)とあるように、結局レース参加を何かの見返りとしか考えていない。純粋にスポーツ競技として勝ちに行こうとか、レース文化を育てていこう、楽しもうといった姿勢がこの国の企業には希薄なようである。不況を理由に休廃部に追い込まれる他の企業スポーツやプロスポーツからのスポンサー撤退も然りである。

トヨタF1撤退:豊田章男社長(右)と山科忠専務(左)(2009年11月4日)
トヨタF1撤退:豊田章男社長(右)と山科忠専務(左)(2009年11月4日)

F1もブームになれば飛びつきブームが去れば即撤退、女子サッカーもなでしこ効果で今はスポンサーが増えているだろうが、今後どうなるかは不透明だ。それでもお金を出した以上、この文化を時間をかけて育て上げるといった覚悟が見えない。好不況に左右される日和見な日本企業。企業である以上、株主の理解が得られないと彼らは言うだろう。もちろんそれもある一面で正論なのだが、選手もまた彼らを応援するサポーターもまた企業にとっては大事なステークホルダーだ。企業だけでなく株主の興味もお金だけで、(プロもアマも)スポーツ競技が相も変わらずスポンサー企業の宣伝道具としか考えられておらず、文化として定着しないこの国の心の貧しさが悲しい。

日産自動車は電気自動車(EV)レースの開催をぶち上げたが、前出の桃田氏は『企業イメージの向上にはつながるが、レースファンをつなぎ留められるとはとても思えない』と、「エキゾーストノート」の爆音が轟かないレースにファンが集まるのか疑問視する。また『ホンダがやめてしまうことは他社がやめるよりも重大だ。次世代の主力エンジンを開発する意気込みで、またレースに力を入れるべきだ』(自動車評論家、徳大寺有恒氏)など評論家の意見は「レース=エンジン」のようにも聞こえる。

EVレースカー:Nissan LEAF NISMO RC
EVレースカー:Nissan LEAF NISMO RC

本当にそうだろうか。ただノスタルジックに古いレース観に浸っているだけではないのか。かくいう私もこのまま内燃機関(ICE)は衰退していいのかと、旧車にノスタルジーを感じるものの、そのポテンシャルの大きさからEVに対しても大いに興味はある。EVを運転したことのある私の感想を言えば、その加速性能はICE車に対して異次元。ホンダ伊東社長のいう『熱い戦いを繰り広げ、スポーティーなイメージを底上げすることが急務』に対する答えはむしろEVレースにあるのではないかと思ってしまう。現にF1を統括する国際自動車連盟(FIA)も、EVレース開催を検討しているそうだ。確かに爆音の無い世界は従来のレースの雰囲気とはかなり異なるかもしれないが、レースを観るものから、スポーツ競技としてより自らが参加して楽しむ方向に変わってもいいのではないか。EVはそのような可能性を持っている。

栄光の自動車レース」で紹介したように、116年前の自動車レースでは、ガソリンエンジン車、電気自動車の混走であった。エンジンの自動車が主流になってたかだか125年である(「じどうしゃのはつめい」参照)。長い歴史のスケールで見ればほんのわずかな期間。世の中の流れは常に変化する。再びEVに回帰することがあっても不思議ではない。いつまでもちょっと昔の価値観にしがみ付いていると、新しい時代を切り開いていくことはできない。エンジンのモータースポーツの発想から抜け出せない自動車評論家こそ、そろそろ撤退していただいた方がよいのではないだろうか。

[2011.10.16追記]
よくよく考えてみると、EVレースってバッテリーがもたないから30分ごとにピットインとかになるのだろうか?F1レースなら10分ももたないだろうなあ。まさか日産リーフEVのようなやる気満々のスタイルでエコ運転という訳にもいくまい(これもレースに対する古い価値観か)。それともピットには何台か車が用意されていて、ピットンインする度にドライバーが車を乗り換えるとか。うーん、EVレースにはまだまだ課題が多そうだが、電池開発の促進には良いかもしれない。少なくとも昔のレースは市販車性能の進歩に貢献をしたのは間違いないのだから。

[参考・引用]
[1]エコカー時代、消えた恩恵…止まらぬモータースポーツ撤退、産経新聞、2011年10月3日、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111003-00000081-san-bus_all
[2]2011年 IZOD インディカー・シリーズ 第15戦 インディジャパン ザ ファイナル、ツインリンクもてぎホームーページ、
http://www.twinring.jp/indyjapan/s_schedule/15_motegi.html
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメントの編集・削除時に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)


    トラックバック

    Trackback URL
    Trackbacks


    最近の記事