木のおもちゃ

木のおもちゃは楽し!

原発問題でおもちゃの需要にも変化があったようだ。節電意識が高まる中、電気を使わないアナログ玩具に注目が集まっている。そんな中、スウェーデンのBRIO社の木の玩具が孫や子供への贈り物を探す女性らの心をつかんでいるそうだ。人気を押し上げている理由は、その安全性やインテリアのようなデザイン性にもあるとのこと[1]。我が家も長女が生まれた10年以上前から木のおもちゃを愛用している。

第一子が誕生して初めて自分が子を育てるということで、子供のためのおもちゃ、特に木のおもちゃに興味を持つようになった。子供に与える絵本探しと一緒で、おもちゃの選択に悩むのも親の楽しみの一つ。妻が幼少の頃ドイツ(旧西ドイツ)に住んでいたので、子供が出来て実家からそのドイツ時代に遊んでいた木のおもちゃを持ってきた。よく大事に取っていたものだなあと関心したそれは、僕にとって初めて目にするドイツ製の木のおもちゃだった。ミニチュアの建物や人、車、動物などで牧場や村を作って遊ぶ玩具。色彩豊かで、何十年もの時を経ているのに色褪せていない。むしろ使い込んで艶も増し味わい深くなっているそのブナ木のおもちゃは、デュシマ社(Dusyma)製の有名な玩具だった(ユニークな製作技法については[2]を参照されたし)。現在でも若干デザインを変えているものの日本でも手に入れることが出来る。でも、こういうミニチュアを使った街づくり遊びが出来るようになるのはもう少し大きくなってから。

デュシマ社『ミニどうぶつ積み木 スイスの家』
デュシマ社『ミニどうぶつ積み木 スイスの家』

デュシマ社:http://www.nikitiki.co.jp/toymakers/03/index.html
販売サイト:http://www.woodwarlock.jp/fs/wood/dus109-1

乳幼児には何度でも繰り返すことの出来る動きのあるおもちゃが良いということで、最初の頃に買ったのはもっとシンプルな玩具だった。おすすめの一つはやはりドイツのベック社(Beck)社製の『カタカタ人形』。両腕を開いたような真っ赤な人形が、白木の板に互い違いに配置された細い棒に引っかかりながらカタカタと音を立てて降りてくるもの。何てことのない単純な繰り返しなのだが、この支え棒の配置や広げた腕の角度が絶妙で、何度やってもスムーズに下りてくる。木と木が当たる音とその軽快なリズムが実に気持ち良い。

ベック社『はしご人形』
ベック社『はしご人形』

ベック社:http://www.nikitiki.co.jp/toymakers/20/index.html
販売サイト:http://www.woodwarlock.jp/fs/wood/bek69

もう一つは同じベック社製の『トレインカースロープ』。赤・青・黄・緑・黒の車両がスロープに沿って下へ落ちていく動きを楽しむ。これも実に単純なおもちゃなんだけど、シャーと落ちていく音・姿が耳目に心地よく、大人が眺めていても全く飽きない。今年の夏休みの気だるい一日、小学生の2人の子供たちも久しぶりに引っ張り出して来て遊んでいた。いずれの玩具も動力は全く必要としない。ただ重力に従うのみ。デザインがまた秀逸で、リビングに飾っておいても全然違和感がなくインテリアとして溶け込む。”being natural”現在に至るまで全く形を変えずにロングセラーであり続ける所以である。

ベック社『トレインカースロープ』
ベック社『トレインカースロープ』

販売サイト:http://item.rakuten.co.jp/woodwarlock/366063/#366063

もう少し大きくなってからの子供たちに人気があったのが、おもちゃの王道である鉄道もの。スウェーデンのミッキィ社(micki)製の『木製レール』と『汽車セット』は我が家の定番だった。同様なコンセプトで冒頭にも紹介したスウェーデンのブリオ社(BRIO)のものや、米国のラーニングカーブ社製の機関車トーマスシリーズ(以前はBRIO社が扱っていた)も混ぜて。いずれも駅や踏み切り、鉄橋などの付属アイテムが揃い、特にトーマスシリーズはアイテムの種類が豊富でファンにとってはたまらない。勿論どれもそのデザイン、加工、塗装が美しく、部屋に広げているだけで風景画になるのだ。そして何よりも全てのシリーズの軌道幅が同じなので互換性があり、それぞれのセットを接続したり組み合わせたりして遊べるのが嬉しい。この汽車セットは、前出のデュシマ社のミニチュアとの相性もよく、一緒にすると自分だけの楽しい街や村づくりの遊びに広がりが出る。こんなおもちゃで遊ぶことの出来る子供たちはホント羨ましい。出身地はそれぞれ違うのだが、やはり欧米人の感性、色彩感覚などの共通性のようなものを感じ、嫉妬さえ覚える。

Micki Railway Set
Micki Railway Set

ミッキィ社:http://www.nikitiki.co.jp/toymakers/17/index.html
販売サイト:http://www.hyakuchomori.co.jp/toy/train/micki/micki_top.shtml
ブリオ社:http://www.hyakuchomori.co.jp/toy/train/brio/brio_top.html
販売サイト:http://www.hyakuchomori.co.jp/toy/train/brio/pages/brio_set.shtml
ラーニングカーブ社:
http://www.hyakuchomori.co.jp/toy/train/learning_curve/learning_curve_top.shtml
販売サイト:
http://www.hyakuchomori.co.jp/toy/train/learning_curve/learning_curve_top.shtml#60yearthomas

レールと汽車セットがあれば、このブログのテーマである道路とクルマはないのかということになる。前出のミッキィやBRIOには不思議なことにこのアイテムがない。子供のおもちゃの王道はやはり鉄道なのだろうか。クルマ玩具といえばやはりダイキャストのミニカーか。クルマの木のおもちゃを探してみると、前回「ドライビングシート」の製造元であるタイのプラントイ社(Plantoy)がプランシティシリーズとして『ロードシステム スタンダード』『パーキングガレージ』などの商品を出している。この2つは近所の従兄弟の家庭が既に購入していたので、息子には買い与えなかった。ただ「ミニカー!ミニカー!ミニカー!」で紹介した同社製のプレイマット(車付き)やガソリンスタンドの中古品を買ってあげてからは、このおもちゃで随分遊んでいた。このプランシティシリーズも、欧米玩具メーカーの商品を意識してか互換性はあるようで、色調も合わせている。

プラントイ社『ロードシステム スタンダード』
プラントイ社『ロードシステム スタンダード』

プラントイ社:http://www.plantoysjapan.co.jp/
販売サイト:http://www.plantoy.net/plancity/

そういった意味で日本のプラレールは全く異なる道を歩んだ。その豊富なバリエーションや進化は素直にスゴイと思うけれど、グローバルの観点で言えば、こちらもケータイ同様ガラパゴス化したようにも見える。電気で動くプラスチック製の玩具。鉄道模型ならいざ知らず、子供の玩具を電気仕掛けで動かす必要があるのだろうか。子供はおもちゃを自分で動かして遊ぶ。欧米の木のおもちゃとは規格もそうだが、哲学的にも相容れないものになってしまった。スウェーデンは優れた工業国であるが、工業製品と玩具には一線を引く明確な主張が伺える。おもちゃに石油化学系素材や電気ものは使わないぞと。一方我が国の玩具を見て思うのは、その素材や動力の違いだけでなく一生モノ感のなさ、流行の言葉でいえばサステイナブルでないこと。いかにも大量生産、使い捨ての工業製品といったものに見えてしまう。どうせおもちゃは壊れちゃうもの、子供時代の短い期間でしか遊ばないしといった製作者の意図が商品に投影されている。しかし日本にも子や孫の代まで残しておきたいと思えるおもちゃがかつて存在していた。それはブリキのおもちゃである。

ブリキ電車『ブルートレイン』ブリキ電車『エル特急』
(ブリキ電車、プラレールよりいい味だしていると思うのだけど・・・)

明治時代に日本へ導入され、当初は模倣も多かったが、そこは日本人のきめ細やかな職人技で日本独自の優れたおもちゃが次ぎ次ぎと開発される。全盛期は戦後の日本。ポップカルチャー全盛期のアメリカも驚嘆したほどで海外にも大量に輸出された。私はブリキのおもちゃで遊んだ恐らく最後の世代である。素材は紛れもなく工業材料なのだが、決して無機質ではなく暖かい。その流麗な曲線美、欧米の色彩感覚とはまた異なる艶やかな色使いは今の日本のおもちゃにはもう見られないものだ。でもそこには日本のオリジナリティと人々を魅了する普遍性があったと思う[3]。日本のプラレールはこの伝統の技を生かして“ブリキ“レールとして発達して欲しかった。ブリキの汽車セットであれば、欧米のおもちゃとの相性も良い気がする。ブリキの鉄道玩具は絶対に魅力的だと思うのだが、タカラトミーさん、商品企画考えてみませんか?(と思っていたら、こんなところに”BRIKTRAIN”として製作している会社を発見!)

木のおもちゃから話が逸れてしまったので、再びおすすめの逸品を。子供も2歳ころになるとままごとに興じるようになる。そこでまず娘に与えたのが、日本のカワイ(河合楽器)製の『抗菌ままごとあそびトレイセット』。茶碗、湯飲み、ポット、鍋、やかん、まな板、包丁、さじ類、調味料入れ、フライパンにコンロやレンジまで付いてまさにキッチンままごと遊びの原点。ブナ材で作られたシンプルで安心感を与えるおもちゃである。収納箱付きで蓋がトレイになっているスグレモノだ。

KAWAI:http://www.kawai.co.jp/toy/
販売サイト:http://www.kawai.co.jp/toy/combi/8011.html

道具が揃えば今度は食材である。この木の食材おもちゃに関してはドイツの独壇場だ。HABA社やERZI社のそれは種類の豊富さ、質の高さにおいて右に出るものはないだろう。ホント、このこだわりは恐るべし。野菜に果物、スイーツにパン、調味料、ドリンク、魚、肉類などかわいいもの好きのお母さんは、子供そっちのけでカタログに釘付けになるに違いない。食器類も金属を加えるとさらに雰囲気アップ。

ままごと玩具 食器と食材
(写真のレンジや皿、まな板はカワイ製、食材はHABAやERZI製、ステンレスの食器はIKEAで購入、その食器の大きさに合わせてコンロは自作したもの)

HABA社:
http://www.haba.de/haba/reiterkategorie.htm;jsessionid=4923188C415E3284D462C5C55234F3CF.HABA_APP_02?rk=Ueber_Haba
販売サイト:http://homepage1.nifty.com/hitsujiya/mamagoto/haba/mini-set.html#food
ERZI社:http://www.erzi.de/index.html
販売サイト:http://www.a-cocoro.com/?mode=cate&cbid=388501&csid=0

そして食器類、食材と来ればキッチンままごと遊び玩具の究極は“流し台”ということになる。このままごと流し台も実に様々な商品が存在するが、最も有名かつモダンで、もはやおもちゃと言えないくらい完成度が高いのは、ドイツのニック社(nic)製の『流し台+オーブン』ではないだろうか。以前はスウェーデンの家具メーカー、マリントラ社で製造されていたが[4]、現在はニック社に生産移管されている。マリントラ時代にこのおもちゃ(というか家具)を見つけて感動したのだが、如何せんバカ高く(現在は4万円弱)、とても庶民が子供に買い与える代物ではなかった。

マリントラ社『流し台+オーブン』
マリントラ社『流し台+オーブン』

ニック社:http://www.nikitiki.co.jp/toymakers/05/index.html
販売サイト:http://homepage1.nifty.com/hitsujiya/nic/mamagoto-kitchen.html

自作のままごと流し台1自作のままごと流し台2
自作のままごと流し台

そこでこれを見よう見まねで自作することにした。娘3歳のクリスマスに合わせ、彼女が寝静まってから夜中に製作、昼間は奥の部屋に隠すという生活を数ヶ月続けた。8年前のことである。基本構造は安い集成材を用い、前出の『抗菌ままごとあそびトレイセット』の収納箱なども活用して結構納得のいくものが出来た。新しい工具類などの買い足しもあったけれど、それも込みで総予算1万強だったと記憶しているから、材料費だけだったら諭吉さんで十分おつりがくる。もちろん娘は大喜びで随分遊んでくれた。さすがに今では遊ぶことはほとんどなくなったものの、我が家のお宝である。是非いつか孫でも出来れば使ってもらいたい。ここで紹介した他のおもちゃも一緒に。それが持続可能な木のおもちゃの良さだからね。

木のおもちゃは楽し!

※)販売サイトはあくまで一例です。いろいろ探し出すのもまた楽しみの一つ。

[参考・引用]
[1]北欧の知的好奇心をくすぐる“節電玩具”、産経ニュース、2011年8月7日、
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110807/biz11080718000005-n1.htm
[2]小さな木の積み木、CHeeRA、2009年6月30日、
http://www.cheera.net/blog/archives/2009/06/post_1442.html
[3]file146 「ブリキのおもちゃ」、鑑賞マニュアル美の壺、
http://www.nhk.or.jp/tsubo/program/file146.html
[4] MRT流し台+オーブン、百町森ホームページ、
http://www.hyakuchomori.co.jp/toy/item_gokko/pages/MTnagashi.html
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[ 2011/10/02 12:31 ] toys/おもちゃ | TB(0) | CM(0)

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