CAPTURED ALIVE

トゥーツ・シールマンスが来日する。私が敬愛するミュージシャンの一人だ。ジャズ・ハーモニカの第一人者だが、ジョン・レノンからもリスペクトされていたように[1]ジャズというカテゴリーに囚われないほど、あらゆるジャンルの音楽で活躍する音楽界の至宝。御年89歳とは驚いてしまうがまだまだ現役である。10月8日(土)にすみだトリフォニーホールで、10月11日(火)から13日(木)までブルーノート東京での公演が予定されている。

彼を初めて知ったのは私が高3か浪人生の頃だから、今から30年くらい前の話。ラジオから流れてきた切ないハーモニカの音色に魅せられた。その頃まではハーモニカというと、小学生の頃に音楽の時間でお世話になった子ども用の楽器といった印象しか持っていなかった。しかし、そのラジオから聴こえてきた音は、実にシンプルなんだけどいつまでも耳に残る、心に響く音楽だった。“Old Friend”というその曲、奏者はToots Thielemansという人だった。



それから彼のレコード(その当時はLPしかございません)を探しまくって見つけたのが“CAPTURED ALIVE”というアルバム。私が初めて買ったジャズのLPだった。あの簡素な“Old Friend”とは別世界。テクニックも半端でない。ハーモニカでこんな曲が吹けるのかとカッコいいの一言だった。特にお気に入りだったのが1曲目の“THE DAYS OF WINE & ROSES”、ジャズの名曲である。18、9にして「酒とバラの日々」とは、既に枯れた青年だった。



この記事を書くにあたって彼のことを調べていく中でわかったのだけれども、このアルバム‘74年の録音で、’62年に自身の口笛をフィーチャーした“ブルーゼット(Bluesette)”がヒットし、‘69年の映画『真夜中のカウボーイ』のクロージング曲でそれなりに有名になっていた彼自身初期のリードアルバムだったようである[2]。確かに今までのジャズセッションの主役といえばピアノにサックス、ペットにギターといったところで、ハーモニカといえばマイナーな楽器で脇役も脇役、とても主役を張れるような存在ではなかったはず。そんなジャズハープがリードの珍しい1枚。今でもCD版で手に入れることはできるが、ジャケットのデザインは異なる。LPの方は夕暮れの雨のニューヨーク、窓越しに見えるイエローキャブが渋いんだよねえ。



その他にも素敵な曲、アルバムは数知れず。これまた小生コンプリートコレクションを目指すビル・エヴァンスとの競演“Affinity”は名盤中の名盤だし、Ivan LinsやDjavanら名だたるブラジリアン・ミュージシャンと競演した“The Brasil Project”シリーズはお気に入りのアルバムである。夏の余韻を残す9月の湘南を流しながら聴くのが一番好きだ。あと、パット・メセニーとのセッションも泣けてくるね。彼は元々ギタリストとしてスタートしているのだけれど、彼の枯れたギターもなかなかおつですぜ。



ずいぶん昔に一度だけコンサートに行ったことがあるが、もう一度彼の生ハーモニカを聴くことができるだろうか。今回のコンサートは行けないだろうし、いつまでも長生きしてください、ハーモニカおじいちゃん。

トゥーツ・シールマンス スペシャル・ナイト

[参考・引用]
[1]トゥーツ・シールマンス、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B9
[2]CAPTURED ALIVE、クロマチック・ハーモニカ教室クラブ活動、2005年2月27日、
http://chromclass.exblog.jp/1698129/






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    さあ!サックスを吹いてみよう!! ( 07:34 )

    どうすれば、いかに短期間で、壁になるべくぶち当たらず、 良い「自分の音」を作ることが出来るか?90日間の挑戦に賭けてみますか?それとも変わり映えのしない音のまま3ヶ月後を迎えますか?



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