男を消せ! -日本を変える女のクーデター?

なでしこJAPAN、世界一!

あいつら、本当にやりやがった。なでしこJAPAN。

スウェーデンとの準決勝。やっとTV放送されるということで、なんとか後半から起きて応援した。スウェーデンを翻弄する見事なパスワーク。全く負ける気がしなかった。性別問わず、フル代表がFIFA主催の世界大会で準決勝に進んだだけでもJFA史上初の快挙(2011年のフェデ杯での準優勝はあるが純粋な意味での世界大会ではないし、フル代表ではないがU-20ユース代表の‘99年準優勝がそれまでの最高成績)。それが決勝に進めるとは夢にも思わなかったが、これはひょっとして、と期待を抱かせる戦いぶりだった。

しかしアメリカとの決勝戦、前半はなんとかドローで凌いだものの、やはり相手の格は何枚も上であった。スウェーデン戦で面白いように繋がっていたパスが全く繋がらない。日本の持ち味を全く出させてくれない巧者アメリカ。

ちょうど1年前のW杯南ア大会でのドイツ代表を思い出した。準々決勝でのアルゼンチン戦。スーパースター、メッシ擁するアルゼンチンに対して、流れるような美しいパスワークで相手を翻弄した。そのドイツも準決勝では、スペインの芸術的な球捌きの前になす術もなかった。決勝戦でのなでしこJAPANが、まさにこのときのドイツに重なって見えた。そして後半24分、いやな時間帯に先制点を入れられる。それまでの流れからすれば致し方ない失点。昨日出勤日の私は、休日渋滞を警戒してここで早めに家を出る。

澤の同点ゴール
澤の同点ゴール

ナビでTV音声を聞きながら運転。やはりアメリカの壁は厚いと諦めかけた後半35分に同点弾。車中で歓喜(クラクション鳴らしたかったけど、日本ではちょっと憚れる)。延長戦になれば、タフな日本に勝機はあると思った前半14分に勝ち越し点を入れられる。延長後半も終了間近、これで万事休すと思った後半12分、コーナーキックを受けたこれまた芸術的ともいえる澤のアウトサイドでの後ろに流すスーパーゴールが決まった(あんな難しいゴール、男子でもそうは見られない)。その後の結果はご承知のとおり。

FIFA史に残るであろう名勝負。今回の試合で“Never Give Up”の真髄を彼女らに教わった。NGU精神が大好きなアメリカ人も納得の試合だったろう。彼女たちを信じず、2度も諦めた自分を恥じる。美女には目がない私でもMVP澤の笑顔が可愛く思えてきた(ん?褒めているのか?)。お見事!

なでしこJAPANの活躍、世界一の偉業達成は、日本精神史上(そんな歴史があるのかわからんが)の大きなエポックメイキングになるかもしれない。大げさではなく。少なくとも何も決められない、外圧にも屈する情けない日本男児に喝を入れたのは間違いないだろう。これで男性諸氏が目を覚ませば良し。しかし、首相以下の体たらくを見ているとどうも覚醒しそうにもない(菅さんは「私も諦めずに頑張る」と言ったそうだが、君は早くギヴ・アップした方が・・・)。それどころか、『もう男には任せておけない。我々が日本を変える。』と逆にヤマトナデシコが大きく意識変革するのではないかと思うのである。また、少なからず存在する男や親に寄生するような甘たれた女性にも、影響を与えるだろう。女性に対する目も厳しくなる。「なでしこ」を見習えと。要するに男女年齢を問わず、日本人の性根を叩き直す絶大な効果があったはずだ。

男を消せ!-ノルウェーを変えた女のクーデター
男を消せ!-ノルウェーを変えた女のクーデター

私は読んだことがないが「男を消せ!-ノルウェーを変えた女のクーデター」(三井マリ子・著、毎日新聞社)という物騒なタイトルの本がある。1960年代、女性議員比率がわずか6%(日本の衆院議員で10.9%)だった国ノルウェーがいまや、世界最強の男女平等の国に。その実態を解き明かした本らしい。キーワードとなるのはそのノルウェーが発祥の「クオータ制」。マイノリティの社会進出を助けるために、制度として人数の割り当て(quota)を行い、比率に偏りが無いようにする仕組みである。ノルウェーは2003年に「役員は男女ともに40%以上」と上場企業に法律で義務付けた。法律ができる前の女性役員は6%。私の勤務先でも女性役員はたしか1人(当然上級役員にはいない)。この話を最初に聞いたときには逆差別ではないかと不快感を覚えたし、当のノルウェー国内でも「経営への政府介入」「逆差別」「無理に達成しようとしたら質が下がる」…と反対論が百出したそうだ。この法律には罰則もあって、移行期間後、2度警告されても従わない企業は何と解散処分になる!罰則規定が功を奏したのか、‘09年には見事40%を達成した。その後、他の世界各国もノルウェーの制度を見習い、「クオータ制」の普及が進んでいる。もちろん、日本は採用していないし世界の中でも少数派となっている[1][2]。

[3]のレポートによれば、女性役員増加は必ずしも企業業績の向上に繋がっていないという。それはそうであろう。役員の男女比率と業績に相関があるとも思えない。逆説的に言えば、そもそも仕事の能力に性別は関係ないということ。優秀なヤツが偉くなれる環境を整えればいいだけの話だ。

でも[2]によれば、人材は探せばいた、育てたら育ったらしい。それがノルウェーの発見だったそうだ。確かに人材育成においては、若いうちから責務を負わせた方が良いようである。厳しいタスクを与えることで、人間はそれなりに育つ。生物学的にみても、男女比率は半々な訳だし、能力に男女差はないはず。そう考えると役員構成が半々なのは自然な状態とも言える(従業員数が男女半々であれば確率的に不自然ではないという意味だけど)。「クオータ制」に批判的だった私も、この記事を読むと、これに反論する男たちは(自分も含めて)、結局自分に自信がない裏返しではないかと思えてきた。自分の能力に絶対の自信があれば、別にquotaの枠に怯える必要はないからだ。職場の半数が女性になったら、自分の地位は保たれるのだろうかという不安。

「クオータ制」にはまだ抵抗はあるものの、こんな閉塞感のある状況では、強硬手段で世の中を変革した方が良いのかもしれない。時と場合によっては、荒療治も必要だ。世の中のコンセンサスを待っていたら、なかなか先には進まない。強制的に女性にも重責を担わせれば、腰掛け就職や小沢ガールズといった勘違いの甘えも許されなくなるだろう。ノルウェーの挑戦的な実験はまだ始まったばかりである。目に見える成果が出るのであれば、これからだと思う。じっくり見届ける価値はある。

さて我が国は、8年前に議員や職場の管理職(課長職相当以上)に占める女性の割合を「2020年までに30%程度」という政府目標を掲げた。現状は衆院議員が前出のとおり、社員100人以上の会社で課長級7.0%、部長級4.2%の相変わらずの低空飛行[2]。しかし、今回のW杯優勝を契機に女性の社会進出がさらに加速され、日本でも「クオータ制」が導入されて、この目標値達成に拍車がかかるかもしれない。私の直属の上司は男性であるが、ある一部の仕事に関するレポートライン上の上司は年下の女性である。仕事はできる人だ。彼女も今回の一件でさらにタフな仕事人になるかもしれない(怖っ)。

2011年、ヤマトナデシコのクーデターが始まる予感。報奨金もこの成果に1人100万円じゃ、彼女たちは納得しても、世の女性陣が黙っていないだろう。嫁も怒り心頭であった。男性諸君、襟を正そう。女性に負けぬように。次はブラジルW杯、まずはベスト8以上を期待したい。愚息の通うスペインサッカースクールにも、今後女子生徒が間違いなく増えるであろう。チビでシャイな我が息子よ、女の子に跳ね飛ばされぬよう心身を鍛えよ。あっ、そこの呑んだくれのお父さん、明日から上司は厳しい女性かもよ。

[参考・引用]
[1]クオータ制、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%BF%E5%88%B6
[2]発信箱:ノルウェーの実験=福本容子(論説室)、毎日新聞、2011年6月24日、
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20110624k0000m070130000c.html
[3]法制定による女性取締役増員は何をもたらしたか(ノルウェー)、-制定10年後の賛否両論-、The New York Times(インターネット)、2010年1月28日版引用、神奈川県ホームページ、
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f70139/p71353.html

男を消せ!―ノルウェーを変えた女のクーデター男を消せ!―ノルウェーを変えた女のクーデター
(1999/02)
三井 マリ子

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[ 2011/07/19 23:30 ] sports/スポーツ | TB(0) | CM(0)

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