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九州新幹線  

九州新幹線「さくら」

来月は母の三回忌なので、帰省のため航空機の予約をする(早割で安くなるのでね)。やはり福岡まで新幹線で帰る気にはならない。ところで、3月に全線開通した九州新幹線の開通を祝う「JR九州/祝!九州キャンペーン」CMがカンヌ国際広告祭のアウトドア部門にて金賞、メディア部門にて銀賞を受賞した。この賞は広告業界の“ワールドカップ”といわれるほど世界的に名誉ある賞なのだそうだ[1]。

九州新幹線の開業は3月12日、あの東日本大震災の翌日だった。そのために開業式典は自粛され、開業3日前から放送されていた本CMも放送が中止となった。ところがこのCMがJR九州のホームページやYoutubeなどの動画サイトで流れていたものだから、「九州から東北への応援歌!」「元気づけられた!」とインターネット上で反響を呼んだ。

CMは鹿児島中央駅を出発し、熊本から博多へと向かう新幹線「さくら」(冒頭の写真)の車窓から、沿線の町の人々を写したもの。思い思いの格好をした人々がウエーブやダンス、ジャンプをしながら、開通を祝い「さくら」に手を振る様子を撮った。2月の撮影には約1万人が参加した。笑顔があふれる映像に軽快な音楽(日系スウェーデン人のシンガー・ソングライター、マイア・ヒラサワが歌う『Boom!』)が流れ、「あの日、手を振ってくれてありがとう。笑ってくれてありがとう。一つになってくれてありがとう」「一つになった九州に新しい力が生まれています」というナレーションがかぶさる[2]。

東北新幹線の全線開通は九州に先立つこと昨年の12月4日。東京駅~新青森駅間で「はやぶさ」の運転を開始したのが震災直前の3月5日。当然東北新幹線は運休となり、東北人が災害によって一つになろうという思いと、新幹線の再開を願う気持ちがちょうど”こだま”するようにこのCMは写ったのだろう。GWのスタート、4月29日に東北新幹線全線の運転が再開された。

僕の職場にも多くの九州人、東北人が働いている。お互いに北と南から不慣れな都会にやって来て、要領はよくないけれど、人がいいもんどおし、何か共感するところがある。焼酎と日本酒の違いはあれ、酒も好きだしねえ。九州人の私も社会人になって多くの東北人の世話になった。この九州からのエールで、少しでも東北人が元気になってくれればよいと思う。

さて、そのCMをYoutubeで見てみる。個人的には新幹線というと、大阪勤務時代、週に何度も大阪~東京を往復していたせわしない記憶が甦る。新幹線=ビジネスというイメージだ。旅という感覚はあまりない。20数年前、社会人になりたての頃は新幹線で何度か帰省したが、その後飛行機の便利さ・楽チンさを知ってからは、とんとご無沙汰である。



学生時代、夜間の高速バスで約2時間、大学のある熊本から実家の福岡へ帰省していた、あのゆるりとした時間が懐かしい。それが今や熊本~博多間は新幹線でたったの30分。まあ新幹線開通の良し悪しは別にして、故郷のみんなが一つになって作り上げたんだなあと伝わるCMだ。九州もんは乗りのよかけんねえ。ところで「筑後船小屋」駅ってどこや?新幹線に船小屋って・・・。

ただ大分や宮崎、佐賀や長崎の人間はあんまり楽しい気分ではないはず。九州新幹線といってもつながったのは福岡、熊本、鹿児島の3県のみだからだ。「うちんとこは高速(道路)も新幹線も来(こ)ん」と前宮崎知事のように地域格差を僻むのだろう。まあ新幹線のように交通インフラの整備が県民の幸せの全てではないと批判を承知で言うが、宮崎のようにせっかく非常に豊かな自然環境があるのだから、交通の便が良くなることでよそ者がたくさん来て自然を荒らされるよりもいいのではないだろうか。新幹線が来ないからこそ守れるべきものもある。

「九州は新幹線で一つに」といっても内実はいろいろあるのでして、新幹線が通らなかった地域も決して落胆せず、ないならないなりに新しい発想による地域活性化のアイデアで元気になっていこう。まあ、せっかくの新幹線開通やCMの受賞に冷や水を浴びせるといろいろな人から睨まれそうなのでこれくらいにしておこう(汗)。

九州新幹線800系 九州新幹線N700系
(左)九州新幹線800系(右)九州新幹線N700系

のりものとしての新幹線に目を移そう。私は”鉄ちゃん”ではないので自動車ほど土地勘はないのだが、車両には既に九州内を運行していた800系の「つばめ」と、山陽新幹線と相互乗り入れする新型車両、N700系7000・8000番台の「みずほ」「さくら」の2種類が存在する。いずれも最高速度は260km/h。CMで撮影に使った車両はN700系「さくら」。JR九州の九州新幹線の信号システムとJR西日本の山陽新幹線の信号システムは異なるので(JR西日本は新旧混在)、800系では山陽新幹線に乗り入れできない。そこで混在システムに対応できるN700系を新しく導入したのだそうだ。

東海道・山陽新幹線で走るN700系と山陽・九州のそれとは外観がほぼ同じであるが、前者が16両編成なのに対して後者は8両編成。理屈上はN700系で東海道線、すなわち東京まで乗り入れ可能なのだが、今のところ計画はない。車両編成が少ないので乗車位置が異なってしまうというのが理由だそうだ[3]。まあ、鹿児島から東京へは飛行機の方がよいだろう。

新幹線のたび
新幹線のたび

東北新幹線、九州新幹線の全線開通によって、物理的には北は青森から南は鹿児島までを新幹線で走破することが可能となった。このことを題材にして企画された絵本も存在する。「新幹線のたび ~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~」(コマヤス カン・作、講談社)がそれだ。主人公の少女とお父さんが新青森駅から「はやぶさ」に乗って、途中3つの新幹線を乗り継いで鹿児島のおじいちゃんの家まで遊びに行くというもの。道中は鳥瞰図で実に細かく描かれていて、さしずめ大パノラマ日本絵地図となっている。季節も冬から春へと移りゆく描写は、日本の自然の豊かさにも改めて認識させられる。

この絵本は3.11直後の3月19日に出版されている。ゆえに、当然震災の前には校正済みな訳で東北の海岸線が美しい当時の風景のまま描かれている。このことが逆に、我々読者の胸に重くのしかかってくる。あの日までは、ここに、この場所に日常の生活の営みが、幸せな家族の団欒があったのだと。奇しくも、前出のCMといいこの絵本といい、あらゆる出来事が深く積み重なった、永遠に語り継がれるであろうメモリアルな作品となった。

新博多駅ビル「JR博多シティ」
新博多駅ビル「JR博多シティ」

九州新幹線の開通で博多駅ビルもリニューアルだ。僕にとっては懐かしいデパート、井筒屋が撤退し、阪急百貨店や東急ハンズが新たに入居。地場企業は全国区ブランドに駆逐されつつある。いったい大阪や東京と何が違うんだろうと故郷のリトル東京化、リトル大阪化の変貌ぶりに戸惑う。どうせ黒船に攻められるのであれば、韓国や台湾などアジア資本の小売業態に出店される方が、福岡らしさが訴求できるのではないだろうか。とは言うものの、帰省の際に時間があれば寄ってみようかな。

[参考・引用]
[1]マイア・ヒラサワも感激! JR九州のCMがカンヌ国際広告祭で金賞を受賞!、CDジャーナル、2011年6月23日、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110623-00000012-cdj-musi
[2]震災で自粛の九州新幹線CM 感動の声相次ぐ、西日本新聞、2011年3月27日、
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/233892
[3]“鉄ちゃん”に先駆けて……「九州新幹線」新型車両に乗ってみた、産経新聞、2010年12月13日、
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1012/13/news018.html

新幹線のたび ~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~ (講談社の創作絵本)新幹線のたび ~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~ (講談社の創作絵本)
(2011/03/19)
コマヤス カン

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Boom!(ブーン!)Boom!(ブーン!)
(2011/05/18)
マイア・ヒラサワ

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Posted on 2011/06/25 Sat. 22:55 [edit]

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