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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

ベントンのシート  

ベントンのシート

今年最初のクルマの絵本、お正月に古本屋で見つけた一冊を紹介する。「ベントンのシート」(あいぽん・作、新風舎)というその本は、タイトルと表紙の絵からベントレーをモチーフにした絵本と見た。帯には「競争、競争で疲れていませんか?ベントンのシートで、ゆっくりと休んでください。」と何ゆえか十代目坂東三津五郎さんの推薦文がある。鉛筆書きの、その朴訥とした味のあるイラストとほのぼのとした内容に即購入。

ストーリーはこうだ。古ぼけた自動車工場で整備される1台のクラシックカー。名前は「ベントン」。工場とクルマは売りに出されたのであろう、老紳士と婦人がベントンに最後の声をかける。
「これから、人間の世界で頑張ってくるんだぞ。」
「ベントンの活躍をママも楽しみにしているわ。」

ベントンのシート その1

でもサーキットでは、速いスポーツカーとレーシングカーについていけず、悪路ではクレーン車とブルドーザ、ジープに助けられ、何をやってもビリなベントン。みんなからは、ポンコツ、役立たずと言われる始末。ベントンはガレージでのパパとママの言葉を思い出すと、ゴーゴーとエンジンをふかしながら泣いてしまう。

すっかり夜も更け、暗い道を意気消沈したベントンが走っていると、ライトの先に小さな女の子とあばあさんを見つける。
「どうか乗せてください。あばあさんの具合が悪いんです。」

何の役にも、誰の役にも立たない、ダメなクルマだと思っていたベントンだが、女の子に何度も懇願され、彼らをクルマに乗せてあげることにした。外ではしんしんと雪が降ってきた。ガソリンもなくなり、エンジンも止まってしまったベントンだが、ヒーターだけは明日の朝まではもちそうだ。二人は、とても暖かいシートで眠ってしまった。

ベントンのシート その2

朝になると、通りかかった別の車が二人を見つけると町まで乗せてくれた。それを見届けたベントン。とうとう、バッテリーもなくなりヒーターも止まってしまった・・・。

ベントンは大事なのはレースで勝つことではない。自分には座る人を幸せにする素敵なシートがあるということに気づくのである。

ベントンのシート その3

本書の主題はクルマ絵本の名作、「しょうぼうじどうしゃじぷた」や「パトカーぱとくん」と基本的には同じもの。誰でも自分では気づかない『あったかなシート』を持っているということ。自信喪失に陥ったときには、この『シート』を一つだけ探してみるといい。そしてその『シート』は秀でた才能でなくても、たくさんのお金を生み出すものでなくてもいい。人々がその『シート』に「ありがとう」といってくれること、これこそが本当に価値の高いものだということも忘れてはならない。

作者のあいぽん(さん)は、本名、相野谷信之。1957年東京都代官山生まれ。元(財)日本地域開発センター研究員。主に都市計画を専攻。現在は代官山ステキな街づくり協議会メンバー、またライオンズクラブにてブラインドセーリング等を支援。本書は第11回(2005年)新風舎えほんコンテスト優秀賞受賞作品。

と、ここで気持ちよく話を終えたいところだが、偏屈な私としてもう一言。出版元の新風舎は調べてみるとあまり評判がよろしくない。新風舎がいろいろな出版賞を設けて、応募者の中から落選した著者に共同出版を持ちかけるトラブルに関して多くの情報を見つけることができる。噂の真偽は私にはわからないが、これら風評の影響なのか、評判どおりの不誠実な経営の末路なのか2008年に新風舎は経営破綻している[1][2]。新風舎は本当に人々から「ありがとう」と言われる仕事をしてきたのか、関係者は自らが出版した本書を手にとってよく考えてみるとよい。なお、本書は文芸社より表紙を変えて2009年に再販されている。

さて、本書のモチーフと思われるベントレーについては、次回もう少し調べてみることにする。  

[参考・引用]
[1]新風舎、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E9%A2%A8%E8%88%8E
[2]「新風舎」のあくどい商法、有田芳生の『酔醒漫録』、2006年11月、
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2006/11/post_f399.html

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Posted on 2011/01/09 Sun. 20:31 [edit]

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