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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

オリジナル版のろまなローラー  

「のろまなローラー」オリジナル版

私の大好きなはたらくクルマ絵本の1冊、「のろまなローラー」は現在でも書店で簡単に手に入れられる名作であるが、装丁は過去の記事で紹介したように、B5版横長で洋書や専門書では一般的な左開きタイプとなっている。ところがこの絵本には、オリジナル版「のろまなローラー」(小出正吾・文、山本忠敬・絵、福音館書店、こどものとも54号)が存在する。見慣れた現行版とは大きく異なり、縦長の右開きタイプで、作者・ストーリーともに同じにも関わらず、山本忠敬による絵の内容がずいぶん違っているのである。

「のろまなローラー」の初版は1960年(昭和35年)。福音館書店の月刊物語絵本冊子「こどものとも」シリーズより刊行。1960年9月号がオリジナルとなる[1]。今となっては初版本を手に入れることはかなり難しいと思われるが、私は神保町の古本屋で一度だけ手に取ったことがある。さすがに程度がかなり悪かったので、購入はしなかったのだが、緑の表紙背景に、こちらにゆっくり向かってくるローラーの構図が、個人的には気に入ってしまった。その後、私が入手したのは、「こどものとも」500号記念出版で創刊号~100号までのセットで販売されていた復刻版の1冊である。

現行版との大きな違いは次のとおり。表紙は上述のとおり構図自体が全く異なる。オリジナル版は右開きなので、くるまたちの動きは右から左へと逆に流れる。「とらっく とらっく とらっく」で紹介したように、1961年に刊行された「とらっく・・・」から「こどものとも」は横長、左開きとなり絵の動きがダイナミックになった。本作もこの手法に習い、「こどものとも」113号(1965年8月号)で今の形に描き直されている。

登場するくるまたちも、さらに古いくるまをモデルに描かれている。青いダンプトラックは、現行版と同じいすゞボンネット トラックTX-552型であろう。1959年に販売開始をしているので初版時期と矛盾はない。

初代セドリック?りっぱなじどうしゃ(オリジナル版)
日産・初代セドリック30型 プリンス・初代グロリアのテールフィン

りっぱなじどうしゃは、現行版では車種を特定できなかったが、オリジナル版の淡いライムグリーン色の高級車も特定は難しい。独特な縦型丸目4灯は日産・セドリック初代30型のフロントマスクの特徴だ。1960年発売で時期的にも適合する[2]。しかし、セドリックのリアデザインはテールフィンではない。同時期の日本車では、初代プリンス・グロリアが流麗なテールフィンを持つ[3]。日産とプリンスの合併はそれから約10年後なので、両車の混血クルマが存在するはずもない。「りっぱな」自動車のイメージが当時の国産ではセドリックやグロリアであり、さらに当時の富の象徴という意味で外車→アメ車→テールフィンの印象が混ざり合った架空のクルマなのだろう。

こがたじどうしゃとローラー(オリジナル版) 日野ルノー

赤いこがたのじどうしゃは、現行版ではスバル360をモデルにしていたが、オリジナル版は、細部は微妙に異なるが、日野ルノー(ルノー4CVのノックダウン車)をモデルにしているのは明らかだ。いずれにせよ、50-60年代のくるまたちは、どれも味がありますねえ。

主人公ののろまなローラーのモデルは、相変わらず不明である(何か手がかりをご存知の方、お知らせください!)。最近まで知らなかったのだが、都内大田区の萩中公園内に「がらくた公園」と呼ばれる一角があるらしい。そこには、既に廃車となった消防車やトラック、ジープ、ブルドーザーにロードローラーといった働くくるまたちが遊具として活躍しているという。働く車好きの老若男女には、なかなか面白そうな公園である。この公園を紹介したブログを見るとロードローラーがのろまなローラーにそっくりなのだ[4][5]。これは現物を調査に行かねばと思っていたら、公園改修のため、今年7月1日からがらくた公園の撤去工事が始まっているとのこと[6]。これら働くくるまたちは廃棄処分になってしまうのか、あるいはリニューアルされた公園に残るのか。残念なことにどうもがらくた公園自体が閉鎖のようである。子ども手当てにより無節操に金がばら撒かれる一方で、このような子どもたちのパラダイスが奪われていく。子どもたちのために一体何をやりたいのか、この国の目指す方向がわからない。

「のろまなローラー」のモデル?@がらくた公園[5]

[参考・引用]
[1]のろまなローラー、こどものとも50周年記念ブログ、2005年7月22日、
http://fukuinkan.cocolog-nifty.com/kodomonotomo/2005/07/index.html
[2]日産・セドリック、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF
[3]初代グロリア、カタログで見る昭和30年代の車、
http://www.asahi-net.or.jp/~rf7k-inue/izen/no-1/guroria/guroria.html
[4]がらくた公園へ行ってきました、工作日報 川ロ車両製作所、2007年10月1日、
http://seisakujyo.exblog.jp/6552503/
[5]萩中公園へ行く、子育て中心の私的な記録、2010年7月8日、
http://ameblo.jp/wahmin/entry-10584368350.html
[6]がらくた公園、大田区ホームページ、
http://www.city.ota.tokyo.jp/midokoro/park/garakutakouen/index.html
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Posted on 2010/09/20 Mon. 18:50 [edit]

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