DINOTRUX

DINOTRUX

夏休みもあとわずか。ゆとり教育が見直され、授業時間が増加した関係で、うちの小学生の子どもたちも9月を待たずして月曜日から学校である。皆さん、充実した夏休みでしたか?宿題は大丈夫ですか?子どもたちの夏休みというと「恐竜」が定番であるが、この夏休みもテレビの番組や各地で恐竜展などのイベントが催され、大いに楽しまれたことであろう。本日はそんな恐竜と自動車を結びつけた面白いクルマ絵本を紹介しよう。タイトルは“DINOTRUX”(Chris Gall・作、Little Brown)。

有史以前の太古の昔、まだ地球上は火のように燃え盛り、火山が至るところで溶岩を噴き出す。タールの沼が周りを飲み込まんとするような危険な環境であった。そんな中で、体の半分が恐竜のはたらく車たちが陸上を闊歩していた。“DINOTRUX(恐竜トラック)”と呼ばれた彼らは、とてつもなく巨大でいつも腹をすかしていた。ガタガタ、ゴウゴウ音を立て、道なき道を掻き分けて進んでいた。

彼ら種属は実にバラエティに富んでいる。恐竜図鑑顔負けである。

おせっかい焼きのCreaneosaurus(クレーネオサウルス)は、高い木の枝に長い鼻を突き出して、むしゃむしゃ食べる。

ドーザーラトプスとダンプロドゥカス
ドーザーラトプスとダンプロドゥカス(“DINOTRUX”より)

Dozeratops(ドーザーラトプス)はせっかちで、道にある木や石をどけ散らして進む。
Dumploducus(ダンプロドゥカス)は、ごみをどこにでも捨てるやつだ。道の上は石ころだらけだ。
何でも踏み潰して進むRollodon(ローロドン)は、自分がどこに進むのが全然見ていない。
いつもはらぺこGarbageadon(ガベージアドン)は目に付くものは何でも食べてしまう。
いたずらっ子のDigasaurus(ディガサウルス)は、気に入ったところがあればどこでもショベルで掘ってしまう。
Deliveradon(デリヴァラドン)は、働かなきゃならないときはいつも寝ている。
DINOTRUX は正直汚い、くさい。Cementosaurus(セメントサウルス)は、お腹がいっぱいになって胃がひっくり返ると…おしっこジャー!Blacktopadon(ブラックトパドン)なんかはいつも垂れ流し。

ファイアサウルス
ファイアサウルス(“DINOTRUX”より)

Firesaurus(ファイアサウルス)はものすごく熱くて、ドロドロの溶岩を食べている。
Semisaurus(セミサウルス)は、一晩中いつも忙しい。
そしてジャングルの暴れん坊、Tyrannosaurus Trux(ティラノサウルスTラックス)とTankersaurus(タンカーサウルス)の闘い。「どけっ、俺様の足の上にオイルをこぼすな!」

ティラノサウルスTラックス対タンカーサウルス
ティラノサウルスTラックス対タンカーサウルス(“DINOTRUX”より)

DINOTRUXは100万年、いやそれ以上世界を支配してきた。しかしそんなある日、彼らの前に閃光が走り、恐ろしい嵐がやってきた。至る所で、DINOTRUXは息も絶え絶え。彼らのほとんどは錆付き、泥の中にゆっくりと沈んでいった。賢いものたちは、より気候の良い場所を求めて、南へ移動していった。そして、何千年、何万年の長い月日を経て彼らは進化し、いつも世のため人のために仕事をしている現在のはたらく車たちになったというわけ。

確かに建設機械たちを見ていると、巨大な生き物のようでもあるし、それぞれにユニークな性格がある。恐竜と重ね合わせて、こんな面白いイマジネーションを思い巡らしてしまうのも当然かもしれない。

本物の恐竜たちの絶滅理由は、これまでいろいろ諸説が論議され、結論が出ていなかった。しかし、今年の3月、東北大学などを含む12か国の研究機関による国際研究チームが、恐竜が大量に絶滅したのは、約6550万年前の白亜紀末に、メキシコ・ユカタン半島に巨大な隕石が衝突したことが原因と結論づけた。厳密な学際的科学調査にもとづく結果で、衝突のエネルギーは広島型原爆の約10億倍に相当し、大気中に拡散した大量のちりが太陽光を遮断、津波も数百メートルに達したと考えられている。光合成を行う植物などが死滅した結果、食物が減少し、特に大型の恐竜が絶滅に追い込まれたと考えられる[1]。こういうニュースもあって、今年は例年以上に恐竜への関心が高まったであろう。

Walking with Dinasaurs
Walking with Dinasaurs

我が家も今夏は『恐竜』イベントに出かけた。夏休みの始まる少し前、7月に横浜アリーナで行われた“Walking with Dinasaurs“である。これは、1999年にBBCで放送されたドキュメンタリー番組”Walking with Dinasaurs“でのアイデアをもとに制作された、恐竜の繁栄と隕石衝突説にのっとった絶滅までの物語、エンターテイメントショーである。「アニマトロニクス」というロボット制御技術を使って、等身大の恐竜がリアル(といっても誰も本物の動きを見た人はいないのだけど)に舞台を動き回るというショーなのだが、この動きが半端ではない(一部ラプトルのような小型恐竜は着ぐるみ方法による操作なのだが、これまたリアル)。圧巻はT-REXで迫力十分、子どもたちも大興奮であった。最近のCG技術、擬似3D技術もスゴイと思うけどが、やはり本当の3次元の世界には敵わない。脳内ドーパミン、大量放出である。説明してもそのリアルさは伝わらないと思うので、下記youtube画像を見てくだされ。なかなかチケット入手が困難なのだが、2台のパソコンを駆使してネットで申し込み、娘が見事ゲットしてくれた。それなりに高かったので、夏休みのメインイベントは早くもこれにて終了となった。考えてみれば、これもまた機械と恐竜の融合。

ショーを見た後に息子の描いた絵
ショーを見た後に息子の描いた絵

アニマトロニクスによる恐竜制作の現場映像
http://www.youtube.com/watch?v=7Cc94t7OgAg

“Walking with Dinasaurs“のコマーシャル映像


作者のChris Gall氏は、アメリカのイラストレーター、作家。今までに50以上の大きな賞を受賞しており、彼の作品はアメリカ中のあらゆる出版物で見ることが出来る。本書も2009年にPublishers Weekly Best Children's Bookを受賞。彼はクラシックカーのレストアが趣味で、あらゆる種類の飛行機を操縦することもできる。面白いことに、プロのコメディアンであったことさえある。現在アリゾナ州、Tucsonに妻と一匹の猫と在住。愛車はフォードのピックアップトラック。アリゾナ大学の芸術学の非常勤講師も務める。主な著作は、“America the Beautiful”、“Dear Fish”、“There's Nothing To Do On Mars”(いずれもLittle Brown社、未翻訳)[2]。

Chris Gall
Chris Gall

DreamWorks Animationが本作のオプション権を取得、CGアニメとして映画化が予定されているそうで、そろそろ日本でも彼の絵本が翻訳出版されるであろう[3]。

[2017.4.11追記]
翻訳本『きょうりゅう、えらいぞ』(いそっぷ社)出ています。



[参考・引用]
[1]恐竜絶滅、原因は小惑星 国際チーム結論、論争に決着か、2010年3月5日、asahi.com、
http://www.asahi.com/science/update/0305/TKY201003040492.html
[2]Chris Gall、
http://www.chrisgall.com/bio.php
[3]映画原作関連ニュース、2009年03月13日、のりの日常、
http://www.edita.jp/norio/one/norio48331691.html
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