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貝について調べよう  

日本近海産貝類図鑑

私の大型連休も今日が最終日。明日からまた長距離通勤だ(ノ_-;)ハア…。相変わらず天気もよかったので、家族全員電車と徒歩で横須賀市自然・人文博物館へ。先日、同博物館で貝のことを調べようと出かけたのだが、ちょうど生物担当の学芸員の方がお休みだったので、家族の疑問・質問を残して今日説明を受けることになっていた。

標準原色図鑑全集3 貝
標準原色図鑑全集3 貝

1.先月30日、子どもたちは小学校の遠足で横浜市金沢区の海の公園へ行き、そこで貝殻を拾ってきた。娘が以前から集めていた貝殻と、息子が拾ってきた貝殻で名前のわからないものを調べてもらうのが、まず第1の目的。我が家で一番詳しい貝殻図鑑は「標準原色図鑑全集3 貝」(波部忠重・小菅貞男・共著、保育社)なのだが、これだと図版が小さく古いので、現物と見比べながら名前を調べるには限界がある。
2.拾ってきた貝殻の大半はアサリだったのだが、そもそもアサリはどうして一つ一つ模様が違うのだろう?これが第2の疑問。
3.そのアサリ、ハマグリやバカガイといった二枚貝の仲間なのだが、アサリを特定する主な特徴は何か?これが第3の質問。
4.最後にアワビとトコブシの見分け方は?これは娘の質問である。

クルマガイ
クルマガイ

本日ご説明いただいたのは、海洋生物担当の学芸員、萩原さん。預けていた貝の名前は全て特定されていた。スズメガイ、フトスジムカシタモト、カズマキクチキレ、クルマガイ…。何、クルマガイとな!貝にも「クルマ」を冠したものがいるのだ。クルマノエホン主催者としては聞き捨てならぬ情報。この貝は巻貝の一種で、裏側にちょうどおへそのような窪みがあるのが特徴。ちょうど車輪のような形に見える。例えば、サザエのような巻貝は、1本の線を中心にチューブ状の貝がトグロを巻いた構造になっている。ところが、このクルマガイは円筒にチューブ状の貝が巻きついた構造なのだ。これによって、裏側に“おへそ”が出来る。英語名はSundial Shell(日時計貝)、種名であるtrochiearisは“滑車状”という意味を持つ[1]。確かに表側はその模様から日時計を彷彿させるが、裏側を見ると“車”である。和名と種名はこちら“裏”の表現を採用している。生物の名前のつけ方もなかなか面白い。

息子の拾ってきた小さな巻貝は「アラムシロガイ」といって、この辺の砂浜ではどこにでもいる貝なのだそうだ。生物の死骸をえさにしている貝で、えさがあるとそこにこの貝が大量に集まる。さしずめアリのような海の“お掃除屋さん”といってよい。

第2の疑問の答えは難しいのだが、簡単にいえば、「メンデルの法則」に従う遺伝的な要因が最も大きい。アサリの模様は大きく4パターンくらいに分けられるそうだが、そのかけ合せ・優劣によって様々な模様が表れる。確率的には白地に黒の模様が、最も出易いそうだが、地域によっても異なる。あさりの漁獲量日本一は三河湾産のアサリで、三河湾内の種場で採ったアサリを各漁場に撒くのが現状なのだそうだ。よって、最近では全国各地のアサリのパターンが変わってきているようだ。日本の生活文化も全国がリトル東京化し、地域性が薄れてきているのと一緒で、アサリの世界も三河パターンに変化しつつあるのかもしれない。また、硫化水素の多い黒い泥状の場所に生息すると、表面は黒っぽくなり、酸化鉄の多い場所に生息すると赤っぽく変色するなど、貝の色や模様の変化は後天的要素もあるのだそうだ。フムフム。

第3の質問であるアサリの特徴であるが、最もわかりやすいのは、年輪のような横スジと縦スジが入っていることで表面がざらざらしている。ヒメアサリという種もいるそうだが、こちらは裏側が少し黄色いのが特徴。バカガイもハマグリもアサリに見られる縦スジはなく、表面がつるつるしている。バカガイの特徴は貝殻の厚さが薄いこと。アサリと同じくらいの大きさであれば、指ですぐにつぶれてしまうそうだ。二枚貝を特定するには、表面のスジ模様と蝶つがいのつくりを比較するとよいと教わった。なるほど、蝶つがいをみるとそれぞれに特徴がある。

アワビとトコブシ(「標準原色図鑑全集3 貝」より)
アワビとトコブシ(「標準原色図鑑全集3 貝」より)

トコブシとアワビの見分け方。これ実をいうと、私にとってもいまさら聞けない質問の一つであった。萩原先生は、娘に大きなトコブシとアワビの標本を見せながら、わかりやすく説明していただいた。最も端的な違いは、表面にあいた穴の数。アワビは3つか4つ。多くても5つくらい。一方、トコブシはアワビよりも多くあいている。今回、萩原先生に見せていただいた標本は8つくらい。この穴の機能は、排卵や排泄など内臓からの排出口である。成長とともに古い穴はふさがっていき、常に上記の数ほどの穴があいているのだそうだ。もう一つの見分け方は、殻の縁の形状である。貝を裏返して、周囲を手で触るとよくわかるのであるが、アワビは殻の縁が角張っているのに対し、トコブシは丸みを帯びている(へえーっ)。萩原先生曰く、両者の違いはモーパイで判別できるのだそうだ。

横須賀市自然・人文博物館
横須賀市自然・人文博物館

今回は非常に勉強になった。インターネットが普及した現在では、百科事典や図鑑を開く機会も減り(私が子供の頃は、よく意味もなく事典や図鑑をパラパラめくっていたものだ。それが大変楽しかった。)、ネット検索で簡単に答えが出るようになったが、こうやって実物を見ながら、あるいは触りながら、専門家のお話を直接拝聴するというのは、非常に大切なことだと思う。海外に出かけると、博物館が非常に充実していて羨ましいと思うことが多いのだけれど、日本でももっと公共の博物館や図書館が活用されるべきだと思う。だって、皆さんの税金で運用されているのだから、もっと関心を持ってよい。特に、地元の博物館だと、地域に根ざした自然や文化の資料が充実しているものだ。横須賀市自然・人文博物館に一歩踏み入れると、最初にナウマンゾウの骨格標本が目に入る。このナウマンゾウ、最初の標本は明治初期にここ横須賀で発見されているのだ。長年横須賀に住んでいながら、博物館に行くまでこんなことも私は知らなかった。自分が住んでいるところにもっと関心を持とう、勉強しよう。また、機会があれば、どんどん活用していきたい。そんな感想を得た、博物館訪問であった。萩原先生、お忙しいところ、お時間を割いていただきありがとうございました。

ところで、萩原先生が脇に抱えて持ってこられ、今回の説明にもたびたび登場した貝類図鑑「日本近海産貝類図鑑」(奥谷喬司 編著 東海大学出版会)が大変気になった。3万円以上もする豪華本なのだが、当然掲載される種類も豊富で、個々のカラー図版も大きく美しい。こんな図鑑、眺めているだけで楽しそう。

[引用・参考]
[1]標準原色図鑑全集3 貝」、波部忠重・小菅貞男・共著、p106、保育社、1967
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Posted on 2010/05/09 Sun. 21:20 [edit]

category: bookshelves/本棚

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