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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためだけじゃないクルマ絵本ライブラリー

ゆうちゃんのみきさーしゃ

Posted by papayoyo on   0 comments   0 trackback

ゆうちゃんのみきさーしゃ

息子が小学校に通い始めて、3週間が過ぎた。このブログをスタートさせた時にはまだ2歳だった訳だから、時が経つのは本当に早い。ほんのちょっと前に幼稚園に行きだしたと思っていたら、もうランドセルを背負っている。いよいよ本格的な社会との関わりと勉強が始まる。とりあえず学校も楽しいようだし、元気で通学しているのでひと安心だ。さて、本日紹介する絵本は『ゆうちゃんのみきさーしゃ』(村上祐子・作、片山 健・絵、福音館書店《こどものとも》傑作集)。愚息の名前も“ゆうちゃん”で、ちょうど同じ年頃の少年の話だったこともあり、幼稚園の頃の息子にもよく読み聞かせをしていた絵本の一冊。


ゆうちゃんがおやつに食べていたお菓子の缶にコップを乗せたら、突然オレンジ色のミキサー車に大変身。ミキサー車は楽しく歌い始める。
 ぼくは ゆかいな みきさーしゃ
 なんでも おなかに ぶちこんで
 ごろごろ まわせば たちまちに
 すてきな おかしが できあがる
私はこの唄に適当な節をつけて、歌い聞かせていたことを思い出す。

「ゆうちゃんのみきさーしゃ」その1

ゆうちゃんは、ミキサー車のおなかに入れるものを探しに、車に乗り込んで運転し始める。それからの展開は絵本を読んでいただくとして、結局おなかにはちみつと卵と牛乳とフルーツと冷たい”何か”を入れて、ドラムをごろごろ回すゆうちゃん。車のボタンを押すと、中から大量のソフトクリームが流れ出し、町中の子どもたちは大喜び。そして、ゆうちゃんのミキサー車はまた歌いだす。
 ぼくは まほうの みきさーしゃ
 1000にんで たべても まだ のこる
 あいすくりーむの できあがり
 くいしんぼうは よっといで

数あるクルマ絵本の中でも、私が知る限り、ミキサー車が登場するものはほとんど皆無である。ミキサー車の、その個性的な機能を考えると、絵本の題材になりそうなものであるが、不思議である。しかし、本書は、そんなミキサー車の特性をみごとに活かした独創的で楽しい絵本だ。

ミキサー車は正式には「生コン車」という。生コンクリート、略して生コンは、セメントと骨材(砂や砂利)に水を混ぜたものである。これらが化学変化で結合し、固まったものが、コンクリートである。一般的に工場で製造された生コンを建設現場に運搬するのがミキサー車の役目だ。時間の経過とともに固まる生コンであるから、荷卸しまでのタイムリミットは90分なのだそうだ。しかし、ただ運搬したのでは比重の異なるセメント、骨材、水は分離してしまう。だから、太鼓のような形をしたドラムに原材料を入れて、内部に取り付けたミキシングフレームと呼ばれる羽で生コンを常にかき混ぜている[1]。

「ゆうちゃんのみきさーしゃ」その2

このミキサー車を使って大量のソフトクリームを作るとはうまく考えたものだ。甘いもの好きの子どもたちが、こんな突拍子もない発想に釘付けになるのも無理はない。私が考えるミキサー車だと、鳩山と小沢と亀井と福島を混ぜて出てきたものは食べられたもんじゃないというブラックなオチでどうだろう?

息子も久しぶりに本棚から取り出して、たどたどしいながら一字一句を声を出して読んでいた。そう、もう自分で本を読めるようになったのだ。子供の成長に目を細めると同時に、一抹の寂しさも覚える。これからは、私のクルマ絵本の本棚から、自分の好きな本を選んで読むようになるのだろう。読む本はいっぱいあるぞ、ゆうちゃん!

作者の村上祐子さんは、1935年、東京生まれ。東洋英和短期大学保育科卒業。東洋英和幼稚園、パークレイヒル・ナースリースクール、平塚二葉幼稚園を歴任。家族でアメリカ・ドイツに暮らす。現場を離れてからは文庫活動や書道グループを通してこどもたちとの交流を続けてきた。著書に『幼児とともに』(日本基督教団出版局)などがある。神奈川県在住。

片山 健
片山 健[2]

朴訥とした雰囲気の挿絵を描いた片山 健さんは、本書がデビュー作。1940年東京生まれ。武蔵野美術学校商業デザイン科卒。1968年本書の製作以後10年以上絵本製作からはなれ鉛筆画を描きつづけた。子どもの誕生以後、再び絵本の製作に取り組む。「おなかのすくさんぽ」「どんどん どんどん」は長男、『コッコさん』シリーズは娘との生活の中で生まれたという[2]。1993年『タンゲくん』(福音館書店)で講談社出版文化賞を受賞。1996年『でんでんだいこのいのち』(童心社)で小学館児童出版文化賞を受賞。1998年『きつねにょうぼう』で日本絵本大賞受賞。素朴な絵のイメージがある本書であるが、『タンゲくん』や『でんでんだいこのいのち』などは力強い肉太のタッチで、作者の画風に変化が見られる。画集に『美しい日々』『迷子の独楽』『いる子ども』、エッセイ集に『わたしの遠足日記』などがある。






[引用・参考]
[1]生コン車館、ナマコンパーク、
http://www.zennama.or.jp/park/agitra/a2_shikumi.html
[2]絵本作家:片山 健、小さな絵本美術館ゆかりの絵本作家、長野県・信州原村 八ヶ岳小さな絵本美術館、
http://www.lcv.ne.jp/~morinoie/katayamaken.html
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