FIRE TRUCK

子供は消防車が大好きだ。長男がドライブ中にご機嫌斜めなとき、「ほら、あそこにしょうぼうじどうしゃがいるよ。」の一言で、簡単に機嫌がなおる。困ったときの消防自動車である。確かに真っ赤な車体と、全面至るところに搭載された各種ツールがかっこいい。私の住む横須賀では、ベースの消防車(勿論アメ車)が公道を走っているのをたまに目にすることがある。日本のそれとはちょっと雰囲気が異なり、アメリカンな"fire truck"もまたcoolである。

当然、消防車の絵本も古今東西たくさん出版されている。前回の「ちいさいしょうぼうじどうしゃ」に続き、今回もアメリカの消防車ものを一つ紹介する。原題は”Fire Truck”(Peter Sís作、Greenwillow Books)で、翻訳本は「マットくんのしょうぼうじどうしゃ」(ピーター・シス作、中川ひろたか訳、BL出版)として出版されている。

「FIRE TRUCK」一部

これは「マットくんシリーズ」の一つで、朝から晩まで消防車のことばかり考えているマットくんのお話だ。彼の部屋じゅう、おもちゃのしょうぼうしゃだらけ。朝の最初のあいさつも「おはよう」ではなくて「Fire Truck」だ。ある朝、目覚めてみるとマットくんがしょうぼうしゃに変身する、カフカばりのストーリである。しょうぼうしゃに変身したマットくんは驚くどころか大喜び。家の中を縦横無尽に走り回る。マットくんのモデルなのだろう、この絵本はSísの息子Matejに捧ぐとなっているが、彼の子どもに対する愛情がじわりと伝わってくる。最後のオチが楽しい。

Peter Sis
Peter Sis

作者Peter Sísは、1949年チェコのプルノに生まれる(実はカフカも同じチェコ出身なので、本作は「変身」をモチーフにしているのかも)。英国の王立芸術大学卒業。映像作家として出発し、1982年にオリンピック撮影のため渡米するが、東欧諸国が不参加を決めたあと米国に亡命する。その後絵本を描き始め、1996年に「Starry Messenger」(邦題は「星の使者」、原田勝訳、徳間書店)でコールデコット賞次点を、1998年に「Tibet」でコールデコット賞次点及びボストングローブ・ホーンブック賞特別賞を受賞する。その他、空港の壁画など多彩な仕事を展開する。ニューヨーク在住。邦訳作品は「とおいとおい北の国のちいさなほら話」(松田素子訳、BL出版)など多数。(月刊児童文学翻訳2001年10月号) [1]

Starry Messenger

この本自体は実にシンプルな挿絵となっているが、彼のほかの仕事を調べてみると、出発点が映像作家であるせいか、例えば前出の「Starry Messenger」のように非常に映像的で、幻想的な絵を描く人だと思った[2]。マットくんシリーズと「星の使者」の作者が同一人物とは思えないほど、絵のタッチが異なる。クルマノエホンだけでなく、一人の作家を通して、別のジャンルの作品に巡り合えるのもまた楽しい。

[参考・引用]
[1]やまねこ翻訳クラブ、ピーター・シス(Peter Sís)作品リスト、
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/s/psis.htm
[2] Peter Sís Home Page、
http://www.petersis.com/index2.html

Fire TruckFire Truck
(2004/07)
Peter Sis

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マットくんのしょうぼうじどうしゃマットくんのしょうぼうじどうしゃ
(1999/11)
ピーター シス

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Starry Messenger: A Book Depicting the Life of a Famous Scientist, Mathematician, Astronomer, Philosopher, Physicist Galileo GalileiStarry Messenger: A Book Depicting the Life of a Famous Scientist, Mathematician, Astronomer, Philosopher, Physicist Galileo Galilei
(2000/09)
Peter Sis

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