クルマノエホン livres d'images de voitures

楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

おねえちゃんは しゃしょうさん  

おねえちゃんはしゃしょうさん

私の車の絵本蔵書は、ブックオフで入手したものが結構ある。絵本の数も増えすぎて、最近は持っていない新しい絵本を見つけることが難しくなってしまった。特に、比較的新しい本が中心のブックオフでは、昔ながらの古書店のように古い絵本が見つかることは皆無である。それでも時折掘り出し物が出るので、たまに行くと、絵本コーナーを物色してしまう。先日も、昭和57年初版の小学館、国際版少年少女世界伝記全集が大量に置かれていたのを見逃さなかった。その中の「チャップリン&フォード」版をゲット、豪華本で挿絵も良いし、これはヘンリー・フォードの資料になる。そしてもう一冊かなり古い絵本を発見。それが今回紹介する「おねえちゃんは しゃしょうさん」(長崎源之助・文、山中冬児・絵、実業之日本社 創作幼年絵童話)。

昭和44年、私が小学1年生の頃の初版本で、当然、ヤケ・シミもあり、少し反りも見られるやや程度の悪い本であったが、「しゃしょうさん」の響きに妙に懐かしくなり、100円だし、思わず購入してしまった(決して、希少本というわけではないのだけど)。

ところでちょっと話が脱線するが、ブックオフの店員って、本棚をせわしなく整理しながら、「いらっしゃいませーっ。こんにちはーっ。」と(機械的に)合唱していることが多い。これが実に耳障りで不快だ。じっくりと本を探している横でうるさく、うっとおしいのだ。本の整理に忙しいのであれば、寡黙に仕事に専念してもらいたい。目が合ったときだけ挨拶や軽い会釈をしてもらった方がよっぽど気持ちがよい。古本好きの私としては古書店の店員は無愛想に限るが、とにかく、あの感情のこもっていない挨拶復唱は単なる雑音、即刻止めてもらいたい。

それとブックオフの価格シールは何であんなに剥がしにくいのか。剥がそうとすると、バラバラに切れるし、剥がしたあとも裏糊がべっとりと本に残る。最近の書籍のように表面がつるつるであればよいのだが、たまに存在する文字通りの古書や、装丁の凝った書籍では、表紙を痛めることすらある。万引きや張替え詐欺防止のためならば、せめて影響の少ない裏表紙に貼ってもらいたい。一般的な良心的古書店では裏に貼るのが当然のルールになっている。本に対する愛情が極めて薄い本屋と言わざるを得ない。

さて、本書のストーリーに話を戻す。主人公のゆきおくんは3人姉弟の末っ子。長女のおねえちゃんが、バス会社に就職することに決まった。車掌さんになるのである。大きな町のバスはほとんどワンマンカーになっていた当時ではあるが、ゆきおくんの住む町のバスは、駅を出て、峠を超え、海岸ぞいの狭い道路を走るバスだったので、まだ(後退時の誘導をする)車掌さんが必要だった。

「かいがんバスはポンコツカー、うみに おちるぞ きをつけろ。」
小学4年生のおにいちゃんが、姉をからかう。でも、ゆきおくんは、おねえちゃんが早くバスに乗れることを待ち望んでいる。正式な車掌さんになったら自分もバスに乗りたいからだ。だから、おねえちゃんが自宅で行う車掌さんの練習にも喜んでつきあう。

「おねえちゃんはしゃしょうさん」その1

姉がやっと車掌さんの見習いとしてバスに乗れるようになったある日曜日、ふたりの弟はこっそりと姉のバスに乗ることを画策する。バスの中で弟たちを見つけた姉はびっくりするが知らん顔。でも彼らに見られている緊張から、車中ではあっちへフラフラ、こっちへフラフラ、サザエさん張りの大失敗の連続。

時代を感じさせるものの、けんかすれども仲むつまじい姉弟の日常という主題を、子どもたちの視線でうまく表現されている。あたたかく、やわらかいタッチの山中冬児の挿絵も、純粋無垢な子どもたちの心情にうまくマッチしている。

長崎源之助
長崎源之助

作者の長崎源之助は、1934年横浜市生まれの児童文学作家。1944年召集され2年後帰国。戦後間もなく創立された日本童話会に入会。1950年、いぬいとみこ、佐藤さとるらと同人誌「豆の木」を創刊。短篇「トコトンヤレ」ほかで児童文学者協会新人賞を受賞する。その後「トンネル山の子どもたち」「ヒョコタンの山羊」などの作品で日本児童文学者賞ほか数々の賞を受賞。著書に「あほうの星」(日本児童文学者協会協会賞)「忘れられた島へ」(野間児童文芸賞)など。偕成社から「長崎源之助全集」が刊行されている。戦争を子どもや普通の生活者の視線からとらえた完成度の高い作品が多数ある[1]。山本冬児との共著も本書以外に何冊もあるが、彼の主題には欠かせない絵師であったのであろう。

昭和39年頃の女子車掌[2]
昭和39年頃の女子車掌[2]

自分の子供時代を思い出せば、この絵本のように、昭和40年代頃から都市部ではワンマンバスが普及してきて、物心ついた頃には、車掌さん(conductor)もほとんど姿を消していた。モータリゼーションによる公共交通機関の乗客の減少、それに伴う経営の合理化による。今や運賃収受のない観光バスや貸切バスなどのガイドさんとして残っている程度である。けれども、長崎や小倉に住んでいた40年前後の幼児の頃には、まだバスや路面電車には車掌カバンを持った車掌さんが、切符を切っていた風景があったことを何となく記憶している。

車掌のおねえさんが、実に明るく楽しく描かれた絵本であるが、実際の当時の女子車掌さんは、大変なご苦労をされていたらしい。そんな貴重な証言がブログ「七十代万歳!」の中で「むかしむかしのバスガール」の記事に詳しく紹介されているので、是非参考にされたい。

「おねえちゃんはしゃしょうさん」その2

[参考・引用]
[1]長崎源之助、はてなキーワード、
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C4%B9%BA%EA%B8%BB%C7%B7%BD%F5
[2]昭和中期、下津井電鉄株式会社、
http://www.shimoden.co.jp/hisory/
スポンサーサイト

Posted on 2009/12/06 Sun. 15:17 [edit]

category: picture books about automobile/クルマノエホン

tb: 0   cm: 2

コメント

わたしのほうへようこそ

私の方へようこそ。
この絵本知りませんでした。古本探してみます。
私のページを紹介してくださって有難うございます。これからもよろしく。

URL | hisako-baaba #7OvCLxQw
2009/12/28 23:29 | edit

是非読んでみてください

hisako-baaba様、コメントありがとうございます。
本作は古い絵本ではありますが、比較的容易に手に入る本だと思います。
是非ご覧になってみて、感想をお聞かせいただけると幸いです。

URL | papayoyo #-
2009/12/29 22:45 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://ehonkuruma.blog59.fc2.com/tb.php/209-a8e552d5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク