国際子ども図書館

久しぶりに晴れ間の広がった日曜日の4日、東京に出かけた。赴いた先は、上野公園内にある国際子ども図書館である(写真)。そこで開催されている企画展示『出発進行!「のりもの」本めぐりへ』を見に行ったのと、関連企画の講演会『乗り物絵本の歴史と魅力』を聴きに行くためだった。

国立国会図書館の支部図書館でもある国際子ども図書館を訪れるのは今回が初めて。我が家のチビたちも一緒に連れて行きたかったのだが、東京都は現在、新型インフルエンザの注意報を発令中で、今回はお父さん一人での訪問となった。それにしても、マスクをしている人は道中ほとんどいなかったなあ。(勿論、私はしていきましたよ。)

写真にあるように、国際子ども図書館はとても素敵な図書館である。世界的にも数少ない児童書のナショナルセンターの設立が望まれて、1897年に創立された帝国図書館(その後の国立図書館支部上野図書館)の美しいルネサンス様式の建物の内外装を極力保存・改修し、安藤忠雄氏らの設計により、近代建築と現代建築をうまく融合させた施設として、2002年に新しく生まれ変わったのが、この図書館。

近代と現代がうまく融合した図書館の内部(3F)
近代と現代がうまく融合した図書館の内部

一階は児童向けの図書館、二階は研究者向けの資料室、三階が、今回企画展の開かれた本のミュージアムや、シンポジウムや講演会・演奏会用のホールとなっている。

”アニメの殿堂”のように、ハコモノ行政が批判に晒されているが、このような既存施設を有効利用する方法は、これからの公共施設の在り方のモデルケースになるのではないだろうか。この改修は非常に高い評価を得たと聞くが、もっと評価されてもよいと思う。また、子どもたちに貴重な歴史的建築物を直接触れさせられる点も、本施設の重要な役割の一つと考える。勿論、有益なソフトの充実があって、初めてハコモノが活きてくるわけではあるが。

こんな図書館、近所にあればいいのになあ。児童図書館も含め、横須賀の図書館新設計画は中止になったばかりだしなあ。横須賀市民にとって上野はやはり遠すぎます。

企画展示『出発進行!「のりもの」本めぐりへ』
企画展示『出発進行!「のりもの」本めぐりへ』

さて、講演会に先立ち、前出の企画展示『出発進行!「のりもの」本めぐりへ』(鉄道博物館客員学芸員、佐藤美知男・監修)に立ち寄る。「のりもの」絵本なので、私のテーマ「自動車」以外にも鉄道、飛行機、船などに分類・展示されていた。自動車絵本コーナーでは私の所有する本も多々あったが、私の蔵書リストにない興味をそそる本が何冊もあり、釘付けとなる。イアン・フレミングの「チキチキバンバン」も、常盤新平・訳版の「空とぶ自動車」なんかが置いてあったりして、渡辺茂男・訳版とどう違うのだろうとマニアックな視点で眺めていた。「赤いロボット自動車」(偕成社)とタイトル違いの「ロボット自動車・サリイ」(岩崎書店)もなかなかお目にかかれない本の一つ。同じ内容の本なのに、絵の描写が「赤い・・・」とは異なるので、印象が全然違って面白い。岩崎書店版の方が大人の雰囲気。手に取って読めればよかったのだが、それは致し方ない。

ロボット自動車・サリイ ブリスさん
(左)ロボット自動車・サリイ(右)ブリスさん

児童書では、自動車修理工の物語「草の根こぞう仙吉」や、黄色いワーゲンが登場する「ママと黄色い子象」も読んでみたい作品。その他外国作品で気になったのは、ジーン・メリル作の「手おし車大戦争」や「指輪物語」で有名なトールキン作の「ブリスさん」。どちらも挿絵が印象的。

今回の個人的な発見は、「飛行機」絵本の魅力。「空とぶ自動車」や「みつやくんのマークX」などがあるように、空を飛ぶことは人間の永遠の夢。そんな夢ののりものを題材とした絵本がたくさんあるのも頷ける。大学で気体力学をかじったので、飛行機も大好きだし、絵のモチーフとしても飛行機の形は美しく、こっちも集めたいなあと思った次第。

鉄道は?いい絵本がたくさんあったのだが、ここまで手を広げると収拾がつかないのでやめておこう。とにかく「のりもの」絵本は魅力いっぱいなのである。

関田克孝さん
関田克孝さん

14時から講演会『乗り物絵本の歴史と魅力』に参加。講師は、乗り物絵本研究家の関田克孝氏。関田氏は東海大学工学部土木工学科を卒業後、建設コンサルタンツ会社を経て、現在設計事務所を自営。土木構造設計の傍ら、都市計画、鉄道、乗り物絵本の資料蒐集と研究を続け、現在に至る。「のりもの絵本 木村定男の世界」(フレーベル館)を執筆され、本作で鉄道友の会の選ぶ2008年島秀雄記念優秀著作賞も受賞されている。

講演のほとんどは鉄道に関する観察絵本の歴史に関するものであったが、関田氏は終始温和な語り口で貴重な資料が次々にスライドで紹介された。近代史の発展ともに歩んだ鉄道だけに、自動車絵本に比べてその歴史は長く、関田氏の蓄積された情報量に圧倒された。私の蒐集レベルなんてとても、氏の足もとにも及ばない。また、工学部出身(ちょっと同じ匂いを感じてしまった)だけあって、緻密な整理・分析をされているのだろうなという印象を受けた。2時間の講演はあっという間に過ぎ、時間の関係で、物語絵本についてのお話を伺えなかったのが残念。

のりもの絵本(木村定男・画)
のりもの絵本(木村定男・画)

私の質問によれば、氏も大変自動車がお好きだという事で、是非機会があれば、クルマの絵本のお話も聞きたいし、ご指導もしていただきたいものだ。そして、こういうイベントを契機に、子どもから大人まで、のりもの絵本の輪が広がっていけばなあと感じた一日であった。

のりもの絵本―木村定男の世界〈1〉のりもの絵本―木村定男の世界〈1〉
(2007/03)
関田 克孝

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