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ぼくおばけになりたくない  

ぼくおばけになりたくない

前回の「おばけドライブ」に引き続いておばけものをもう一冊。「ぼくおばけになりたくない」(山脇あさ子・作、高橋 透・絵、岩崎書店)という児童書で、子どものいじめがテーマの本である。

主人公の周は小学四年生。毎日学校に行くのが憂鬱な男の子。原因は同級生の「洋一」である。背が高く、力の強い乱暴者の洋一ににらまれたら誰も文句をいえない。

そんな洋一は周に<ばっきん>を手伝わせる。<ばっきん>とは洋一の気に食わないやつからお金を取ることだ。お金を出せない子には足におしっこをかける「シャワー」の罰がある。「シャワー」をやるのも周の役目だ。周はそんなことはしたくない。でも、それを洋一にいえない。親にもいえない。結局、洋一の言いなりになる周は友だちからもきらわれた。転校したくてもできない。怒りの矛先が定まらない周は、家で一人大声でわめくのである。

そんなある日、お父さんが古い友人の川北さんを家に連れてくる。お父さんの田舎から来た川北さんは、周に山村留学の話をしてくれた。洋一から逃げる方法はこれしかない、そう思った周は両親に留学をしたいと告げる。息子の異変に気付いた父親は、周を連れて彼の故郷、福島の北に向かうのであった。そこで見聞きしたことは・・・。なぜタイトルが「ぼくおばけになりたくない」なのかは、物語を読んでみてのお楽しみ。

Discovery?
ランドローバー・ディスカバリー?(「ぼくおばけになりたくない」より)

福島で彼らを迎えに来てくれた川北さんのクルマは、文中「ブルーのランドクルーザー」と具体的に車名が記されている。高橋 透さんの挿絵は、リアリティのある描写なのだが、挿絵の特徴を示すトヨタ・ランドクルーザーが見つからない。フード前部には“Discovery”のモデル名が書かれているが、“Discovery”の名前を冠するRV車は私の知る限りランドローバーしかない。しかし、ランドローバー・ディスカバリーの特徴とも異なるし、何よりランドローバーのフード前部には、“Land Rover”のブランド名しか表記されない。結局、このクルマのモデルが何かを特定することはできなかった。

初代ランドローバー ディスカバリー
初代ランドローバー ディスカバリー

子どものいじめの問題は、いまや社会問題の一つになっている。いじめを理由に自殺する子どもたちの報道が絶えない。そこまでに子どもたちを追い詰めるほど、いじめは陰湿になっているのか。恥ずかしながら、学校におけるいじめの実態を私はきちんと把握できていないが、少なくとも妻も私も、小学生の娘の日常会話や行動の中から、彼女がいじめられる側、あるいはいじめる側も含めて、学校でいじめが存在するといった危険シグナルを今のところ受信していない。さすがに幼稚園の息子には、そのようないじめと無縁であることを信じたい。

私の子ども時代にもいじめはあった。小学生の頃、必ずガキ大将がいたものだが、私のクラスも例外ではなかった。彼とは一年生の頃からの同級生で、その当時から身体も大きく、腕力も強かった。彼がクラスを我が物顔に牛耳り始めたのは確か小学五年生の頃。彼は、休み時間や放課後の遊びの決定権を持っていた。何をして遊ぶか、いつどこで遊ぶか、メンバーや役割を彼が決め、その決定を拒絶することはタブーであった。用事や習い事があって、放課後参加できない場合でも目をつけられるのである。でも、たまには自分たちで遊びを決めたかったし、遊ぶ相手も自分で選びたい。

そんな彼の命令を断れば、その後は「仲間はずれ」といういじめを受けることになる。休み時間も一人教室でのけ者にされる。私も何度か仲間はずれにされたことがある。許しを請うて仲間に戻してもらったり、またその独裁者に迎合する自分に嫌気がさして、再び仲間はずれにされたりの繰り返し。

他の友だちも同じような仕打ちを受けていると、一人一人と造反者が増えてきた。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」である。そのうちに主客転倒が起こり、今度はガキ大将が仲間はずれになってしまった。でも、今と違って陰湿でないのは、仲間はずれになったガキ大将を、今度は皆が仲間として受け入れたこと。お互いそういう経験を経て、最後はギスギスとした関係性ではなく、みんなが仲良く、楽しく遊べるような雰囲気に変化していった。結局、子どもたち自身で問題を解決していった古き良き時代がそこにはあった。

現在のいじめの現場はどうなのであろう。果たして、子どもたちに自浄能力はあるのであろうか。今のいじめは裏サイトへの中傷書き込みなど、方法が陰湿化しているし、そこには相互のコミュニケーションは全くない。昔は、言い争ったり、殴り合いのけんかをしたりして直接的な接触があった。ゆえに、自分たちで問題解決するのも早かったし、先生や親も子どもたちの微妙な変化を捕らえ易かったに違いない。

先生にも強い教育理念があった。小学六年のときの男性教師は、ある女子生徒に「きたない」といった差別的な言葉を浴びせた男子生徒に強烈なビンタを食らわせたことがある。結果的に、生徒に怪我を負わせることになり、大きな問題になったのだが、どこか心の奥底に彼と同じような差別意識を持っていた我々生徒はみな(私も含めて)、そのとき同時に心にビンタを打たれたような気持ちになったのを覚えている。一罰百戒、体罰も効果的なことがあるのだ。

党内でいじめに会わなきゃいいが・・・
党内でいじめに会わなきゃいいが…

大敗した自民党も自浄能力がなかった。間違いを諭す強いリーダーや、賢い先達もいなかった。子どもは大人の背中を見て育つ。子どもの社会は大人の社会の縮図である。弱者を切り捨て、経済的強者のみを優遇してきた大人たち、ネットのような匿名性を通じて、特定の個人を誹謗中傷する大人たち、いじめの実態も含めて問題を隠蔽しようとする大人たちの姿が、いまの学校のいじめ問題の根本要因というのは飛躍しすぎであろうか。

「ぼくおばけになりたくない」その1

こんなに精神的に弱く、醜い大人たちをみて、子どもたちのいじめの問題が解決するとは思えない。でも、今の子どもたちが自ら考え問題を解決する能力がないとも思わない。昔も今も、子どもの持つ潜在的な能力は変わっていないと思う。本書も子どもたちの持つそういう力を信じた結末となっている。

いじめの問題を解決するには、我々大人が襟を正し、何が正しく何が正しくないかの見本を示すことと、親や教師が十分に子どもたちとコミュニケーションを取ること、そして彼らの小さな変化に気づいたときには、そっと解決のヒントを促してあげることではないだろうか。

[2012.2.1追記]
フード前部に”DISCOVERY”と書かれたモデルもあるようだ。以下の写真はサイトで検索したものだが、私自身ある店の駐車場でみたことがある。”Land Rover”版とどういう仕様違いなのだろう?


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Posted on 2009/08/31 Mon. 21:03 [edit]

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コメント

この昭和の時代の「いじめ・からかい・仲間外れ」が一見陰湿ではありながらも一定の秩序もあり「阿吽の呼吸」をベースに持つ理解・仲直りも存在する点に関して、「やはり良き日本は生きていたのだ」と感銘を受けるのと同時に、逆に近年のそれがいかに複雑で泥沼化しているかに関して深い印象を受けざるを得ません。
この「弱者・外れ者排斥」を見て小生自身も「人と遊ぶのが苦手」「自分の殻に閉じこもっていた方が向いている」「皆が出来ない英語や理解できない国際情勢に目が向き/得意である」etcの特徴を見抜かれて、散々仲間外れにされるは、中傷や陰口の対象になるは、他にも各種いじめやからかいの対象になった(小学生時代から高校時代まで一貫してそうだった)ことが鮮明に思い出されるものです。
そうした自身の立ち位置と言うか生き様を、前々からどこか「フランス・イタリア製大型高級車」のマーケットででの位置と投影させ、それが判官びいき的感情とともに「プジョー/シトロエンがんばれ」「ルノー頑張れ」「アルファロメオ~マセラティ頑張れ」と言う気が強く、ハード面の特色以上にこれらの「隠れたる逸品」ブランドに親近感を感じさせ肩入れしたくなる印象を覚えて来たものと分析できます。
さらに「オペル車」に魅力を感じるのもまた同様な背景・要領によるものです。
これら上記のブランドは歴史的にドイツ御三家(ベンツ/BMW/アウディ)や英国のジャガーに牛耳られてきたヨーロッパの高級車市場にて諸般の設計的特色、走行特性で特有の評価・ファン層を得ながらも終始マイノリティの域を出られなかった「陰のある」存在ではないでしょうか。
実際英国の雑誌などでも彼らフランス・イタリア勢はこのクラスの「ガキ大将」ベンツ/BMW/アウディのドイツ勢の陰に隠れて散々皮肉の対象にされ、中傷に近い評価を受け、事実リセールバリューなど惨憺たるものと書かれているほどです。オペル系大型車(英国ではボクスホールオメガ/セネター~インシグニア)もそれに近く、「ベンツやビーエムとは似て非なる二流品」と言うのが大方の評価です。
彼らの特色を分析するに、古くは1970年代のルノー30TS/TXやシトロエンDS/CXはメルセデスやBMWよりも遥かにパワーの少ないエンジンでいて彼らを圧倒する怒涛の直進安定性とフラットトルクなエンジンが相まって彼らに遜色ない速度でドイツのアウトバーンやフランスのオートルートを巡航したと聞く、そうした意味では「排気量当たりの熱効率」や「サスペンション・ブレーキの設計哲学」では孤高の境地を得ていたと考えられます。またイタリアのランチアガンマやアルファロメオ6、それらの後継車たるランチアテーマやアルファロメオ164も「小排気量の効率を極めた」作としてドイツ勢に健気にも対峙していたことが思い出されます。
そして1990年代まで存在したプジョー605にルノーサフラン、シトロエンXMも各自"like no other"な個性を打ち出していたものです。
等々、目まぐるしい流転を経てフランス製大型車は全滅し、Dセグメント中型車のシトロエンC5やルノーラグナが上限となり、片やイタリア勢はマセラティの再興の一方でアルファロメオ/ランチアは中大型車一切を撤退させ「小型車専門メーカー」と化しておりますがこれら残存勢力は若干下のクラスであるルノーラグナやプジョー508、範囲を拡大して大衆ドイツ車ブランドたるオペルインシグニアやVWパサートまで含めても「雪のアウトバーンやアルプス越えなど低ミュー路では上級のベンツやビーエムより安定していて楽」と言う評価も聞かれるぐらいで、歴史を通じて「隠れたる逸品」は特有の地位を獲得し、マーケットの中の「いじめられっ子」だからと言って決して片輪者でもなければ恥ずかしい存在でもない∴「長い物には巻かれよ」に端を発する既成概念や偏見を逆に打破するほどの強さも隠し持っていると言うことで小生としても勇気づけられてきたと言うことはお解りでしょうか。

URL | 真鍋清 #-
2014/05/05 05:15 | edit

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